「植田」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「植田」について
【表記】植田
【読み方】うえた
【ローマ字読み】ueta
子季語・関連季語・傍題・類語など
・早苗田(さなえだ:sanaeda)
・五月田(さつきだ:satsukida)
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季節による分類
・「う」で始まる夏の季語
・「夏の地理」を表す季語
・「仲夏」に分類される季語
月ごとの分類
植田を含む俳句例
早苗束濃緑植田浅緑/高野素十
仁丹の看板健在植田中/高澤良一
胴亀や昨日植ゑたる田の濁り/許六
苗一把植田見廻る後手に/田中絹水
畦蛙とんで植田の水乱す/高澤良一
潮急に植田は鏡より静か/川端茅舎
壊しき榛の入日の植田かな/松崎豊
夕方の植田の広さ蝶低く/星野立子
植ゑ田水自決の髻さへ映す/竹中宏
植田見しより南国の旅人に/稲畑汀子
けふ出来て植田は寒し机にゐ/中拓夫
余呉の鳶植田にを落しけり/石田勝彦
城囲む植田の緑日日濃ゆく/福田蓼汀
田を亘る風に微笑む植田水/高澤良一
南風や植田濁りにとぶ雀/吉岡禅寺洞
植田成る間伸びのこゑの夕蛙/及川貞
暁の不二植田を前の焚火跡/木村蕪城
暁の月がありたる植田かな/高木晴子
一本の桐の咲きゐる植田かな/岸田稚
曉の不二植田を前の焚火跡/木村蕪城
俳句例:21句目~
植田寒岳が平たく写りたる/野村仙水
大雨に濁りかへせし植田哉/青木月斗
奥能登や植田と海と隣り合ひ/小澤裕
子らと跳ね植田の伸びの一週間/原裕
学校前の日毎に植田一つづつ/中拓夫
度忘れの向うで光る大植田/河口俊江
整然として植田あり朝焼す/相馬遷子
水郷に一舟あそぶ植田かな/和田春雷
一棹の鳥を野末に植田寒む/高井北杜
植田村帰化亀駆除に一騒動/高澤良一
青空に闇が待ちゐる植田原/宮坂静生
鴨山と呼ばれ植田の五六枚/桐田春暁
植ゑし田の中の巌や忘れ笠/飯田蛇笏
一枚の植田ひかれり神楽笛/佐野美智
さつぱりと植田三枚夕景色/柴田白葉女
天の神地の神たちに植田澄む/右城暮石
どむみりと大山入れて植田水/高澤良一
植田は鏡遠く声湧く小学校/殿村菟絲子
ほつほつと植田のふゆる仏道/安藤立詩
完全に植田となりて誰もゐず/池田秀水
俳句例:41句目~
植田一枚布裂き布織る広さかな/峠素子
みちみちて水の寝息の植田村/熊谷愛子
植田原夜は月光の棲むところ/佐川広治
植田より植田におちる水の音/田中冬二
折紙の裏から濡れて植田水/磯貝碧蹄館
植田飛ぶ蝶一日を水とあり/蓬田紀枝子
中国のあれは植田か近からず/高木晴子
植田水に空を残して帰りゆく/細見綾子
能登は今植田づくしの水の国/安居正浩
良寛墓所尋めゆく頬に植田風/高澤良一
参道に吹き込む真野の植田風/高澤良一
菖蒲田と植田と水を分ち合ふ/細見綾子
藺田暗く植田明るし備前窯/殿村莵絲子
見渡して空知植田は畦塗らず/高濱年尾
越前や近江の植田も雨の中/鈴木六林男
皆大き足跡ばかり植田澄む/菊池光彩波
陸羽東線植田に朝の杉の影/田川飛旅子
名も知らぬ祠と憩ふ植田べり/佐野美智
鯉の仔を放ち植田は夜となる/田中冬二
千枚に継子のごとき植田かな/橋本榮治
俳句例:61句目~
植ゑし田に大落日の宿りける/土生耕石
白鷺の花となるまで植田水/神尾久美子
旧の七夕植田に迫る怒濤光/田川飛旅子
陣跡の植田見放くる腰曲輪/下村ひろし
植田水母の誤字こそ尊ぶべし/磯貝碧蹄館
植田澄み飛燕虹よりはるかなる/西島麥南
植田よりなほさみどりに伊吹山/福田蓼汀
濁りまだ消えぬ植田の匂ひくる/本多芙蓉
産声の打ちわたりたる植田かな/関戸靖子
かささぎに植田明りの果もなし/米谷静二
なつかしき程の雨降り植田かな/高浜虚子
舗装路を植田あふれし水よぎる/横山白虹
ふるさとの植田風そふ征馬の碑/佐野美智
やや小さき足跡混じる植田かな/川村紫陽
日が射して植田緑の美を尽くす/山口誓子
夕焼のうつりあまれる植田かな/木下夕爾
血より濃し植田植田をつなぐ水/津田清子
小波の立ちてうれしき植田かな/高野素十
手術後の安静に似て植田あり/松倉ゆずる
足跡ににごりの深き植田かな/小川つとむ
俳句例:81句目~
早乙女の重なり下りし植田かな/高浜虚子
来信や平野に植田ゆきわたり/北村美都子
根付きゆく静けさにあり大植田/田中照子
音もなく海あらはれぬ植田の先/桜井博道
植田はや正しき波を刻みつゝ/若林いち子
植田はや白鷺の舞ひ下りにけり/志水圭志
植ゑしざりつつ見る田はや風そよぐ/篠原
植ゑし田に夕焼淡くみだれたり/相馬遷子
植田まだ空を映してゐるばかり/高浜年尾
植ゑし田に映りて飛騨の蔵庇/馬場移公子
高みの田低き田のみな植ゑ進み/高木晴子
植田上る夕べの安堵見ゆるなり/松村蒼石
植田守る男ときをり街を眺め/福田甲子雄
みなぎりて水のさみしき植田かな/草間時彦
夜の植田シーツの幅に人は寝て/北原志満子
ひんがしに白き月あげ植田かな/遠藤まさ喜
雨のまま暮れて瞼の植田を消す/林田紀音夫
この青き植田なければ鬼舞へず/神田ひろみ
匂ひふと植田の道に入りしこと/平尾みさお
よく見つめなくば植田と思はれず/高木晴子