「滝」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「滝」について
【表記】滝
【読み方】たき
【ローマ字読み】taki
子季語・関連季語・傍題・類語など
・滝見(たきみ:takimi)
・滝見茶屋(たきみぢゃや:takimijaya)
・滝壺(たきつぼ:takitsubo)
・滝しぶき(たきしぶき:takishibuki)
・滝の音(たきのおと:takinoto)
・滝道(たきみち:takimichi)
・夫婦滝(みょうとだき:myotodaki)
・男滝(おだき:odaki)
・女滝(めだき:medaki)
・夜滝(よだき:yodaki)
・滝涼し(たきすずし:takisuzushi)
・瀑布(ばくふ:bakufu)
・飛瀑(ひばく:hibaku)
・作り滝(つくりだき:tsukuridaki)
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季節による分類
・「た」で始まる夏の季語
・「夏の地理」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
滝を含む俳句例
舂や穂麥が中の水車/蕪村
軒下の拵へ滝や心太/一茶
滝殿の柱々や並び居る/篠原
瀧枕夢に舵や抱き茗荷/林桂
炎日に人肌粘し光る滝/原裕
清瀧や夕月かけて小鮎飛/弄我
滝殿やさし来る月の薄烟/嘯山
滝仰ぎ命涼しき袖袂/小林康治
滝壷に梅干の種千沈む/飴山實
清瀧や波に散込む青松葉/芭蕉
一山の力を滝の姿とし/蔦三郎
金輪際此合掌を滝打てり/茅舎
石段に瀧なす雨や時鳥/原月舟
滝壺や波遡る水馬/五十嵐播水
奥や滝雲に涼しき谷の声/其角
八十の齢よろめく滝の前/風生
滝走り来て胸許に青む淵/原裕
滝の上鷹が定める国境/有馬朗人
隠元を膝に娘や滝の前/川端茅舎
望むべし神の滝縦一文字/岸田稚
俳句例:21句目~
滝壺に梅干の種子千沈む/飴山實
杉山に父かと思ふ瀧こだま/原裕
滝水の中やながるる蝉の声/惟然
刻々に何失ふや滝の前/佐野美智
瀧風に煽られし髪梳る/仙田洋子
鐵斎の老い黒き瀧赤き瀧/竹中宏
滝の末渉りたる籬かな/下村槐太
金剛の滝ならび落つ雲の間/青畝
滝殿や玉の響の珊々と/島田五空
時鳥夜滝を見る山の道/子規句集
海に滝落ちて夥しき鴎/石田郷子
滝壺は一瞬の静欲しからむ/林翔
石階の滝のごとしや百千鳥/風生
石穿つ力を秘めし滝の音/きよみ
巌万古御滝万古神杉に/河野静雲
瀧の水汲み夕暮の鍬始/田中裕明
懐手して上段に瀧の音/古舘曹人
暫時は滝に籠るや夏の初め/芭蕉
滝の音万朶の花の奥深く/峰山清
五六丈滝冴え返る月夜かな/蓼太
俳句例:41句目~
夏山の胸襟ひらく滝一つ/轡田進
短か夜や芦間滝るる蟹の泡/蕪村
白藤や小瀧の橋の朱欄干/泉鏡花
滝水で百人前の鯉洗ふ/中川飛梅
白滝や六月寒き水煙り/松岡青蘿
鳴る滝に余りし旅の一時間/原裕
水玉は華厳の螺髪瀧頭/高澤良一
街空に滝音を聴く流民か/徳弘純
蛇穴を出て洞然と滝の音/辻桃子
甦る滝の谺や梅散れり/小林康治
蕗を煮る厨の窓に瀧頭/斉藤夏風
最上川その源の糸の瀧/品川鈴子
放心の一瞬滝の真正面/西村信男
昆虫の螢光すでに滝の道/後藤夜半
閉さでおく坊の雨戸や滝朧/峰山清
滝の上に出て滝見えず青嵐/たかし
千日や千筋に見やる瀧の糸/其/成
明方の滝のよき音血止草/飯田龍太
滝壷に生れ死すまで水馬/鷹羽狩行
滝壺を見て短日の底にゐる/岡本眸
俳句例:61句目~
釜形の滝の音色の扇面に/高澤良一
遠のけば滝音さむき竹林/平井照敏
逆光の嶺一条の滝吊るす/河合凱夫
軽薄に慎重に滝流れ出す/津田清子
滝道へ集む満身創痍の材/右城暮石
暁の星滝壺深く入りしかな/佃藤尾
滝の大音響吾を孤立さす/津田清子
堂裏に小滝二すぢ初不動/吉川草莱
しばらくは瀧に籠るや夏の始/芭蕉
滝道の一本道を引き返す/右城暮石
身の力抜き滝の前去りぬ/菖蒲あや
躓きて心昂ぶる滝の前/八木三日女
読唇の瞳を注がるる滝の前/白鳥峻
すつ~と滝の影さす猫柳/鈴木花蓑
裂帛の叫びは女人滝行者/西岡正保
虹鱒を釣る腹背に滝の音/宮下翠舟
著莪の雨杣の石垣瀧なして/金子潮
萬緑の底に滝あり轟けり/宇田零雨
滝の末徒渉りたる籬かな/下村槐太
草匂ふ瀧は巌に触れずして/中田剛
俳句例:81句目~
滝殿や窟の神も鎮りぬ/河東碧梧桐
花臭木滝真向に真白なり/石田波郷
滝壷を離れし水の行方かな/鎌田亮
糸滝の緑釉の壺大いなる/伊藤敬子
石狩の源の滝きはめばや/野村泊月
ひとつでも皿の揃はぬ小滝鯛/嵐竹
滝になる水湛へたり山粧ふ/菅裸馬
滝なすや四万六千日の雨/有馬朗人
白糸の瀧壺までが白糸で/小野元夫
白妙の滝呑み暗き淵となる/稲岡長
白光の天上天下那智の滝/成田千空
滝壺といふ空の底水の底/吉年虹二
滝川のひびき目に沁む紅卯木/蒼石
滝水の下に滝水割込めり/高澤良一
山人は斧浸しゆく滝水に/萩原麦草
滝神や悪城の壁従者とし/河野南畦
梅雨山中白茫々の狂ひ滝/岡田日郎
岩襞を逸れ水走り風の滝/鈴木花蓑
瀧水の己戦きとどろけり/青木重行
一の滝かくれ二の滝見え来る/莫生