「唐辛子」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「唐辛子」について
【表記】唐辛子
【読み方】とうがらし
【ローマ字読み】togarashi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・蕃椒(とうがらし:togarashi_)
・南蛮(なんばん:namban_)
・南蛮胡椒(なんばんこしょう:nambankosho)
・高麗胡椒(こうらいこしょう:koraikosho)
・天井守(てんじょうもり:tenjomori)
・さがり(さがり:sagari)
・天竺まもり(てんじくまもり:tenjikumamori)
・鷹の爪(たかのつめ:takanotsume)
・ピーマン(ぴーまん:piman)
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季節による分類
・「と」で始まる秋の季語
・「秋の植物」を表す季語
・「三秋」に分類される季語
月ごとの分類
唐辛子を含む俳句例
新涼や豆腐驚く唐辛子/普羅
闘鶏実を倒や蕃椒/高橋馬相
今一奮発~唐辛子/高浜虚子
枝々に別るる秋や唐辛子/酒堂
腸に酒の爛れや唐辛子/小杉余子
秋深し日暮れの畑の唐辛子/龍男
真白な皿に一本唐辛子/中嶋秀子
百姓の重き足過ぐ唐辛子/岸田稚
和尚芋寺男唐辛子かな/小杉余子
風幾重唐辛子畑ほの泛ぶ/岸田稚
西瓜さへ表は青し蕃椒/正岡子規
蓑虫の鳴く時蕃椒赤し/子規句集
五月雨や硯箱なる番椒/服部嵐雪
唐辛子泪枝折や鬼の角/井原西鶴
波だちし刹那の空気唐辛子/斎藤玄
お年忌のくる軒先に唐辛子/原田喬
片意地を通し捻れて唐辛子/長田等
唐辛子つれなき人に参らせん/百池
買初にかふや七味唐辛子/石川桂郎
米櫃に米屋が呉れし鷹の爪/森重夫
俳句例:21句目~
細きかな縁切寺の唐辛子/有馬朗人
老僧の古りし箱膳唐辛子/古賀虹坡
唐辛子真昼影なき海の音/秋田志峯
葉陰なる花蕃椒なき如く/稲畑汀子
蕃椒広長舌をちゞめけり/子規句集
蚊柱や青唐辛子焼く匂ひ/大谷句佛
鶏頭やされども赤き唐辛子/森澄雄
赤鬼も青鬼もゐて唐辛子/藤岡筑邨
軒先に唐辛子垂れ癩一家/菖蒲あや
辛辣の質にて好む唐辛子/高浜虚子
わが胸に阿修羅一本唐辛子/関礼子
雪沓に唐辛子入れ山の僧/河村静香
唐辛子二束八十歳の朱さ/和知喜八
唐辛子鮮烈人に遇はぬ村/和田祥子
三つちぎり得させよ青き蕃椒/蕪村
喰かゝり残すべからず唐辛子/来雨
世を疎み奥の柱に唐辛子/古館曹人
奥久慈の野の叫喚は唐辛子/松本進
京は今愚庵の柚味噌蕃椒/寺田寅彦
尼寺の戒律こゝに唐辛子/高浜虚子
俳句例:41句目~
今日も干す昨日の色の唐辛子/林翔
唐辛子暗き色もて爭へり/松村蒼石
悪の利く女形なり唐辛子/子規句集
新米に葉唐辛子を目分量/高澤良一
古釘や今年はつるす蕃椒/会津八一
時雨るるや古き軒端の唐辛子/炉柴
いつこくに徹す棟梁唐辛子/高木静花
補陀落や曲り角には唐辛子/柿本多映
蕃椒人は奢りて老いにけり/倉田萩郎
母方の山遠くする唐辛子/小島千架子
煮る前の青唐辛子手に久し/日野草城
唐辛子山の入日は色濃くて/福西一刀
漬物に主人が世話や蕃椒/赤坂美代女
唐辛子沢山干して恐ろしき/遠藤梧逸
唐辛子風筋軒をうかがへる/河野南畦
とりもちて蕃椒枯れそ唐錦/飯田蛇笏
とり入るゝ夕の色や唐辛子/高浜虚子
料峭や藁でくくりし鷹の爪/佐藤信子
ほんものよ復元村の唐辛子/奈良文夫
みづからの辛さで曲り唐辛子/檜紀代
俳句例:61句目~
色に出る前の唐辛子の気持/清水径子
真紅とは瞼にともる唐辛子/中村明子
一聯の世にも真赤な唐辛子/遠藤梧逸
一莚唐辛子干す戸口かな/河東碧梧桐
秋風の八方に吹き唐辛子/柴田白葉女
地蔵会の日暮に赤き唐辛子/角川春樹
唐辛子溂としていびつなり/中嶋秀子
何見るとなく水上の唐辛子/飯田龍太
冬ざれの牛に真赤な唐辛子/大貫弘司
唐辛子烏の嘴程赤きかな/広江八重桜
滝津瀬に獲しならね唐辛子/尾崎迷堂
唐辛子ぐいぐい曲り爺婆村/熊谷愛子
干し上げて漆びかりや唐辛子/浅井啼
唐辛子必ず畝のはしにあり/鈴木花蓑
秋すでに種唐辛子その夕日/草間時彦
唐辛子は赤し新酒は酒倉に/田中冬二
墓裏の人の背に似る唐辛子/古舘曹人
盗みたる新酒の味や唐辛子/寺田寅彦
唐辛子まだ芯青く灘へ干す/尾崎隆則
白馬の辛さはからし唐辛子/会津八一
俳句例:81句目~
唐辛子一ツ二ツは青くあれ/正岡子規
登校のこゑを好める唐辛子/飯田龍太
心して塵に染まらぬ鷹の爪/高澤良一
唐辛子両手にうけて立話/相生垣秋津
唐辛子忿怒の口を押へ込む/佐原トシ
唐辛子思ひこなさじ物の種/松尾芭蕉
唐辛子絲瓜の國を忘るゝな/寺田寅彦
唐辛子勾玉吊りに飛鳥みち/長谷川翠
唐辛子千枚漬に染みにけり/瀧井孝作
唐辛子台風すぎし天を指す/水谷晴光
父病みて火種のごとき唐辛子/上田操
燗もせぬ新酒の味や唐辛子/寺田寅彦
唐辛子君子庖厨に遠からず/寺田寅彦
母下げし高さに赤し唐辛子/田中愛子
唐辛子日に~秋の恐ろしき/子規句集
牛小屋の夜からからと唐辛子/中拓夫
松過やよろづに七味唐辛子/岸本尚毅
唐辛子雲を流浪の塊と見し/斉藤夏風
那須野過ぐ芒のあとの唐辛子/森澄雄
隠さぬぞ宿は菜汁に唐辛子/松尾芭蕉