俳句例:101句目~
行く年の花のやうなる炭火かな/鷲谷七菜子
炭火あたたかし壺に菜の花あり/川島彷徨子
陶器舗のあたりの幽らむ炭火かな/飯田蛇笏
厨よりのはげしき炭火もてなさる/宮津昭彦
先生の通夜の炭火でありにけり/鈴木しげを
雪の降る夜握ればあつき炭火かな/上島鬼貫
電燈消えて闇に見つめし炭火かな/島田青峰
もてなしの貧の炭火をふきにけり/西島麦南
或夜半の炭火かすかにくづれけり/芥川龍之介
ひとり詠むわが詩血かよふ炭火かな/飯田蛇笏
妻泣かすはほとほとかなし炭火見る/杉山岳陽
ローマンの夜は炭火守るかなしさよ/河野南畦
炭火吹く頬のふくらみをよしと見し/林原耒井
炭火掻き出してでびらをあぶりけり/茨木和生
消えてゆく炭火に時を惜しみけり/高橋淡路女
言ひかけぬ炭火掻きゐし手をとめて/松岡巨籟
跳炭火の粉宙になほ跳ね愛つらぬけ/川口重美
訪ふも憂し訪はれて炭火継ぐばかり/石塚友二
炭火たゞ見まもりて寝惜しむとなき/金尾梅の門
いまはむかし壺で炭火を消すことも/長谷川照子
俳句例:121句目~
炭火かぎろふまひる目白の声しげき/金尾梅の門
炭火吹く口むけられてくらみけり/飛鳥田れい無公
ドン/キホーテに道化けて疲る夜の炭火/宮坂静生
弱り目祟り目炭火に灼けで湯に灼けたり/磯貝碧蹄館
わがまなこくらくてならぬ炭火掻き/飛鳥田れい無公