「月見草」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「月見草」について
【表記】月見草
【読み方】つきみそう
【ローマ字読み】tsukimiso
子季語・関連季語・傍題・類語など
・待宵草(まつよいぐさ:matsuyoigusa)
・大待宵草(おおまつよいぐさ:omatsuyoigusa)
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季節による分類
・「つ」で始まる夏の季語
・「夏の植物」を表す季語
・「晩夏」に分類される季語
月ごとの分類
月見草を含む俳句例
干網に光る鱗や月見草/西山泊雲
美しき蝶の顎や月見草/齋藤愼爾
床頭台暗し月見草が欲し/岸田稚
月見草臭の消えし船残る/中拓夫
鉞半島突端の大待宵草/高澤良一
月見草山城たりし砦石/山本洋子
釣人の籠の重さや月見草/林久子
月見草重ねて薄き旅衣/西村雅苑
夕暮に白妙ふるへ月見草/藤間綾子
浦人に廓今亡し月見草/下村ひろし
月見草客車一輛夜の駅に/桜井博道
月見草荒磯の墓の薄暮光/石原舟月
月見草赤くしぼみて落もせず/篠原
夕潮に纜張りぬ月見草/五十嵐播水
月見草帰り俥が拾ひし客/鈴木栄子
月見草涙見せじと海を見る/星野椿
影絵劇一団下車す月見草/山口青邨
乳色の空気の中の月見草/高浜虚子
五六歩に海遠去りし月見草/斎藤玄
月見草咲く絶海に絶天に/阿部誠文
俳句例:21句目~
月見草雲の暗さが村の端/桜井博道
わが心海より昏し月見草/福田蓼汀
コンテナを砦に港月見草/岩崎照子
月見草ひらき男の子守唄/渡辺桂子
友の下宿に庖丁錆びる月見草/林桂
月見草今宵は女同士かな/黒川悦子
月食や首を傾げる月見草/船平晩秋
水音の中を歩いて月見草/末光令子
汝と我の間の月見草ひらく/上野泰
洗髪乾きて軽し月見草/松本たかし
月見草梟の森すぐそこに/川端茅舎
焼跡の東京広し月見草/成瀬桜桃子
狐雨ふる田貫湖の月見草/萩原麦草
知床の沼汚れなし月見草/山崎靖子
短きは膝の高さの月見草/京極杞陽
私の前を私が歩く月見草/原子公平
月見草爆震露を払ひけむ/林原耒井
考へに沈める女月見草/成瀬正とし
耳重き兵隊溜まる月見草/大屋達治
腕たてふせ百回の罰月見草/竹中宏
俳句例:41句目~
陽炎や砂より萌ゆる月見草/秋櫻子
鬣は馬のせつなさ月見草/松山足羽
待宵草林立石油備蓄基地/高澤良一
待宵草鳥海丸は繋がれて/高澤良一
月見草踏切番にいとまあり/木村蕪城
月見草垣外の草と匂ひ合ふ/林原耒井
八ケ岳まなかひにあり月見草/町春草
月見草夕月よりも濃くひらく/安住敦
月見草始発電車は風はらみ/大井雅人
壺の肩愛する孤り月見草/河野多希女
月見草神の鳥居は草の中/水原秋櫻子
夕べ着き朝発つ宿の月見草/安沢阿弥
月見草砂地は風の吹くままに/桂信子
月見草月より翳を貰ひけり/藤本朋子
夕闇に浮かぶ孤舟の月見草/吉居珪子
月見草煤煙朝の海に降る/水原秋桜子
月見草水平線の上に吹かれ/高澤良一
月見草一刀あらば野を拓く/古舘曹人
月見草早瀬にひとり髪洗ふ/田中冬二
月見草別れてのちの山霧は/臼田亞浪
俳句例:61句目~
月見草いたる処に萎れけり/野村喜舟
朝の声濤が消しゆく月見草/桜井博道
夜の燈も乏しき村や月見草/香西照雄
汐浴の衣投置くや月見草/石島雉子郎
さゆらぎは開く力よ月見草/稲畑汀子
汽車煙熱きがかかる月見草/鷹羽狩行
天地のあひびき長し月見草/三橋鷹女
派出所の交替勤務月見草/大野伊都子
月見草われは掌ひらきたり/清水径子
潮ごみに鐘つく寺や月見草/会津八一
潮風に今開きけり月見草/石島雉子郎
月見草かく美しき宵ありき/星野立子
燈の障子月見草色妻和むか/香西照雄
月見草霧の中より波つぶて/今瀬剛一
富士の霧圧倒し来る月見草/富安風生
猛犬の女あろじや月見草/五十嵐播水
対岸が灯れば滲む月見草/長谷川秋子
月見草白沙を神の御前まで/前田普羅
砂浜で転んでからの月見草/大西泰世
月見草夕べ誰かの来る予感/栗本秀子
俳句例:81句目~
窓開き遅き夫待つ月見草/岩波千代美
竹割つた気性高きに月見草/古舘曹人
織娘帰る鉄道沿ひに月見草/沢木欣一
月見草開かんとして力あり/高濱年尾
月見草鉄砲水を忘れけり/文挟夫佐恵
一つ蛾に浜の月見草みなひらく/林翔
耶蘇島の夕波しづむ月見草/正林白牛
月見草未完の家に闇つまる/横山房子
松の根も石も乾きて月見草/中村汀女
牛の群歩き出す意ぞ月見草/古舘曹人
雨の中開きつゞけて月見草/高浜年尾
雨粒のそれかあらぬか月見草/飴山實
雲下りきて一雨の月見草/藤田あけ烏
風に舌出して子供や月見草/山西雅子
風紋の夕づく砂丘月見草/小原菁々子
馬市の跡は荒地の月見草/大木あまり
月見草は身の丈の花吾子嗅ぐよ/林桂
籠の中しづかになりぬ月見草/今井聖
帰らざる人を待宵草と待つ/川口咲子
月見草萎れし門に帰省せり/前田普羅