「柳」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「柳」について
【表記】柳
【読み方】やなぎ
【ローマ字読み】yanagi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・枝垂柳(しだれやなぎ:shidareyanagi)
・糸柳(いとやなぎ:itoyanagi)
・青柳(あおやなぎ:aoyanagi)
・川端柳(かわばたやなぎ:kawabatayanagi)
・川添柳(かわぞいやなぎ:kawazoiyanagi)
・柳の糸(やなぎのいと:yanaginoito)
・嬌柳(たおやなぎ:taoyanagi)
・門柳(かどやなぎ:kadoyanagi)
・遠柳(とおやなぎ:toyanagi)
・柳影(やなぎかげ:yanagikage)
・楊柳(ようりゅう:yoryu)
–
季節による分類
・「や」で始まる春の季語
・「春の植物」を表す季語
・「晩春」に分類される季語
月ごとの分類
柳を含む俳句例
若柳枝空さまに緑かな/几董
糸柳極細柳倉敷川/高澤良一
両側に宵の町ある柳かな/篠原
青柳や我大君の艸か木か/蕪村
田一枚植て立去る柳かな/芭蕉
八九間空で雨降る柳かな/芭蕉
我影を捜す老木の柳かな/乙仙
青柳の糸にや釣らん桜鯛/一十
遠くまで海濁りたる柳かな/松浜
金州の城門高き柳かな/正岡子規
風のむきけふは隣の柳かな/子珊
青柳や近江に遺る戦国史/浜福恵
青柳や芹生の里のせりの中/蕪村
朧とは桜の中の柳かな/正岡子規
泥亀に人だかりする柳かな/可長
青柳や朝河渡る人は誰/井上井月
ふり揚ぐる榜の雫に柳かな/鳩枝
畑にて頭を使ふ柳かな/桑原三郎
大木に思へばならぬ柳かな/とめ
対岸の人に日当る柳かな/岸田稚
俳句例:21句目~
筍と山椒味噌の青柳寺/田中冬二
渡し銭島へ五厘や糸柳/岩本尚子
川上へ流るるやうな柳かな/此筋
忽ちに餅のなる木は柳かな/萬翁
政庁の前の大路や青柳/西山泊雲
惟願慈悲降臨護念柳かな/龍岡晋
月もやゝほのかに青き柳かな/青蘿
五人ぶちとりてしだる柳かな/野坡
犬に迯て庭鳥上る柳かな/高井几董
五六本寂寞として柳かな/会津八一
五六本寄りてしだるる柳かな/去来
蛇の子の鱒に危き柳かな/会津八一
青柳も日覆と成やぬり枕/井上井月
木の中に初東雲の柳かな/武定巨口
八九間空で雨ふる柳かな/松尾芭蕉
動かざる景がうしろに青柳/藤丹青
青柳は何所に植ても静なり/千代尼
青柳の路次構えなり鎗つかひ/嵐竹
青柳の泥にしだるる潮干かな/芭蕉
青柳の朝寝をまくる霞かな/千代尼
俳句例:41句目~
青柳のかつらぎ伊駒麦畠/椎本才麿
青柳に游ぶ糸あり善導忌/松瀬青々
杏花十里唯一垂の柳かな/羅蘇山人
唐人のうしろむきたる柳かな/許六
青柳に朝の爽涼鹿を秘め/石塚友二
抛られし纜うけし柳かな/西山泊雲
大仏の開眼かすむ柳かな/野村喜舟
馬乗りの下くぐり行く柳かな/里倫
東門の外に舎営す柳かな/子規句集
青柳や玉の甍の雨あがり/尾崎紅葉
若草に根をワすれたる柳かな/蕪村
青柳や狐釣るべき枝の形/藤野古白
みよし野に闇一結び柳かな/千代尼
青柳や大釣鐘の撞き起る/会津八一
青柳や地の果もなき水の上/千代尼
川こして帯ときによる柳かな/岱水
青柳や二すぢ三すぢ老木より/柳居
背戸川に泥船繋ぐ柳かな/寺田寅彦
簾捲けば則ち青き柳かな/藤野古白
百とせにもう一眠り柳かな/千代尼
俳句例:61句目~
糸柳まだ遠景を透しをり/高浜年尾
水仙や青柳町に日の斜め/藤田湘子
青柳や乾きのはやき洗船/井上井月
閑かさを覗く雨夜の柳かな/炭太祇
青柳やはつ神鳴の雨の後/高井几董
江村を苗代辺にも柳かな/細谷柚翁
下市に上市つゞく柳かな/野村喜舟
我ままに枝のそろはぬ柳かな/如元
引寄て折手をぬける柳かな/炭太祇
青柳やさびしく通る花見船/増田龍雨
青柳やどちらの世話で水の音/千代尼
おしよせてたばぬる程の柳かな/探芝
青柳や井戸へ差出す小提灯/井上井月
みちすがら麗人多き柳かな/会津八一
一日の風なきときの柳かな/松藤夏山
二ン月の雨より細きぎ柳かな/ぶん村
二階から紙屑捨てる柳かな/会津八一
月夜鴉水吸ひ上ぐる柳かな/渡辺水巴
五六軒村はづれ行く柳かな/会津八一
交りを水にまかせて柳かな/水田正秀
俳句例:81句目~
人生を空費して居る柳かな/永田耕衣
傘に押し分けみたる柳かな/松尾芭蕉
傘に押し分けみたる柳かな/松尾芭蕉
入相を裏の田で聞く柳かな/浜田酒堂
史家村の入口見ゆる柳かな/子規句集
娑婆以来真猫しだれ柳かな/加藤郁乎
家主の無残に伐りし柳かな/子規句集
引あげて水音くらき柳かな/斯波園女
引きよせて放しかねたる柳かな/丈草
引よせて放し兼たる柳かな/内藤丈草
悉く屋根に落ちたる柳かな/会津八一
昼の夢ひとりたのしむ柳かな/千代尼
月花の外をおぼろの柳かな/松岡青蘿
有明に緋鯉釣るべき柳かな/藤野古白
水汲の辛苦して出る柳かな/立花北枝
水程はさわがぬ雨の柳かな/藤野古白
水音の野中さびしき柳かな/浜田酒堂
江光に舟人立てる柳かな/楠目橙黄子
消え際の線香花火の柳かな/鈴木花蓑
渤海の平らにつづく柳かな/正岡子規