俳句例:101句目~
世之介は船出するなり読み始/尾形恵以子
読初の古事記は神の名を連ね/加藤安希子
花鳥もて挽歌をはりぬ読はじめ/皆吉爽雨
読初の口説のあたりもどかしや/大石悦子
読み初めの漂うて父母てふ語/殿村莵絲子
読初の主人編初の主婦と言はず/日野草城
読み初めむ昔男の斯く斯くを/相生垣瓜人
風強きレイテ戦記を読みはじむ/黒田杏子
あづかりし学位論文読みはじむ/高崎小雨城
一事をばはげむべしとぞ読み始む/矢津/羨
一本を取りて直ちに読みはじむ/深川正一郎
亡夫の書を子が読み初むる夏休/福永みち子
人住まぬ辺りの地図を読み始む/相生垣瓜人
読初やむかしサルトルいま一茶/戸丸泰二郎
燈火親し「臍の下谷」を読み始む/高澤良一
読み初めの使徒行伝へ鳥語和す/田川飛旅子
読初めはうつすらと殺意に似たり/寺井禾青
読み初めの江戸下町に迷ひこむ/石川美佐子
読初めの身を流れゆく文字のあり/今村俊三
自然薯の土つく新聞読みはじむ/松本有美子
俳句例:121句目~
読初めのやがて声にす茂吉の歌/沢田幻詩朗
読初の「虚子俳話」とは虚子語録/高木晴子
読初めは干菓子に添ひし謂れ書/永井東門居
読初や書痴といはるること甘受/深川正一郎
心経に不の字無の字や読みはじむ/秋元不死男
病みて得しいとまや吾の読み始め/塩谷はつ枝
書見器が掴む「チボー家」読初めに/楠本憲吉
読初めの夫に夜更けしことを告ぐ/山口波津女
読初めを起点にはしるけものみち/三好夜叉男
霜、雪のごとくめでたし読初す/久保田万太郎
眼に針を立つるところぞ読みはじむ/野見山朱鳥
「立子へ」の恃むくだりを読みはじむ/西村和子
読初や読まねばならぬものばかり/久保田万太郎
眼をやすめやすめて句集読みはじめ/阿部みどり女
「いづれの御時にか」読初をこゑに出す/上田五千石