「露寒」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「露寒」について
【表記】露寒
【読み方】つゆざむ
【ローマ字読み】tsuyuzamu
子季語・関連季語・傍題・類語など
・露寒し(つゆさむし:tsuyusamushi_)
・露冴ゆる(つゆさゆる:tsuyusayuru)
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季節による分類
・「つ」で始まる秋の季語
・「秋の天文」を表す季語
・「晩秋」に分類される季語
月ごとの分類
露寒を含む俳句例
露寒や榎のもとの塒鳥/桃李
露寒し我尺跡を又帰る/乙二
大粒に置く露寒し石の肌/青蘿
露寒や草に白らけし蛇の衣/梧月
打連れて艸分衣露寒く/尾崎紅葉
露寒や裏は白紙の喪の花輪/林翔
碑やこゝに百年露寒し/升本翠華
露寒の轣轆とのみ覚えけり/康治
露寒し明星残る草の上/伊藤松宇
露寒や廊下に映る太柱/福地果山
露寒し寝さめて思ふ七十度/成美
露寒や掘荒したる芋畠/沢田雨声
竹縁もいま露さむし酒のあと/太祇
鎌を腰に露寒げなる男哉/太田南岳
露寒や空気の抜けし車椅子/森総彦
露寒や五行で終る死亡記事/安住敦
露寒し小笹が下の蟇の声/川村黄雨
露寒き海峡の灯に吾子ねむる/春代
露寒の煙地を這ふ窯どころ/東天紅
露寒し露寒し月に蓑着ばや/泉鏡花
俳句例:21句目~
露寒や御胸透きて飛鳥仏/近藤一鴻
露寒の笛塚といふ停留所/老川敏彦
露寒や走者に金の首飾り/原田豊子
露寒や酒買ふ程の宵仕事/角田竹冷
露寒の朝のさみどり復職す/河野南畦
露寒や死ねと囁く夜の汐/鈴木真砂女
露寒の土間の炉たいて渡舟守/林蓼雨
露寒や舞台の袖の闇ゆれて/丹羽啓子
露寒や汝が行末おのが末/大島四月草
荒れ磧も露寒う檻伐の里/栗林一石路
露寒や兄妹さらに黙り合ふ/石田波郷
露寒の星出て果てぬ火の祭/三嶋隆英
露寒の溝穿ち落つ捨湯かな/石塚友二
露ざむの情くれなゐに千草かな/蛇笏
露寒のこの淋しさのゆゑ知らず/風生
露寒の刑務所黒く夜明けたり/岡本眸
露寒の日あたる蚊帳を出でにけり/龍雨
露寒の握りて厚き手なりしよ/岸風三樓
露寒の草木の情に倚りにけり/草間時彦
露寒の飲食の火となりにけり/坂間晴子
俳句例:41句目~
露寒の鳩睦みつつ療舎越ゆ/石田あき子
露寒や乳房ぽちりと犬の胸/秋元不死男
露寒や凜々しきことは美しき/富安風生
露寒や子の手が掴み眼鼻覚む/清水基吉
手をついて扇の芝の露寒し/肥田埜恵子
露寒や走り根果てもなく絡み/松本美簾
暴走族露寒の夜をめつた切り/能村研三
露寒し妻と手焙る喪のごとし/小林康治
露寒や睡りを恃む旅ひとり/鷲谷七菜子
露寒し被災地のまた一戸消ゆ/倉橋弘躬
露さむき甲板に恋ふ日本の燈/近藤一鴻
露さむし山の旅籠の終ひ風呂/田中冬二
露寒や髪の重さに溺れ寝る/長谷川秋子
露寒といふも日の出るまでのこと/宮閑子
露寒く住めば睦むに似たるかな/清水基吉
露寒くなりきし磧温泉にひとり/鈴木貞二
露寒き爰に久女の生涯哀し/長谷川かな女
露寒の茶粥の湯気を吹きにけり/三村純也
露寒の炉端更けゆく地酒の香/藤原たかを
露寒や今朝やや延びし使者の髯/草間時彦
俳句例:61句目~
露寒の画集をひらく膝そろへ/石田あき子
露寒をはげましとして鞭として/稲畑汀子
懸煙草いたはり居れり露さむく/田中冬二
露さむき死までの一部始終かな/倉橋弘躬
露さむく人ひともして土に棲む/西島麥南
露寒の千鳥翔つとき鳴きにけり/山口草堂
露寒と言へることにも敏き身を/田畑美穂女
露寒や路地這ひずるはわらぢ虫/鈴木真砂女
露寒の日のこぼれゐる利休の碑/大石登喜和
きがらしの煙草いたはり露さむく/田中冬二
露寒の夜のペン捨てぬ愛欲しや/鈴木しげを
露寒しぬすびとはぎにすがらるる/金尾梅の門
露寒や告げ得ぬことを身に溜めて/鷲谷七菜子
露寒し縷々とラジオの「尋ねびと」/伊丹三樹彦
夜のテレビに生ける久女や露寒し/長谷川かな女
露寒むに曳く山羊の乳房きんきんと張り/安斎櫻カイ子