「露」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「露」について
【表記】露
【読み方】つゆ
【ローマ字読み】tsuyu_
子季語・関連季語・傍題・類語など
・白露(しらつゆ:shiratsuyu)
・初露(はつつゆ:hatsutsuyu)
・夕露(ゆうづゆ:yuzuyu)
・夜露(よつゆ:yotsuyu)
・朝露(あさつゆ:asatsuyu)
・上露(うわつゆ:uwatsuyu)
・下露(したつゆ:shitatsuyu)
・露の玉(つゆのたま:tsuyunotama)
・露の秋(つゆのあき:tsuyunoaki)
・露葎(つゆむぐら:tsuyumugura)
・露の宿(つゆのやど:tsuyunoyado)
・露けし(つゆけし:tsuyukeshi)
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季節による分類
・「つ」で始まる秋の季語
・「秋の天文」を表す季語
・「三秋」に分類される季語
月ごとの分類
露を含む俳句例
帰る桜錦ぞ頭巾都入/露沾
山吹や目洗ひ薬花の露/安昌
朝露や鬱金畠の秋の風/凡兆
俤のむき栗白し雨の月/露言
曙や芭蕉を走る露の音/睡華
唐紙や敷居の細道蔦葛/露甘
魚分つ海士の篝や露の中/大梅
露露に流れさうなる柱哉/一茶
朝露や鶏のつく若菜うり/舞雪
露零す螢袋に道草す/高澤良一
芋の露巴走りや露の中/小澤實
露ちるや桂の里の臼の音/闌更
苔の露十三塚の螢かな/泉鏡花
天井に露の歯車紬織/古舘曹人
笋の露あかつきの山寒し/支考
濡落の雫晴れけり菊の露/朱廸
お側近う囀がたし心の鳥/露言
入墨も余生の薄さ露青光/林翔
芋の芽の出揃ふ露や時鳥/巴流
しら露や無分別なる置所/宗因
俳句例:21句目~
漂へるごとくに露の捨箒/風生
水梨や幾秋の夜の露の味/乙州
蓬生や露の中なる粉引唄/一茶
おく耳に声の数など子規/露山
夕朝の露で持たる世界哉/一茶
石白く粗く化野露佛/高澤良一
露深く朝顔の花の並び哉/聞詩
狩衣の露けき袂薪能/武川明子
山廟や露の葎に鬼瓦/寺田寅彦
鴾啼て雲に露ある山路哉/挙白
一山の要に露の千光寺/長田等
遠空の露の茜や宝塚/飯田蛇笏
涼しさは露の大玉小玉哉/一茶
鐘樓の瓦に露の葎哉/寺田寅彦
白砂や露の貝殻鏤めて/石塚友二
朝露や猪の伏す芝の起上り/去来
露葎まだやはらかき蝉の殻/竹代
朝露や菊の節句は町中も/炭太祇
就中學窓の灯や露の中/飯田蛇笏
露萩もおるるばかりに轡虫/越人
俳句例:41句目~
山の宿三代にして露の墓/大串章
山國の蝶眠りゐる露けさに/林桂
葛村の茂平次寄進露の磴/飴山實
山墓の石も巷も露の秋/石塚友二
山妻の着る紺絣露の秋/山口青邨
白菊に置得たり露置得たり/嵐山
朝風の零す旋律露しぐれ/湯川雅
綿虫や露坐の仏の厚瞼/石川文子
零露して関守諷ふ頭巾かな/几菫
市人の物うちかたる露の中/蕪村
いざゝらば露よ答よ合点か/一茶
隣の後家小笹の露や秋の暮/調鶴
笠の露も杉の匂ひや霧の朝/呑溟
涼しさや雨を露なる竹の月/太祇
億万の仏の露の高野山/皿井旭川
門前や一本槇の露時雨/松瀬青々
引寄て蓮の露吸ふ汀かな/炭太祇
聖時鐘蜻蛉ら露を啣へ飛ぶ/林翔
木槿にも松にも露の一夜哉/米園
金剛の露ひとつぶや石の上/茅舎
俳句例:61句目~
稲妻にこぼるゝ音や竹の露/蕪村
遺愛とて露も置くべき丸硯/林翔
猪に露の事あり最晩年/永田耕衣
逍遥の神父を濡らす露葎/向井秀
送火は乾かすものを袖の露/巴流
猪の露折かけてをみなへし/蕪村
汗や露おのが染たる柿帷子/自鶴
露の玉百千万も葎かな/川端茅舎
花薄暁の鐘に露ほろ~/藤野古白
今朝ぞ置く竹の下露自在釜/鉄丸
なら漬桶糟残りけり新茶好/露言
躓くや磴のぼる露の虫/小林康治
日が月に代りて露の芒原/森澄雄
赤玉の木の実も降や露時雨/一茶
莟とも見えず露あり庭の萩/其角
猫拾ひ来て長子立つ露時雨/原裕
白雲の寂花蓼の露百顆/石原八束
修復の露の一燈神楽殿/木村蕪城
晩菊の露や墓前を鎧ふ松/及川貞
暁の仏拝むや嗚呼露と/尾崎紅葉
俳句例:81句目~
丸茄子朝露弾く梵天丸/高澤良一
柱抱き清の王朝露景色/鳴戸奈菜
暁の露山荘の障子かな/西山泊雲
暁の骨に露置く焼場哉/正岡子規
笹の葉の露にも星の一夜哉/亀友
鶏頭の白からんまで露微塵/青邨
鶏をつれて人ゆく露の中/原田喬
主病む露の箒を柴垣に/橋本鶏二
きくの露受て硯のいのち哉/蕪村
白樺の大露に咲く鳥兜/飯田蛇笏
暁や六日の菖蒲露の闇/松瀬青々
一点の露の光芒拡大す/中村汀女
暁や栗毛駆けぬく葛が露/齋藤玄
月蝕の露にあてまじ白牡丹/木導
魂に玉消ぬ仏に萩の露/上島鬼貫
芋の露野守の鏡何ならん/炭太祇
露はらり~大事のうき世哉/一茶
初露に風さへしめる扇かな/秋色
露はしる紫式部白式部/和田祥子
露涼し掌ほどの畠づくり/上村占