俳句例:101句目~
雲海やまだ夜のごとき莨の火/中村草田男
雲海やホテルの地下にバスの駅/澤田緑生
雲海を空航くながめ茶のみつゝ/河野静雲
岩群の辺の雲海のくらかりき/石橋辰之助
いわし雲海から訪ひて紀伊の国/吉田汀史
雲海荘厳ふはりと我の終りかな/中村苑子
雲海の薔薇色つくす日の出まへ/小林碧郎
雲海や腰をおろせば腐木にて/徳永山冬子
雲海をとよもし航けるエンジン音/高澤良一
雲海に人のわれらにときめぐり/石橋辰之助
雲海に乗り出してバス向きを変ふ/品川鈴子
雲海にとどろく太鼓禰宜が打つ/望月たかし
シートベルト結ひ雲海をいま下る/山口青邨
われ濡らし霧雲海に消え去りぬ/石橋辰之助
雲海のひとつ灯のかた吾子寝ねむ/角川源義
雲海の日の出にゆらぐ岳ひとつ/岡本まち子
雲海に朱を押し入るる入日かな/八木林之助
雲海やなぜかこの世にいる不思議/前岡茂子
雲海の裂れ目のアンカレッヂとよ/稲垣きくの
雲海の彼岸の富士や今日あけつゝ/中村草田男
俳句例:121句目~
雲海のはたてに浮ぶ焼岳の細き煙を空にしあぐる/窪田空穂