季語/弥生(やよい)を使った俳句

「弥生」を使用した俳句についてまとめてみました。

スポンサーリンク

季語「弥生」について

【表記】弥生

【読み方】やよい

【ローマ字読み】yayoi

子季語・関連季語・傍題・類語など

・花見月(はなみづき:hanamizuki)

・桜月(さくらづき:sakurazuki)

・春惜しみ月(はるおしみづき:haruoshimizuki)

・花津月(はなつづき:hanatsuzuki)

・夢見月(ゆめみづき:yumemizuki)

・さはなき月(さはなきづき:sahanakizuki)

季節による分類

・「や」で始まる春の季語

・「春の時候」を表す季語

・「晩春」に分類される季語

月ごとの分類

4月の季語

弥生を含む俳句例

弥生空上棟式の掛矢音/岡野寛人

発掘の弥生の畦や青嵐/近澤杉車

光陰の七分咲き弥生尽/落合冬至

大仏の柱くぐるも弥生かな/闌更

未来記にありや弥生の時鳥/三四

終日の雨めづらしき弥生かな/信徳

ただ真白逆光の中の弥生/斉藤栄子

彗星や古寺繕われ弥生尽/和田悟朗

正徳六丙申弥生の花の宴/野澤節子

露の音遠き弥生の種々に/河野静雲

雨多き週末弥生はや半ば/稲畑汀子

金屏やある日弥生の松の影/原月舟

産声を弥生の海に展げけり/島崎悦子

ときならぬ畳替して弥生尽/松村蒼石

なつかしき空の潤ひ弥生来る/稲岡長

珈琲を挽く香の厨弥生尽/大野雑草子

濃かに弥生の雲の流れけり/夏目漱石

弥生尽むらさき帯びし招魂祭/近藤弘

浪かげに生るゝ芥弥生尽/吉岡禅寺洞

倚り馴れし柱も焼けぬ弥生尽/桂信子

俳句例:21句目~

朝より主人出あるき弥生尽/西山泊雲

おんじきの器を土に弥生尽/飯田蛇笏

卵白も弥生の空も泡立ちぬ/川嶋一美

弥生尽齢五十の膝の接ぎ/米沢吾亦紅

格段に弥生の大き山があり/岡井省二

塩鰤も弥生尽なる片身かな/野村喜舟

拝殿の弥生の扉開かるゝ/茂上かの女

谷杉に凪ぎ雲迅さや弥生尽/飯田蛇笏

弥生盡き柱がくれに九体佛/古舘曹人

簾吊つて寮めく家や弥生尽/富田木歩

碧天や雪煙たつ弥生富士/水原秋桜子

時は弥生ひさご枕に鼾かな/角田竹冷

酒場には紙の桜の弥生かな/吉屋信子

西行の白雲あそぶ弥生かな/岡澤康司

臼音も大嶺こたふ弥生かな/飯田蛇笏

日に次いで月夜となりぬ弥生かな/篠原

松よりも海の碧さや弥生尽/大谷碧雲居

林中に菓子ひらく香や弥生尽/堀口星眠

梵鐘や空にくぼみのある弥生/佐川広治

かはらけを月に晒して弥生かな/原和子

俳句例:41句目~

母を焼く空は明治の弥生かな/清水基吉

清らかな天寿全う弥生仏/阿部みどり女

温泉を珠と育てて弥生鶴の里/古舘曹人

目に見えて弥生一日の草の丈/清水里美

たけて紅の菓子あり弥生尽/水原秋櫻子

組紐のいろの中より弥生かな/保住敬子

揚げ餅に塩の白さの弥生かな/堀川良枝

絨緞織りのうなじ幼き弥生尽/岡田久慧

老爺老婆共に杖突き風の弥生/原子公平

蒜早も煮らるべく立つ雲弥生/石塚友二

藤壺にをんな浮出る弥生尽/河野多希女

辻堂に絵馬のふゑたる弥生哉/正岡子規

反りかへる木の葉鰈や弥生尽/前田普羅

夕鶴の十羽はほのと弥生盡霊/古舘曹人

小鳥来る弥生の村として残る/坊城中子

弥生てふ艶めく暦めくりけり/高木桂史

弥生なほ年縄のこす武家構/下村ひろし

弥生はや一羽は啼けり親子鶴/古舘曹人

弥生はや若葉し了へぬ柾木垣/石塚友二

弥生尽のぞきて暗き花鳥の間/有馬籌子

俳句例:61句目~

弥生期の船団憶ふヨットの帆/吉原文音

弥生野に裾消え天に富士浮ぶ/福田蓼汀

恋ざめの詩文つづりて弥生人/飯田蛇笏

風弥生藁のやさしさ揃へ打つ/成田千空

さゝがにの壁に凝る夜や弥生尽/芝不器男

おこたりし返事かく日や弥生尽/高井几董

群ら星のあちらこちらの弥生かな/原石鼎

椎ばかり風冴ゆる弥生夕べかな/富田木歩

きさらぎをぬけて弥生へものの影/桂信子

臈たけて紅の菓子あり弥生盡/水原秋櫻子

荒海と別に弥生の入江あり/阿部みどり女

弥生尽烏賊が墨吐くはしりもと/石橋秀野

わが町の弥生地帯に蒲団干す/小泉八重子

クレオンの顔まんまるや弥生尽/村上麓人

ネクタイの弥生の色を撰みけり/野村喜舟

蒼き夜の星みなやせし弥生かな/川口厚子

刃ごたへの堅き葱はも弥生尽/鈴木真砂女

友情に悔を残さず弥生尽く/阿部みどり女

襖絵を弥生なかばの日が移る/水原秋櫻子

少女等のソックス白き弥生かな/伊東千代

俳句例:81句目~

豚の子が育つ弥生の谷浅し/阿部みどり女

愛は地に満てり弥生の軒すゞめ/石塚友二

弥生土器出づるを八十八夜かな/中山純子

火の山の雲に乗りたき弥生かな/佐川広治

灯のホテル弥生は月を上げながら/桂信子

都大路の弥生の雪となりにけり/林原耒井

弥生哉野を行く馬の尾を結うて/角田竹冷

峰雲やほのくれなゐの弥生土器/山本洋子

弥生てふ明治の空のありにけり/清水基吉

弥生はや生絹かけたり那智の神/村上光子

酢で〆めて魚の小さき弥生かな/山本洋子

弥生なり四方に白き根が下がり/岩佐光雄

空に透く旅のかたみの弥生富士/中村苑子

野良猫のつらよ弥生の河豚の腸/中村史邦

夜に入りて雨となりけり弥生尽/井上井月

花咲くといふ静かさの弥生かな/小杉余子

弥生晴る葛刈り来し大原女/長谷川かな女

弥生杉に耳あて春の修羅となる/遠藤央子

かぎろへる弥生の遺跡掘られをり/太田研二

かなしみに溺れて生くる弥生かな/西島麦南