「焼野」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「焼野」について
【表記】焼野
【読み方】やけの
【ローマ字読み】yakeno
子季語・関連季語・傍題・類語など
・焼野原(やけのはら:yakenohara)
・末黒(すぐろ:suguro)
・末黒野(すぐろの:sugurono)
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季節による分類
・「や」で始まる春の季語
・「春の地理」を表す季語
・「初春」に分類される季語
月ごとの分類
焼野を含む俳句例
旧道や焼野の匂ひ笠の雨/漱石
湧蓋山頂に雪焼野統ぶ/穴井湧峰
焼残る広野の中の地蔵哉/正岡子規
しのゝめに小雨降出す焼野哉/蕪村
髪長き女よ焼野匂い立つ/西東三鬼
野は焼けて茨の中の卵かな/正岡子規
草に置く身も安からぬ焼野かな/樗良
焼野匂へり遠く性欲花のごとし/林桂
橋一つ置てどちらも焼野哉/正岡子規
一面に霜のふりたる焼野哉/寺田寅彦
大焼野ゆく月面を歩くごと/平田倫子
そぼふるや雉の走る焼野原/正岡子規
業障の茨焼けゝる焼野かな/尾崎迷堂
馬士帰る焼野の月の薄寒き/正岡子規
母の背に匂ふ焼野は暗かりき/橋間石
夕暮の雨や焼野の匂ふまで/小杉余子
焼野の橋渡る別居の妻が見ゆ/細川加賀
越えわびて淋しうなりし焼野かな/白雄
うしろより雨の追ひ来る焼野かな/大魯
かけまはる夢や焼野の風の音/上島鬼貫
俳句例:21句目~
道芝のくすぶつて居る焼野かな/碧梧桐
さびしげに白雲わたる焼野哉/正岡子規
しののめに小雨降り出す焼野かな/蕪村
そほふるや焼野の石に雀鳴く/正岡子規
雉子の声あらはに悲し焼野原/正岡子規
雪濁り焼野のすゑに来りけり/松瀬青々
はや草の息吹の包む焼野かな/阿部誠文
はればれと焼野の匂ふ芹小鉢/野澤節子
をさな子の母呼び返す焼野哉/正岡子規
冬めくや焼野いつまで藜立ち/小林康治
堰の水用ふると無き焼野かな/尾崎迷堂
塔に眼を定めて黒き焼野ゆく/西東三鬼
山鳥と小松の残る焼野かな/伊賀-洞木
麦踏んで帰る焼野のかまいたち/中拓夫
旅人の焼野に迷ひとげを踏む/正岡子規
昼ながら月かゝりゐる焼野かな/原石鼎
焼けながら黒き実残る野の葎/正岡子規
焼野から焼野へわたる小橋哉/正岡子規
あら雨に鴇いろにじむ焼野かな/宮武寒々
橋なかばより遥かなる焼野見ゆ/古田慶子
俳句例:41句目~
墨滲むごとく焼野となりゆけり/川島朗生
古めきて月ひかりいづ焼野かな/飯田蛇笏
火は見えで黒く広がる焼野かな/高浜虚子
下駄はいて行くや焼野の薄月夜/正岡子規
星空のすぐ降りて来る焼野かな/山崎満世
旅にして坐洲船の灯を見し焼野/宮武寒々
焼野より翔ちし白鷺汚れもせず/野澤節子
月いよいよ大空わたる焼野かな/飯田蛇笏
我もいざ焼野の雉に音をそへん/正岡子規
ひとり行く曾爾の焼野の芒径/田畑美穂女
野辺焼くも見えて淋しや城の跡/正岡子規
森冷えのひろごる焼野夕べかな/吉田冬葉
大焼野風も煤けてをりにけり/村田たかし
なつかしや焼野沿ひなる飛鳥川/尾崎迷堂
野は焼けてすつくり高し一里塚/正岡子規
あたたかき焼野の端を踏みにけり/大石悦子
きのふも焼けふも春日野焼にけり/正岡子規
夢の景とすこし違へる焼野かな/能村登四郎
山伏の貝吹き通る焼野かな/吉武月二郎句集
ほくほくとつくしのならふ焼野哉/正岡子規
俳句例:61句目~
赤き雲焼野のはてにあらはれぬ/坂本四方太
野を焼く火木立の中に燃え入りぬ/正岡子規
ぬくみある焼野の径を戻りけり/関根きみ子
どこからか道の来てゐる焼野かな/鷲谷七菜子
篠消えて焼野の灰となりにけり/長谷川零餘子
月/雪/花そしてときどき焼野が原/池田澄子
だしぬけに日のさしてきし焼野かな/成瀬桜桃子
みどりごは焼野にめつむり羽毛を降らす/夏石番矢