俳句例:101句目~
なまぬるき水に棲み飽き水中花/立川昌子
雨脚をあつめたりけり水中花/加藤三七子
水中花昨日のまゝが悲しけれ/久本/澄子
水中花身じろぎ出来ぬ母見取る/村上悦美
水中花大きく咲かせ夫持たず/鷲谷七菜子
水中花ひと日のおもひ濁りそむ/鈴木まゆ
水中花はなやかにわが顔のなか/藤岡筑邨
水中花上がりそこねし泡一つ/八幡より子
水中花誰か死ぬかも知れぬ夜も/有馬朗人
まじまじと子が見てひらく水中花/桂信子
水中花眠り過ぎたる身の疲れ/岡部名保子
水中花にも花了りたきこころ/後藤比奈夫
水中花どこに置きても母病みぬ/渡辺恭子
水中花だんだんに目が嶮しくなる/岸田稚
水中花いつまでも咲く子無き家/品川鈴子
投げ入れて咲くまでの夢水中花/仙田洋子
水中花まことしやかに露むすぶ/西本一都
一瓣にして酒中花のまぎれなし/石田勝彦
泡ひとつ抱いてはなさぬ水中花/富安風生
水中花水押し上げてひらきけり/池田秀水
俳句例:121句目~
満開のほかにすべなく水中花/長谷川満子
子育ての娘は他人めく水中花/北見さとる
水中花名のなき花として咲けり/内田美紗
水中花置く筋書のままなる日/上田日差子
麻酔醒めつつ水中花揺らぐかに/山田弘子
夕ぞらへひともして売る水中花/豊田都峰
器ごと揺らしてみたる水中花/岩淵喜代子
咲きつきて灯に片よりぬ水中花/渡辺水巴
花の名のさだかならねど水中花/関戸靖子
花も葉も水にゆだねて水中花/亀田虎童子
水中花水濁るれば見飽きたる/池内たけし
いきいきと死んでゐるなり水中花/櫂未知子
いつはりの愛とも知らず水中花/市川/晴子
いつはりもいたはりのうち水中花/鷹羽狩行
ひしひしと書棚が迫る水中花/鍵和田ゆう子
水中花水にひびきて咲き初むる/小玉真佐子
あるまじき死に逢ふことも水中花/矢野杏子
水中花捨てし記憶のなかりけり/竹中碧水史
夫に不満ジヨッキに水中花を咲かせ/岡本眸
妻子遠し水中花けふもそこにありて/有働亨
俳句例:141句目~
見えぬ眼の中に咲きをり水中花/日置うらら
水中花紅さしひらく灯の澄みに/柴田白葉女
一つ咲きたる酒中花に利休忌を/田畑美穂女
ゆくすゑは子にあり水中花ひらく/中山純子
酒中花と言ひてほのぼの椿咲く/阿部ひろし
水中花玻璃のそとにも咲くごとし/井沢正江
水中花津軽の海をおだやかに/長谷川かな女
妻に供華ぽとんと咲かす水中花/細見しゆこう
カンブリア紀の水中花を掘つてゐる/加藤郁乎
水中花ひとゆらぎして咲きにけり/土井視砂子
水中花日暮れてくらくなりにけり/山口波津女
テーブルの何処に置いても水中花/岩淵喜代子