「雀の子」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「雀の子」について
【表記】雀の子
【読み方】すずめのこ
【ローマ字読み】suzumenoko
子季語・関連季語・傍題・類語など
・雀子(すずめこ:suzumeko)
・雀の雛(すずめのひな:suzumenohina)
・黄雀(きすずめ:kisuzume)
・親雀(おやすずめ:oyasuzume)
・春の雀(はるのすずめ:harunosuzume)
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季節による分類
・「す」で始まる春の季語
・「春の動物」を表す季語
・「晩春」に分類される季語
月ごとの分類
雀の子を含む俳句例
子雀同士鎧坂学問所/松山足羽
墓守の軒に子雀親雀/山口青邨
父の骨一片もらひ雀の子/辻桃子
雨上るらし子雀と親雀/高木晴子
教室に預かるはぐれ雀の子/樋笠文
いそがしや昼飯頃の親雀/子規句集
親雀誓子書屋の簷に入る/山口誓子
囀りの国より零れ雀の子/斉藤美規
子雀や土間に塩ふく塩の蔵/神蔵器
虫けらに勝つて芝跳ぶ雀の子/林翔
子雀や遠く遊はぬ庭の隅/尾崎紅葉
わりなしや痩せて餌運ぶ親雀/御風
一すじの藁しべ口に親雀/佐藤華秋
一番子二番子雀巣立ちあひ/原石鼎
雀の子啼いて春暁乳臭き/萩原麦草
子雀の吹き落されし車椅子/森土秋
子雀の声切々と日は昏し/臼田亞浪
雀の子算盤塾の外にこぼれ/南典二
人に遁げ人に馴るゝや雀の子/鬼貫
河岸のあらき情に雀の子/有馬籌子
俳句例:21句目~
戌の日の帯解寺に雀の子/太田壽子
雀の子忠三郎も二代かな/正岡子規
薪能殿の子雀寝そびれて/山田孝子
一本の藁しべ軒に雀の子/石橋秀野
晩年の父より知らず雀の子/樋笠文
雀の子拾ひ温さを持て余す/勝井良雄
雀の子握りてやれば温かく/野村喜舟
雀の子生涯白きままの腹/宇多喜代子
雀の子石燈籠をいぶかしむ/澤木欣一
子雀や呂宋の空の青きこと/有馬朗人
子雀や寺の中まで浜の砂/大峯あきら
雀の子蘇枋の花の中をとぶ/岡井省二
雪つけて来し葬りの雀の子/萩原麦草
仔雀と居て文学者稿を食む/萩原麦草
飯粒に足踏んばつて雀の子/中村幸子
昼暗き家内おどろく親雀/上田五千石
親雀人を恐れて見せにけり/高浜虚子
親雀舞ひおりくれば子雀も/鈴木花蓑
仔雀や雛菊千が地を埋めて/草間時彦
親雀街にユッカの幹を啄む/下村槐太
俳句例:41句目~
壕の辺に子雀竹を渡り来る/臼田亞浪
子雀に噴井の溝の裾うたふ/石川桂郎
親雀鳥毛咥へしよろこびに/山口誓子
子雀に学校の屋根まだ暮れず/上村占
顔出して頬の濃かりし親雀/石田勝彦
飛びかはすやたけごゝろや親雀/蕪村
玻璃内の眼を感じつゝ親雀/高浜虚子
人の親の烏追ひけり雀の子/上島鬼貫
僧に成児にはくれじ雀の子/高井几董
山晴るる牛方宿に雀の子/櫛原希伊子
木歩の忌秋の日向に雀の子/飯田龍太
濱草に踏めば踏まるゝ雀の子/原石鼎
看板の傾きてゐる雀の子/佐々木六戈
老松のどこか揺るゝは雀の子/飴山實
蝿打ちに馴るる雀の子飼ひかな/河瓢
速玉の梛に宿りぬ雀の子/鈴木しげを
雀の子我も虚子より三代目/高木産風
子雀の骸は糸を引きにけり/野村喜舟
子雀はまこと子の顔大きな目/飴山實
あきら日に子雀親とまぎれなく/原石鼎
俳句例:61句目~
咥へとぶ親を見てゐる雀の子/角川春樹
おうおうと頷くばかり子雀に/田沼文雉
ふたなぬか過ぎ子雀の砂遊び/巌谷小波
話やめて子雀二羽をいとし見る/及川貞
しかばねも鳥のかたちに雀の子/斎藤玄
子雀の糞ひり過ぎぬ推落花/島村元句集
松笠に紛るる芝の雀の子/阿部みどり女
仔雀に地のひろさあれ貞明祭/村越化石
雀の子一羽のための入日どき/加藤秋邨
雀の子一尺とんでひとつとや/長谷川双
宮様のお屋根かしこし雀の子/野村喜舟
子雀を盗るにはあらず梯出す/山口誓子
子雀に如来の前の広さかな/大峯あきら
落柿舎や頭めぐらす雀の子/大木あまり
聲がして葬儀半ばの雀の子/佐々木六戈
ふるさとは麦穂に溺れ雀の子/富安風生
子雀のこぼれ落ちたる草の丈/佐藤鬼房
海際の砂踏むかるさ雀の子/磯貝碧蹄館
子雀のへの字の口や飛去れり/川崎展宏
子雀のもぐりきつたる砂遊び/八木荘一
俳句例:81句目~
掌の中に吾子の手雀の子のごとし/篠原
雀の子こけるこけると走りけり/原田喬
火吹竹吹きをれば鳴く雀の子/籾山柑子
連翹にかたまり行くや雀の子/増田龍雨
子雀の膨み過ぎて転びけり/殿村莵絲子
クエーカー教徒の庭の雀の子/加藤耕子
子雀はみんなどんぐり飴の色/木田千女
脱衣函に子雀鳴かせ少年工/米沢吾亦紅
在原寺雀の子まだ飛べずして/細見綾子
子を負うて畑に雀の子を拾ふ/太田鴻村
雀の子砂を浴びたる跡ならぶ/後藤夜半
手のひらの子雀飛ばす春の風/石井露月
雀の子藪いでて顔ふくらます/長谷川双
小坊主や隠し持ちたる雀の子/円谷枯山
雀の子踏み外したる巣の残り/後藤夜半
雀の子道の半ばに出て飛べり/星野恒彦
子雀のよにまろび来る枯葉かな/富田木歩
子雀の争ひつつや地をひろげ/大澤ひろし
子雀の飢あかつきの蒼さにて/千代田葛彦
子雀やこぼれて二寸吹かるるも/小池文子