「登山」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「登山」について
【表記】登山
【読み方】とざん
【ローマ字読み】tozan
子季語・関連季語・傍題・類語など
・登山宿(とざんやど:tozanyado)
・登山小屋(とざんごや:tozangoya)
・山小屋(やまごや:yamagoya)
・登山杖(とざんづえ:tozanzue)
・登山笠(とざんがさ:tozangasa)
・登山帽(とざんぼう:tozambo)
・登山馬(とざんうま:tozanuma)
・登山口(とざんぐち:tozanguchi)
・登山地図(とざんちず:tozanchizu)
・登山網(ザイル:zairu)
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季節による分類
・「と」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「晩夏」に分類される季語
月ごとの分類
登山を含む俳句例
登山駅欅林へ雲聚め/河野南畦
妹に蛞蝓溶ける登山小屋/萩原麦草
健脚を前後に配し登山隊/高橋逸郎
登山服妻の恐るゝ界へ発つ/堀内薫
扇白く登山の客の逗留す/石井露月
大津市を黙々登山隊通る/茨木和生
霧流れ積石に吾も石加ふ/宮坂静生
岩に貼る登山教室予定表/木村滄雨
短夜や芒踏まるゝ登山口/中島月笠
夏川や鳥居太しき登山口/小澤碧童
夫婦松登山道路を岐れしむ/森田峠
登山道石斧に似たる石拾ふ/森田峠
草の実や閉鎖間近き登山道/塙きく
誰が為に登山の女人梳る/山口誓子
馬の口とるは女や登山口/野村泊月
登山地図滝一徹の音止めず/河野南畦
登山地図見て打合はす岩釣/茨木和生
登山道一歩より急天まで急/山口誓子
一散の山霧を漕ぐ登山杖/上田日差子
健かな吾子と相見る登山駅/杉田久女
俳句例:21句目~
登山装灯の大阪に帰り着く/右城暮石
登山杖指しゐるは伊豆の海/松藤夏山
善光寺内陣登山靴提げて/山崎ひさを
断崖に向かひ休めり登山馬/西田浩洋
村々の上の高きに登山駅/大橋櫻坡子
看板のぽつりと示す登山口/山内/梓
店先に売れずともよき登山杖/森田峠
登山靴履く晩年の句一念/小川原嘘帥
茯苓を一顆になへり登山杖/飯田蛇笏
梁板を大きく揺らす登山靴/岡田史乃
水垢離の暁の声々登山宿/鈴鹿野風呂
溝萩やバケツで洗ふ登山靴/皆川盤水
滝川の中行く登山道なれば/山口誓子
登山者のわが庭通る晴天也/久米正雄
熊よけの鈴を響かせ登山帽/安部恵子
登山帽扇にしつつ友を待つ/桜井博道
犬が来て登山電車を見送れる/辻桃子
妹を率て金剛力や富士登山/飯田蛇笏
登山馬脚ふみかへて脚馴らす/島村正
繭を煮る臭ひや夜の登山口/笠原古畦
俳句例:41句目~
草餅や登山の博士学士達/石島雉子郎
蓬の香放ちてゐたる登山馬/伊藤通明
繋がれて蹄を鳴らす登山馬/稲荷島人
後ろより兀と迫れる登山靴/高澤良一
銀漢や馬柵をこえ発つ登山隊/金子潮
頂きにケルン残して夏終る/稲垣一雄
雲ふかき廻廊におく登山帽/岡田壮三
雲中を行く六尺の登山杖/片山由美子
霧を来ていま群青の登山隊/篠田悦子
青年は登山具鎧ひ原爆忌/百合山羽公
頂上や風入れてゐる登山靴/太田土男
山登るほど流星の音すなり/対馬康子
山荘に颱風禍ありケルン立ち/及川貞
軒下にかたむき停り登山バス/森田峠
木天蓼の蔓引掛けし登山バス/茨木和生
来世には天馬になれよ登山馬/鷹羽狩行
登山小屋丑三つ時を飯炊ける/福田蓼汀
一塊の闇のまま過ぐ登山人/岩淵喜代子
舗装路を歩き疲れし登山者よ/右城暮石
胡桃落ち瀬音高鳴る登山基地/吉澤卯一
俳句例:61句目~
水渉りゆかねばならぬ登山口/稲畑汀子
さて登山姿や新しきづくめ/波多野爽波
じつくりと時代に遅れ登山小屋/仲寒蝉
登山杖神より我に授かりし/深川正一郎
火口への道知りつくし登山馬/石井晴治
ひらりひらり登山講の渋団扇/会津八一
焼印の濃きを選びて登山杖/片山由美子
ふくらはぎ叩けば騒ぐ登山靴/雨宮抱星
登山鉄道満員勤労感謝の日/相河美智子
登山道瓦礫に明けて早や暑し/下村槐太
登山の荷軽き眼鏡を加へけり/穂苅きみ
理髪屋に穂絮のまへり登山日/宮坂静生
吹いて飲む力あめ湯や登山宿/山田聴雨
登山径いで湯の土間を通り抜け/原柯城
登山する事後承諾に母不服/小竹由岐子
登山でもゴビ沙漠でも大丈夫/櫂未知子
登山衆揃ふ橋上の未明かな/金尾梅の門
登山杖どちらの店のものなるや/森田峠
噴煙へ馬ひきむけつ登山かな/皆吉爽雨
草刈が入りてかへらず登山径/前田普羅
俳句例:81句目~
天高し登山ゴンドラ片猿臂/百合山羽公
落伍せし登山仲間に帽子ふる/日比大石
落石を追ひて星飛ぶ夜の登山/河北斜陽
始発待つベンチの朝寝登山口/癸生川昭
薔薇園に入る新調の登山帽/中戸川朝人
子をつれし雷鳥よぎる登山道/山本康郎
踏む音の独りの時の登山靴/吉村ひさ志
客ついて大夜すすぎや登山宿/皆吉爽雨
登山馬憩へるときは山見つむ/松裏薙世
登山馬人乗せしまま泉飲む/山口波津女
雲の上の人となりけり登山宿/藤崎幸恵
登山隊発ちて見送る茶屋の者/松藤夏山
雲よりも草のやさしき登山口/楠本信子
登山客ちらばりかけて縁長し/岡田耿陽
雷神をのぞめる僕や富士登山/飯田蛇笏
霧に点す登山電車や下校どき/青木泰夫
霧をゆく父子同紺の登山帽/能村登四郎
我が一歩君が一歩や登山靴/今井千鶴子
揃へある鬼のやうなる登山靴/清水静子
散歩して少しのぼりぬ登山道/野村泊月