「霾」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「霾」について
【表記】霾
【読み方】つちふる/ばい
【ローマ字読み】tsuchifuru
子季語・関連季語・傍題・類語など
・黄沙(こうさ:kosa)
・黄塵万丈(こうじんばんじょう:kojimbanjo)
・蒙古風(もうこかぜ:mokokaze)
・霾天(ばいてん:baiten)
・霾風(ばいふう:baifu)
・つちかぜ(つちかぜ:tsuchikaze)
・霾晦(よなぐもり:yonagumori)
・つちぐもり(つちぐもり:tsuchigumori)
・よなぼこり(よなぼこり:yonabokori)
・胡沙来る(こさきたる:kosakitaru)
・胡沙荒る(こさある:kosaaru)
・よなぼこり(よなぼこり:yonabokori)
・胡沙来る(こさきたる:kosakitaru)
・胡沙荒る(こさある:kosaaru)
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季節による分類
・「つ」で始まる春の季語
・「春の天文」を表す季語
・「三春」に分類される季語
月ごとの分類
霾を含む俳句例
霾や渋紙色に月出でて/島汀子
公園に老人多し霾晦/蟇目良雨
霾や太古の如く人ゆきゝ/杜門
黄塵に染む太陽も球根も/羽公
岸壁に来し郵便車黄砂降る/白虹
霾の底に現はれ大車群/永井龍男
軍装の父の写真や霾れり/石嶌岳
霾風に雨落ちて来ぬ罌粟畑/善雄
霾ると蘆原色を失ひぬ/向笠和子
霾や隅に片寄る田の金魚/原好郎
霾や空海越えし海一つ/有馬朗人
霾や小さく古き一城市/遠藤梧逸
黄塵の疾風の中の梅白し/上村占
霾も知らず遺愛の車かな/堀恭子
殷亡ぶ日の如く天霾れり/有馬朗人
雛市や黄塵荒ぶ仁王門/石田あき子
黄塵に巷消えさり受難節/井沢正江
洛陽は霾る街と思ひをり/小野郁巴
霾ぐもり大鉄橋は中空に/山崎星童
霾や旅信に唐の切手貼る/河野頼人
俳句例:21句目~
霾や秘密を好む小人たち/二村典子
黄塵は盗掘村を隠すべし/下村梅子
霾や肉鳥として駝鳥飼ふ/小室風詩
黄沙降る少年の夢語れ語れ/今井豊
黄塵や銭を泉の露店板/百合山羽公
霾るや風呂敷で来し蝮酒/松山足羽
黄塵を日輪すすむ檻の声/桂樟蹊子
霾天や砂漠が抱く月の湖/山田凉子
蓬生に二日つづきし黄沙かな/省二
青麦にオイルスタンド霾る中/風生
放牧の牛の百頭黄沙降る/藤井啓子
黄塵のくらき空より鳩の列/鈴木元
鳥影も霾る淡さ仏訪ふ/大岳水一路
万祝着赤地金文字霾れり/毛塚静枝
万里ただ霾る中の鳶一つ/有馬朗人
つちふるや島に短き滑走路/中村房子
幻の黒き人馬に霾降れり/小松崎爽青
山国の伊賀に霾る一日かな/藤井充子
大寺の大屋根反らす霾る中/上井正司
黄塵の巷の日向人を見ず/川島彷徨子
俳句例:41句目~
黄砂降り籠にけばだつ白兎/横山房子
大いなる阿蘇霾天の下にかな/有働亨
霾や波をかぶりて画舫着く/原田青児
六甲の稜線仄と黄沙降る/稲畑廣太郎
黄塵の空に駱駝が首伸ばす/小野麦村
霾や母国語少しづつ忘れ/鈴木きぬ絵
霾るや何も映さぬ心字池/穂坂日出子
黄塵や光うしなふ一枚田/阿部ひろし
屋上園春の黄塵降りかすみ/石塚友二
戦没碑瓶の中まで黄砂降る/宇都宮靖
戦艦は海底にあり黄砂降る/大庭紫逢
故郷は海峡の果て黄砂降る/武内英子
黄塵や逃げし緋鯉が橋の下/岸本尚毅
南無佛と魔道をゆけば霾るや/中勘助
セイウチの肉の罐詰霾りぬ/小川軽舟
黄砂降る長城に立つ葬り終へ/杉本寛
霾やひよこ固まる小屋の隅/田中俊尾
霾ふるや砲架砲脚担ひえず/小林康治
炎天の蝶黄塵に吹かれけり/臼田亞浪
玄海に烽の道や黄沙来る/柴田佐知子
俳句例:61句目~
雀らに天の重さや霾ぐもり/石野冬青
肺臓に黄沙あり降る春の雨/佐野良太
ビルはみな角を失ひ霾れる/山田弘子
草に鳴く蛙いぶかし霾ぐもり/有働亨
草稿の黄沙指もて払ひけり/花田由子
黄沙降る台湾メール沖を行く/禅寺洞
霾風やちぎれ汚れし鞭の布/田村了咲
蒙古風熄み城壁に工事あり/京極杞陽
虎ノ腑ニ塵劫無死ノ黄沙天/宮崎二健
霾わたる眉の上なる草の山/岡井省二
艟艨のごとくビルあり霾れる/森田峠
霾れる曠野を居とし遊牧す/柳村苦子
霾れり黄河文明起りし地/鮫島春潮子
霾るや自販機で売る烏籠茶/福原紫朗
霾るや星斗赤爛せしめつつ/小川軽舟
霾るや旅信に唐の切手貼る/河野頼人
霾りて風の乾きし匂ひかな/山下美典
鴉の巣黄塵槻を流れ去り/市村究一郎
真円き夕日霾るなかに落つ/中村汀女
清瀬病床松籟となれこの黄沙/及川貞
俳句例:81句目~
黄沙降る夕日駱駝の腫れ瞼/佐野美智
二三日大いに吹いて霾れる/倉田紘文
霾や立ちあがりくる兵馬俑/上阪幸恵
飛騨の人黄塵あげて種おとし/萩原麦草
霾の底壊滅のごと灯を点す/小松崎爽青
黄砂降る黒き瞳のかなしみに/野澤節子
黄砂舞ふ孫子の生地魯か斎か/田中英子
黄砂来る胸に馬蹄のペンダント/高橋叶
霾りて鴉の鳴かぬ日なりけり/藤原零子
霾るやひよこ固まる小屋の隅/田中俊尾
不漁期の網曝け出す黄塵裡/下村ひろし
冬帽の黒脱げば斑らなり黄塵/石塚友二
霾るや兵馬の想ひ遠くなりぬ/小林康治
大陸の黄塵を歯に噛みて征く/日野草城
宙吊りの愛在り海へ降る黄砂/寺井谷子
早梅や黄塵あがるこれよりぞ/中村汀女
霾るや還暦に意のまだ副はず/荒井正隆
霾る街帽子目深にして帰る/冨田みのる
黄塵を来し帯といて香じゅ散/清原枴童
霾天に面を包みてうつくしき/田村了咲