「籐椅子」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「籐椅子」について
【表記】籐椅子
【読み方】とういす
【ローマ字読み】toisu
子季語・関連季語・傍題・類語など
・籐寝椅子(とうねいす:toneisu)
–
季節による分類
・「と」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
籐椅子を含む俳句例
一碧の水平線へ籐寝椅子/篠原
歳月の鈍き飴色籐寝椅子/狩野朝子
信州は嶺の夕陰籐寝椅子/桂樟蹊子
杖一竿洋書若干古籐椅子/富安風生
星涼し遊歩甲板の籐椅子に/岸風三楼
籐椅子に深々沈むペイネ館/高澤良一
籐椅子に深くかけてぞ老いし人/篠原
籐寝椅子悪夢に髪を挟まれる/蔦悦子
籐椅子に寝て母人に聞く話/京極杞陽
週末は虹を門とす籐寝椅子/中島斌雄
遠き日の父と波音籐寝椅子/清水節子
籐椅子の母に及ばず扇風機/久米正雄
古妻に先をこされし籐寝椅子/原柯城
鎌倉は雲流るるよ籐寝椅子/高橋淑子
中風の胡桃落すや古籐椅子/野村喜舟
籐椅子を愛し身辺の句を愛す/安住敦
六階の売籐椅子に腰も掛け/高木晴子
籐椅子と同齢吾も飴色に/岡本まち子
籐椅子にあれば草木花鳥来/高濱虚子
籐椅子が届きて皆に坐らるる/角光雄
俳句例:21句目~
籐椅子や青松毬を夕眺め/楠目橙黄子
籐椅子になびく隣家の薄煙り/桂信子
山荘の月日籐椅子にも月日/稲畑汀子
籐椅子や海の傾き壁をなす/山口誓子
籐椅子や斎館広き縁を持つ/高浜年尾
籐椅子も句机もいま山荘に/高木晴子
父旅に父の籐椅子空いてをり/上野泰
籐寝椅子瞑想録をかたはらに/長谷川櫂
あれ程の嘆きを籐椅子に睡り/江口喜一
籐寝椅子果実のごとき女あり/長谷川櫂
籐寝椅子その俤のよこたはる/長谷川櫂
籐椅子の位置を正して客を待つ/北川草
まづしさの籐椅子はある朝/栗林一石路
一生の疲れのどつと籐椅子に/富安風生
休日の海のひろがり籐寝椅子/赤尾恵以
両舷の景相似たり籐寝椅子/山口波津女
青海に濡れ来し髪膚籐寝椅子/中島斌男
籐椅子のどこか光りて部屋暗し/森田峠
山荘の刻とどまれる古籐椅子/山田弘子
籐椅子飴色何々婚に関係なし/鈴木栄子
俳句例:41句目~
揺籐椅子ゆれてゐるのも退屈な/辻桃子
新任の宿屋住居の籐椅子かな/唐沢樹子
籐椅子を立ちて来し用忘れけり/安住敦
朝が来ており電球に籐椅子に/小宅容義
籐椅子の人に風ある二階かな/島田青峰
松の花こぼるる椽の籐椅子に/田中冬二
洗ひ髪かはく間月の籐椅子に/杉田久女
籐椅子が廊下にありし国敗れ/川崎展宏
籐椅子や海鳴り近き子の眠り/寺山修司
用ゆれば古籐椅子も用を為す/高浜虚子
籐椅子が四つ四人姉妹会ふ/橋本多佳子
籐椅子の唯静かなる朝日かな/島田青峰
籐椅子にゐて塩田が見渡され/岸本尚毅
籐椅子に形よき脚組みゐたり/長谷川櫂
籐椅子もなくて畳にはらばひぬ/上村占
籐椅子の籐のほつれも飴色に/伊藤敬子
籐椅子におのが重みを感じをり/上野泰
籐椅子や顔あぐるたび島一つ/細川加賀
爪先にとどく潮騒籐寝椅子/片山由美子
籐椅子に青山聳てり並びかく/岸風三楼
俳句例:61句目~
堂縁に籐椅子も置ける客設け/高濱年尾
胸病みし父を偲べば籐寝椅子/今泉貞鳳
退官のやはり淋しく籐寝椅子/遠藤梧逸
籐椅子や読むべきものに堀辰雄/安住敦
籐椅子や背に故旧呼ぶ風の声/老川敏彦
醒むるたび浪音白し籐寝椅子/中島斌男
籐椅子に父とは杳き煙草の香/鈴木栄子
籐椅子に刺繍の海を刺し広ぐ/佐久間尚子
籐椅子に夜々ある湖の真暗がり/日置草崖
籐椅子に夜を大事にしてをりし/嶋田一歩
籐椅子に巻紙垂らしつつ読めり/岩崎照子
籐椅子に師あれば簷に富士青し/岸風三楼
籐椅子に心沈みて午寝かな/長谷川零餘子
籐椅子に日影及びしが今は無し/島田青峰
籐椅子に時計が鳴つて濃き没日/赤尾兜子
籐椅子に暮れゆく高嶺見てゐたり/及川貞
籐椅子に海荒るる日の衿きよし/中嶋秀子
籐椅子に眠れば人に忘れられ/岩淵喜代子
籐椅子に寝て人の世の浮き沈み/大野高洲
籐椅子のうしろ姿もなまめかし/岸風三楼
俳句例:81句目~
籐椅子の誘はれ欠伸噛みにけり/石川桂郎
籐椅子の軋みは己が身のきしみ/八染藍子
籐椅子の骨が鳴りしか吾が骨か/今瀬剛一
籐椅子やひと日かならず夕あり/井沢正江
籐椅子や一日かならず夕べあり/井沢正江
籐椅子や壁に貼られし慰問図画/皆川白陀
籐椅子や旅にしありて今朝の雨/長谷川櫂
籐椅子や暮れて晩年まる見えに/西川五郎
籐椅子や潮のなぎさは垣がくれ/木津柳芽
衣更へてあかるき縁の籐椅子に/田中冬二
部屋模様替へ籐椅子を二つ置く/星野立子
雪嶺に対す籐椅子ふたつ置かれ/岸風三楼
悪阻とは船酔に似て籐寝椅子/嶋田摩耶子
歳月のゆるび我が身に籐寝椅子/木村風師
胸元へゆるき夜が降り籐寝椅子/嶋田麻紀
はたらきし手を籐椅子にまかせをり/林翔
農婦来て病むかと問ひぬ籐寝椅子/岡本眸
夏藤のこぼれて籐椅子朝のまゝ/高野素十
星の話などして船の籐椅子に/千本木溟子
東京に住む籐椅子を置きにけり/遠藤梧逸