「残暑」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「残暑」について
【表記】残暑
【読み方】ざんしょ
【ローマ字読み】zansho
子季語・関連季語・傍題・類語など
・残る暑さ(のこるあつさ:nokoruatsusa)
・秋暑(しゅうしょ:shusho)
・秋暑し(あきあつし:akiatsushi)
・餞暑(せんしょ:sensho)
–
季節による分類
・「さ」で始まる秋の季語
・「秋の時候」を表す季語
・「初秋」に分類される季語
月ごとの分類
残暑を含む俳句例
菜畠に残る暑さや瓜の苗/許六
荻の葉にひら~残る暑哉/一茶
胸中に文意煙れる残暑光/龍太
秋暑し榎枯れたる一里塚/茅舎
北上の秋暑に乾く磧石/能村研三
簾外の萩秋暑く雨の蠅/西島麦南
厠なる念佛尊く秋暑し/佐藤春夫
秋暑や蠅取紙を新しく/野村喜舟
島秋暑庇潮さぶ帝の井/加藤耕子
川床の蓼に雨ふる秋暑かな/舟月
濁り合ふ長江浦江秋暑し/杉本寛
草籠に秋暑の花の濃紫/飯田蛇笏
秋暑し鹿の匂ひの石畳/木村蕪城
紫陽花に双肩押され残暑行/原裕
濁流に機雷漂ひ秋暑し/佐藤春夫
秋暑し鏡少なき工学部/市川結子
秋暑し脚に縺るゝ磧蠅/石塚友二
秋暑き衣手面を押拭ふ/尾崎紅葉
残暑尚続く一日の俳句会/上村占
秋暑し湖の汀に牧の鶏/飯田蛇笏
俳句例:21句目~
山の端に残る暑さや大文字/宋屋
裸見せぬ秋暑毛深の幼児ら/林翔
御所沼に蓮の艶蕾秋暑し/手塚美佐
快気祝着きし後の訃秋暑し/杉本寛
肌寒も残る暑さも身一つ/高浜虚子
戻らねばならぬ大阪秋暑し/保田晃
夕日さす漬物樽や秋暑し/内田百間
秋暑く道に落せる聴診器/高橋馬相
端近く蜂のぶらつく残暑かな/青畝
秋暑し非常階段檻に似て/横山白虹
藁帽の縁ぼろ~に秋暑し/寺田寅彦
大阪の宿や秋暑の街の音/細川加賀
松風の価をねぎる残暑哉/正岡子規
秋暑し金剛神の土踏まず/鶴田こと
秋暑く人住み壊つ異人館/小林康治
菜大根に二百十日の残暑かな/李由
旧城下秋暑の蚕糞莚かな/西本一都
河骨の黄のすがれしも残暑かな/敦
秋暑し癒えなんとして胃の病/漱石
昼門を鎖す残暑の裸かな/正岡子規
俳句例:41句目~
吊革に手首まで入れ秋暑し/神蔵器
残暑光薬をこぼす胸の上/尾崎光尋
咲きのぼる秋暑の胡麻に烏蝶/麦南
市人に窓の高さや秋暑き/島田青峰
草の萩置くや残暑の土ほこり/北枝
秋暑し暑しと心鎮めけり/稲畑汀子
秋暑し庭から運ぶ数の膳/大谷句佛
下帯のあたりに残る暑さかな/李由
寺町の土塀石垣残暑かな/小杉余子
五穀断つ意思の唇秋暑し/古橋成光
朝よりの日の漸くに秋暑し/原石鼎
梢まで来て居る秋の暑さかな/支考
秋暑しふふみし水の鐵臭し/上村占
黍刈るや高原の土秋暑し/西島麦南
代役の祝辞棒読み秋暑し/川村紫陽
遊牧の民来て祈る秋暑寺/佐川広治
跡とめて残る暑さや仕廻風呂/西勝
其の上の生姜畑の芝秋暑/高澤良一
舞ひ狂ひ青筋揚羽秋暑し/佐藤春夫
山下りて残暑の町の小買物/上村占
俳句例:61句目~
腹中に残る暑さや二万巻/子規句集
藪畑愚かにもとめ秋暑し/石川桂郎
梟首を見たる絵本や秋暑し/野村喜舟
夜も残暑海の風這ふ映写幕/河野南畦
残暑しばし手毎料れ瓜茄子/松尾芭蕉
残暑なほ捺印かはす甲と乙/那須淳男
残暑の雲浚渫船に人見えず/原子公平
残暑倦む人や柳の川わたり/浜田酒堂
大練塀どこまで続く秋暑し/森清千代
大阪の水の上なる残暑かな/小川軽舟
残暑光我は舎利もて荘厳す/斎藤空華
太注連の下に入りたる残暑かな/原裕
母のため秋暑の石を一つ積む/樋笠文
母の帯見ての涙に残暑かな/松瀬青々
浅草の蕎麦もどぜうも残暑かな/蓬郎
秋暑し開けばまたも殉教図/有馬朗人
妙齢の秋暑をいとふ師弟愛/飯田蛇笏
妻乗せて残暑の町を救急車/岩男微笑
燠の炎に梁くらき秋暑かな/石原舟月
牛渡す舟に乗合ふ残暑かな/高田蝶衣
俳句例:81句目~
目のふちの乾きて痒き残暑かな/占魚
目の玉にくつつく山河秋暑し/斎藤玄
着船を待つ救急車波止残暑/大橋敦子
秋暑し豹の斑の日に粘り/富澤赤黄男
したたかに働く臓器秋暑し/柳田昭子
秋暑う氷室の氷尽きにけり/篠崎霞山
小道具の蝋燭曲る残暑かな/片岡我当
秋暑き函館の町を歩きけり/寺田寅彦
秋暑き汽車に必死の子守歌/中村汀女
のどを焼く酒や残暑の港街/有馬朗人
秋暑き軍港の名の還るなり/石川桂郎
べた足の家鴨出歩き秋暑し/辻田克巳
秋暑くひとりの音す谷の家/飯田龍太
秋暑しにはとり交る人の前/大野林火
秋暑し友が来て仏壇に立つ/松村蒼石
秋暑し古書荒繩に縛さるる/木下夕爾
秋暑し古称は胡桃が下稲荷/高澤良一
秋暑し姉妹ガム噛み尖り顎/香西照雄
秋暑し廃車ころがる河川敷/杉山青風
工房の土の乾きし残暑かな/屋舗信子