「涼し」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「涼し」について
【表記】涼し
【読み方】すずし
【ローマ字読み】suzushi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・涼気(りょうき:ryoki)
・涼味(りょうみ:ryomi)
・夏のほか(なつのほか:natsunohoka)
・夏のよそ(なつのよそ:natsunoyoso)
・朝涼(あさすず:asasuzu)
・夕涼(ゆうすず:yusuzu)
・晩涼(ばんりょう:banryo)
・夜涼(やりょう:yaryo)
・宵涼し(よいすずし:yoisuzushi)
・涼夜(りょうや:ryoya)
・微涼(びりょう:biryo)
・涼雨(りょうう:ryou)
・水涼し(みずすずし:mizusuzushi)
・露涼し(つゆすずし:tsuyusuzushi)
・燈涼し(ひすずし:hisuzushi)
・庭涼し(にわすずし:niwasuzushi)
・影涼し(かげすずし:kagesuzushi)
・鐘涼し(かねすずし:kanesuzushi)
・月涼し(つきすずし:tsukisuzushi)
–
季節による分類
・「す」で始まる夏の季語
・「夏の時候」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
涼しを含む俳句例
朝は涼しい著荷の子/山頭火
片天窓剃て乳を呑夕涼/一茶
一尺の滝も涼しや心太/一茶
道涼し芦の風また蒲の風/峠
涼しさや雷遠き夕まぐれ/冬柏
涼しさや先づ蛤の口の砂/句空
朝涼に菊も一艘通りけり/一茶
月涼し僧も四条へ小買物/茅舎
晩涼や鬱然と鳴る低音部/林翔
西谷に西寺涼し観世音/杉本寛
夜涼や念仏申て居るも有/左彦
滝仰ぎ命涼しき袖袂/小林康治
夏座敷涼しき草を床の上/吾空
自ら風の涼しき余生かな/虚子
琴弾て老を噛ませよ夕涼/智月
初夏の厨涼しき蕗の風/中勘助
遠き世の涼しさ残す袴襞/林翔
汐越や鶴脛ぬれて海涼し/芭蕉
晩涼に池の萍皆動く/高浜虚子
奥や滝雲に涼しき谷の声/其角
俳句例:21句目~
すずしさや水の流の畠形/蘇葉
月影の洩れて涼しや籠枕/利会
笠あふつ柱涼しや風の色/史邦
晩涼や肥桶の音籬外/西山泊雲
信心の朝々涼し東山/野村泊月
涼しさは露の大玉小玉哉/一茶
夕涼や水投つける馬の尻/一茶
笙涼し遥かに蓮の葉分船/蓼太
朝涼し国境渡る乳母車/有馬朗人
朝涼し巣を離れ飛ぶ蜂一つ/宋淵
若水に鰹のをどる涼しさよ/其角
朝露によごれて涼し瓜の泥/芭蕉
涼しさや八人代の田の青み/荒雀
涼しさや投出す足に月の影/定雅
真黒き釣鐘を見て昼涼し/桂信子
杉の幹太し涼しと中年来る/原裕
涼しさや共に米かむ椎が本/如行
涼しさや切紙の雪はら~と/一茶
朝涼や長雪隠の大和尚/河野静雲
涼しさや半月うごく溜り水/一茶
俳句例:41句目~
涼しさや石握り見る掌/夏目漱石
蔵涼し紅屋の裔の鈴木姓/森田峠
涼しさや野飼の牛の額つき/鳳仭
涼しさや秋の日南の人通り/大魯
千年の男銀杏の影涼し/佐藤信子
水月光坂水走り岩涼し/岡田日郎
良寛の頤細き涼しさよ/村松紅花
涼しさや椽の際なる川手水/一茶
卓燈に沼風通ふ簷涼し/小林康治
黒白を以て眼なり涼し/桑原三郎
山涼し筏の上に灯がともる/月舟
風すずし膳出しかかる花鰹/洞木
亡骸の蹠二つの涼しとも/岸田稚
水涼し秋澄む関のかざり鎗/蓼太
鷺涼しお水送りの川筋に/森田峠
天王寺門前涼し牛休む/福田蓼汀
風涼し机の上の湖月抄/井上井月
白涼し紫も亦涼しく著/星野立子
禁煙禁煙大杉並木涼し/石川桂郎
顔入れて馬も涼しや花卯木/普羅
俳句例:61句目~
病床を空けて涼しむ簟/中川岩魚
涼しさや梢々の吹あまり/千代尼
涼しさや氷室の雫々より/千代尼
面舵に船傾きて星涼し/高浜虚子
山を巻く一筋縄の涼しさよ/間石
涼しかる月の門辺の臀/尾崎紅葉
山際の涼しさに寄せ墓箒/下田稔
精進の器の涼し青高野/村越化石
とぎ立る庖丁すずし簀子縁/其継
第三の石門涼し雲の上/子規句集
涼しさや笠へ月代そり落し/一茶
涼しさや旅に出る日の朝朗/樗良
岳麓の達谷山房蝉涼し/伊東宏晃
晩涼や音楽の上を雲迅み/岸田稚
島々の間に涼し逆帆影/鈴木花蓑
狂院の後ろ涼しき松林/都筑智子
露涼し掌ほどの畠づくり/上村占
魚どもは桶としらでや夕涼/一茶
笛方の涼しき袖を水鏡/小原芳子
夕涼の追叉手網を一と渚/下田稔
俳句例:81句目~
燈臺の光さすとき海涼し/原石鼎
門の木も先つゝがなし夕涼/一茶
晩涼の幼な机の灯がひとつ/龍太
晩涼の句碑へ七面山の風/星野椿
涼しさや朝草門に荷ひこむ/凡兆
闇涼し蒼き舞台のまはる時/篠原
闇涼し草の根を行く水の音/露月
晩涼や病体包む釦多し/中山純子
涼しさや雨を露なる竹の月/太祇
わんぱくや縛れながら夕涼/一茶
手廻しに朝の間涼し夏念仏/野坡
身の上の鐘としりつゝ夕涼/一茶
晩涼や海の中なる疊岩/皿井旭川
手水水涼しかりしを金火鉢/曲言
唐崎の昼は涼しき雫かな/千代尼
晩涼や彫師の膝の草箒/和泉昭子
銘石を構へて涼し松の風/林青峰
金銀の光涼しき薬かな/川端茅舎
石筍の親子が並ぶ洞涼し/森田峠
石畳径ひろひに髪涼し/石川桂郎