俳句例:101句目～
一の滝二の滝三の滝涼し/中川四明
一の滝瀟洒二の滝奔放に/山口青邨
瀧水と瀧壺の水分ちなし/青木重行
爽かに双白髪の滝といふ/遠藤梧逸
滝神に飛ばす賽銭花の雲/高井北杜
滝となる数間上みを渉る/右城暮石
滝柱水駆け昇り乱れ落ち/福田蓼汀
熊路野は滝四十八鵙日和/細川加賀
巌頭に妻を残して滝行者/三木朱城
滝水の巌過ぐとき巌いろ/高澤良一
瀧夜や誰か寝て行鹿島船/加舎白雄
甍滝の如し囀る松の中/楠目橙黄子
滝案内して乱世の一と日尽く/原裕
楢桂滝の光芒みなぎりつ/渡邊水巴
瀧の水青空へ蜂吹きはらひ/中田剛
滝壺の水柔かく流れ出づ/右城暮石
滝壺の青を藍とし雲はしる/桂信子
滝つせの糸の乱や神の旅/島田五空
三段の小滝の懸り山葵澤/山川喜八
滝径やわきて露けき花薊/西島麦南
俳句例:121句目～
瀧の水捩れほそりて草の下/中田剛
滝巾の風の通路に佇めり/高澤良一
滝口の日ざし明るき若楓/館岡沙緻
滝口に草刈鎌を忘れけり/山本洋子
滝水に鼠捕り器の鼠浸す/右城暮石
乱れなき二百十日の滝仰ぐ/林糺苑
乾坤に一条の滝暮れ残る/石原八束
乾坤を滝貫いて人語なし/岩垣子鹿
二の滝の音の交響神帰る/橋本榮治
山雀の声が滝吹く谷伝ひ/臼田亜浪
滝殿のしぶきや料紙硯箱/子規句集
瀧の大音響吾を孤立さす/津田清子
滝の空蔽ふ葉透けて皆楓/鈴木花蓑
濡れ岩の榧青々と滝嵐/佐野青陽人
栃茂り光芒あをき奥の滝/岡田貞峰
鮎鮓や生きてよし野の瀧の/森鴎外
泉石をはづるる滝や青嵐/飯田蛇笏
屹立の古城の下に滝流れ/渡部よね
滞布より記憶の滝のおつる音/原裕
滝となる瀬に住むや伊賀境/堤保徳
俳句例:141句目～
岨道の上り下りや滝の道/高浜年尾
真言の秘密々々の滝の音/京極杞陽
音止の瀧の音澄む蕗の薹/青木重行
供物なる筍太し飛瀧神/下村ひろし
青年ら滝に直面して憩ふ/津田清子
断崖や滝の全重量を懸け/津田清子
青山中錫杖滝の音なせり/松山足羽
滝頭ひかりて白身観世音/野沢節子
滝の音あるときつよく椿落つ/夕爾
滝壺に迫る観船大しぶき/磯野多希
八万の毛穴に滝の風涼し/子規句集
満月や地下千丈の瀧の音/鳴戸奈菜
雲中に峰秘めて滝かくれなし/林翔
雲の中滝かゞやきて音もなし/青邨
滝壷の水柔かく流れ出づ/右城暮石
滝音に近づいて行く初詣/保坂嘉子
滝あふる近視痩骨の教師らに/林翔
初護摩の煙の中に滝仰ぐ/中村桑摘
滝壺に生れ死ぬまで水馬/鷹羽狩行
別名を鳥肌立の滝となん/高澤良一
俳句例:161句目～
刻々と瀧新しきこと怖し/矢島渚男
養老の滝滝水を野に配る/右城暮石
瀧みちのかたき椿の花を踏む/中田剛
瀧みちや崖を烟のながれたる/中田剛
瀧三條夕日にかゝる新樹かな/泉鏡花
滝音となる水と水水と石/後藤比奈夫
瀧口に詰めて聞きゐる青嵐/筑紫磐井
瀧壷に瀧煌煌と映りけり/野見山朱鳥
瀧壺のはげしき力誰も見ず/筑紫磐井
滝の前芋煮の鍋をどんと据う/有働亨
おほらかに滝の真中の水落つる/草堂
瀧津瀬の懸れる如く椿咲く/後藤夜半
お滝道僧腹這ひて渡りけり/河野静雲
滝の前跼みて命おとろふや/小林康治
瀧落ちし白さをかこみよどむ紺/篠原
滝の声凜々と降る喜雨亭忌/岡田貞峰
滝道や根笹熊笹清水湧く/野田別天楼
瀧落ちて巖上若葉仄めきぬ/斉藤夏風
滝道も滝もただこれ一枚岩/右城暮石
瀧落つる天の破れや時鳥/松根東洋城
俳句例:181句目～
瀧行の媼が秘めし刺青かな/東條素香
瀧道に栃の實拾ひ現れず/八木林之介
滝道の人一列に揺れてをり/加藤憲曠
瀧音のこもりてをりし天袋/鳥羽三郎
滝の如き新緑貧を遊びをり/小林康治
薄闇に瀧の背中をみつめをる/中田剛
骨砕く音がまじれる冬飛瀑/和知喜八
滝近きけはひの霧に破れ傘/岡田貞峰
玉簾も飛烟も女瀧畏まる/山崎千枝子
琵琶の滝一人静の花ぬるる/宮下歌梯
瑠璃いろの蝶見失ふ滝の空/森藤千鶴
登山地図滝一徹の音止めず/河野南畦
白といふ激しき色に瀧躍る/森本之子
白玉に芋をまぜばや滝の月/榎本其角
白玉や岐かれ岐かれて瀧の水/中田剛
白鞘の一刀まつる滝まつり/桑原視草
真白の滝を遠目に旅ゆくも/金子兜太
滝の時間女身の時間霧を生み/森黄耿
瞑れとわが前を湯滝なだれ落つ/林翔
瞠いて滝の冷気に立ち向ふ/池田泰子
