俳句例:101句目~
淋しさは机ならべて夜学かな/久保田万太郎
ややありて遠き夜学の灯も消えぬ/谷野予志
夜学果てて黒板に書きのこすこと/木村蕪城
夜学師に歌の友だち来て居りぬ/吉岡禅寺洞
書を伏せて太宰を語る夜学の師/町田しげき
くらがりへ教師消え去る夜学かな/木村蕪城
夜学の灯消えずに空の明けて来し/川口咲子
おるがんの鳴らぬ鍵ある夜学かな/木村蕪城
秋海棠子等が夜学の灯にこぼれ/佐野青陽人
夜学終へし妻との夕餉子は眠り/石井とし夫
夜学教ゆ望なることをおもひつつ/木村蕪城
おしまひに少し耶蘇説く夜学かな/馬場駿吉
餃子喰つて夜学教師となりにけり/藤田湘子
家の書を読み尽くさゞる夜学かな/小杉余子
湖に沿ひもどる子ばかり夜学終ゆ/田村了咲
悲しさはいつも酒気ある夜学の師/高浜虚子
夜学部へ引継ぐ暖炉くべたすも/肥田埜勝美
夜学の灯夜を重ねつゝ澄み更けぬ/島田青峰
貼紙に蛾のあたりゐる夜学かな/大橋櫻坡子
教ふとは理解すること夜学の師/藤村うらら
俳句例:121句目~
教壇に蛾のむくろ踏む夜学かな/大橋櫻坡子
陰濃ゆき顔がならびて夜学かな/大橋櫻坡子
夜学の婢二人ならびし髪容ち/長谷川かな女
吾子抱いて夜学の果つる刻を待つ/石井とし夫
吾が子はや大人びて来し夜学かな/高橋淡路女
なつかしやアテネフランセと言ふ夜学/瀧春一
いそしめば我れたのみある夜学かな/増田龍雨
夜学の灯またたき合うて点りをり/堀之内和子
夜学の子先生のうしろ戻る月の細道/大橋裸木
街の灯の消えて夜学の灯も消ゆる/吉永とほる
月の明さをよろこび去ぬよ夜学の子/高田蝶衣
夜学の灯未知の自分に逢ふために/田川飛旅子
夜学師の一たかぶりのチヨーク折れ/皆吉爽雨
夏むしや夜学の人の顔をうつ/召波「春泥発句集」