「山眠る」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「山眠る」について
【表記】山眠る
【読み方】やまねむる
【ローマ字読み】yamanemuru
子季語・関連季語・傍題・類語など
・眠る山(ねむるやま:nemuruyama)
–
季節による分類
・「や」で始まる冬の季語
・「冬の地理」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
山眠るを含む俳句例
初鶏のなほ眠る山従へて/原裕
長老の葬列長し山眠る/杉本寛
山眠る岡山兵庫国境/吉屋信子
眠りゆく山懐に独り住む/坂井建
山眠るその懐に碧き沼/柴田奈美
密猟の漢を隠し山眠る/星野秀則
湖の映さば映せ山眠る/尾崎迷堂
谿へだて山眠りゆく馬頭仏/林翔
滅びたる狼の色山眠る/矢島渚男
残照に頂染めて山眠る/柳下孤村
紅を失ひつゝや山眠る/高木晴子
短針のりて進み山眠る/松山足羽
山眠りけり係長は働けり/櫂未知子
御配流と伝ふ帝の山眠る/猿渡青雨
夜よりも昼深々と山眠る/古住蛇骨
長城や烽火連ねし山眠る/有馬朗人
眠る山よリ松籟と友の声/楠本憲吉
山眠りけり白樺は一本立/村越化石
妻の骨ひそと納めて山眠る/本井英
海底の火の山眠る海鼠かな/龍岡晋
俳句例:21句目~
凍らざる湖の謎山眠る/大和あい子
盗伐の人に許して山眠る/日置草崖
十二経奇経八脈山眠る/佐々木六戈
浮雲の影が通りて眠る山/稲畑汀子
山眠りいま遠き川遠き村/中村苑子
眠りつつ山相怒る妙義かな/轡田進
山眠り石で囲ひし楮畑/大峯あきら
山眠り神は内より閂す/殿村菟絲子
山吹の黄葉ひら~山眠る/前田普羅
朝鮮も満州もなく山眠る/遠藤梧逸
南面に残せる放馬山眠る/皆吉爽雨
木も草もいつか従ひ山眠る/桂信子
茅堂に一尊おさめ山眠る/荒井正隆
山眠るや大往生の姿我/松根東洋城
手習のまつくろ草紙山眠る/龍岡晋
山眠るガラス工房懐に/北原富美子
山眠る信濃や鯉の飴煮食ひ/石嶌岳
山眠る切支丹墓千と抱き/山本杜城
山眠る四条大橋渡りけり/都筑智子
山眠り寺の硯の大凹み/大峯あきら
俳句例:41句目~
十三陵眠らしめ山粧へる/西村和子
また次の千年京の山眠る/田山康子
笠を編む麓の村や山眠る/内田百間
山眠る田の中の道犬走り/山口青邨
窯中に紅蓮の炎山眠る/上田佳久子
頂の湖の真晴や山眠る/東洋城千句
睡迹の神列なりて山眠る/大西淳二
白妙の御岳かこみ山眠る/和田錠女
山眠る駅に一人の改札員/八巻絹子
神の山仏の山も眠りけり/竹村忠吉
眠る山の麓に据ゑぬ製縄機/野村泊月
山眠りいづこへ帰る谺なる/影島智子
山眠りいよいよ黒き自在鉤/倉田晴生
父祖眠る山を抱きて山眠る/福田蓼汀
湖の舟舫ふは眠る山の石/大岳水一路
山眠り大原は煙あぐる見ゆ/岸風三楼
百姓に教へて倦まず山眠る/石井露月
海底の火の山ねむる海鼠かな/龍岡晋
山眠り日月眠りをらざりし/吉年虹二
山眠り流木砂に埋れをり/大峯あきら
俳句例:61句目~
山眠り激流国を分ちたる/松本たかし
ロボットの犬を里子に山眠る/小平湖
眠らざる雲中の山が普羅の山/原田喬
氷眠の山もあるべし白菫/大木あまり
なほ青き牧を抱きて山眠る/澤田緑生
銃声を呑みて熊野の山眠る/坂口麗峰
ひとかどの女の如し山眠る/守屋明俊
山眠るいたるところに忍び釘/仁平勝
山眠るけだしや夢も山の夢/高橋睦郎
藁塚は皆かたむきぬ山眠る/大谷句佛
大き夢見てゐる山のよく眠る/三宅桂
借景の山も如来も眠りけり/渡辺恭子
落葉みな万骨となり山眠る/楠本憲吉
人に情眠れる山に流かな/松根東洋城
本陣の跡形もなく山眠る/坪井のぶ子
牧水の歌の一つの山眠る/児玉菊比呂
落石の余韻を長く山眠る/片山由美子
金泥経蔵して山の眠りゐる/菊地一雄
筬の音山の眠りを誘ひけり/朝倉和江
牧牛を帰して山の眠りけり/石野冬青
俳句例:81句目~
柳生道浮びおちいり山眠る/井沢正江
ぬく~と若草山の眠りけり/角田竹冷
山眠る一と焔にて檜燃え/神尾久美子
山眠る中に貴船の鳥居かな/高浜虚子
山眠る交通止めの札立てて/宮田俊子
峠越す僧形に山眠りけり/金尾梅の門
山眠る信玄側に寝返りて/佐々木六戈
山眠る光の音を聴きながら/仙田洋子
眠る山飛泉の声も細りけり/高田蝶衣
山眠る厨房熊のししむらも/浦野芳南
山眠る噴火の怖ささらしつつ/安原葉
山眠る噴火名残の蒸気上げ/上柿照代
五六戸の狩宿かゝへ山眠る/鈴間斗史
廃坑にこのごろ月や山眠る/宮武寒々
山眠る大和の国に来て泊る/山口青邨
山眠る大鋸かかる御師の門/福田蓼汀
山眠る如き心に在らばやな/高田蝶衣
山眠る如く机にもたれけり/高浜虚子
弘法の井のあたゝかさ山眠る/森田峠
山眠る恋の終りを見届けて/黛まどか