「闇汁」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「闇汁」について
【表記】闇汁
【読み方】やみじる
【ローマ字読み】yamijiru
子季語・関連季語・傍題・類語など
・闇夜汁(やみよじる:yamiyojiru)
・闇汁会(やみじるえ:yamijirue)
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季節による分類
・「や」で始まる冬の季語
・「冬の生活」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
闇汁を含む俳句例
閑話休題闇汁に薄き膜/横山千夏
闇汁へ急ぐ西空美しく/柴山長子
闇汁の闇へ葬る鳩の骨/松野自得
闇汁や箸に絡まる蛸の足/福原紫朗
闇汁に君が汁鍋恙なきや/会津八一
闇汁の闇簡単に完璧に/鳥羽富美子
闇汁に金鍔入れし人や誰/会津八一
闇汁の闇の白帆や帆立貝/会津八一
闇汁の闇の底なる火の匂ひ/石寒太
闇汁の闇のつづきに渡し舟/澁谷道
闇汁の紅散乱と柘榴かな/会津八一
闇汁や闇に目の利く木菟男/三溝沙美
事件あり記者闇汁の席外す/宮武章之
闇汁や貨車の連結音聞こゆ/館岡沙緻
夷講に大福餅もまゐりけり/高浜虚子
居心地のよろしき暗さ闇汁会/檜紀代
闇汁や何の会にも不参せず/鈴木花蓑
闇汁やランプの笠の秋の蠅/会津八一
闇汁の最も大きものすくふ/高橋悦男
闇汁や其のかの鴨の足の骨/会津八一
俳句例:21句目~
闇汁に古女房が入れしもの/京極杞陽
闇汁に山深き味ありにけり/岡安仁義
闇汁に甚だ齢を距てけり/波多野爽波
闇汁の山のものいや海のもの/長田等
闇汁の闇を楽しむ心あり/田中蛇々子
闇汁の闇に眼鏡を外しけり/山崎秋穂
闇汁の鍋を除けたる大火鉢/高木晴子
闇汁の消しに立つ灯を皆仰ぐ/森田峠
闇汁の匂の闇に馴れて来し/森岡五木
闇汁の闇にて火傷いたしけり/辻桃子
闇汁にひそみて剛の砂糖黍/百合山羽公
闇汁に箸をゆっくり使ひゐる/塩川雄三
闇汁の一間の襖はづしあり/山崎ひさを
闇汁の宿してたのし三日の月/鈴木花蓑
闇汁の岩戸明けたる月見かな/尾崎紅葉
闇汁の杓子を逃げしものや何/高浜虚子
闇汁の焔サラリーマンの一花/斉藤夏風
闇汁の煮くずれうまき女宿/柴田八重子
闇汁の女人のあたりほの明し/細川加賀
闇汁の箸が大きなものつかむ/長浜/勤
俳句例:41句目~
闇汁の納豆にまじる柘榴かな/会津八一
闇汁の闇ゆるがして燭運ぶ/上田春水子
闇汁へ手巾あかりの膝すすむ/亀井糸游
闇汁や健啖子規の遺風とて/百合山羽公
闇汁や僧の提げ来しものは何/加藤其峰
闇汁や先生の坐の空いてをり/橋本榮治
闇汁や女子寮の釜使役して/百合山羽公
闇汁や挟みて鼻の如きもの/秋元不死男
闇汁や箸逃げしもの音大き/岡部六弥太
闇汁のわが入れしものわが掬ひ/草野駝王
闇汁のほのうす暗に眼がありき/山崎虎行
闇汁の闇ふくらめる湯気のぼり/菖蒲あや
闇汁に長き包みを提げて来し/加藤三七子
闇汁の大きなものをそと戻す/小田沙智子
闇汁に臍の緒まじりゐたりける/辻田克巳
闇汁の窓に比叡の灯宇治の灯と/藪内柴火
闇汁やさのみならざる外の闇/阿波野青畝
蝋燭の燈に闇汁の誰れや彼や/高橋淡路女
海鳴りの闇汁煮えてきたりけり/いさ桜子
闇汁の蓋を上げしは狸かな/長谷川かな女
俳句例:61句目~
闇汁の足やはらかく踏まれけり/岸風三楼
闇汁へ妻とは別に提げしもの/古賀青霜子
闇汁のバナナゆるゆる煮えてきし/辻桃子
闇汁の燈を消して顔もてあます/館岡沙緻
持ち寄りしもの闇汁に重ならず/茨木和生
闇汁の闇に正座の師ありけり/佐藤貴白草
唐がらしぶち込み闇汁終りしと/岡田日郎
闇汁や遊びずきなるこのまどゐ/鈴木花蓑
闇汁を瞠りとほして達磨の眼/加藤知世子
闇汁の闇のとくるを待つとせん/織部れつ子
闇汁のひとりひとりがまた見ゆる/細川加賀
闇汁に入れたる箸を掴むがあり/柴田佐知子
闇汁にさしたる月の懐かしく/長谷川かな女
闇汁の蓋に乗りたり闇の小人/長谷川かな女
闇汁や息をころして煮えるまで/河本知慧子
ざつくりと割れたるものを闇汁に/岸本尚毅
闇汁のただならぬものつかみけり/柴田ミユキ
闇汁に河豚を入れたること言はず/小田実希次