俳句例:201句目~
卒業や教師吹かるるたび歩む/今瀬剛一
卒業や紙のコップに陽が当り/桜井博道
卒業のアルバムどれも空青く/徳永茂代
口に出てわれから遠し卒業歌/石川桂郎
卒業歌水田も波をたたみつつ/神田/岩
吹奏楽卒業ちかき校舎より/猪俣千代子
喘息の児もうたひ終ゆ卒業歌/大川鶴園
地球儀の海を見てをり卒業子/朝倉和江
垂れ髪に雪をちりばめ卒業す/西東三鬼
日に月に遠ざかるもの卒業歌/大橋敦子
卒業歌ぴたりと止みて後は風/岩田由美
卒業子ならびて泣くに教師笑む/森田峠
卒業歌指揮して吾も職退きぬ/若木/睦
玉石の石よからずや卒業す/米田双葉子
卒業の涙はすぐに乾きけり/今橋真理子
卒業の汝が為によき旅もがな/高濱年尾
卒業式辞雪ちらつけり今やめり/森田峠
網干せる父に卒業してもどる/亀井糸游
卒業の歩幅に母は追ひつけず/今瀬剛一
卒業証書の平は巻きて失ひし/津田清子
俳句例:221句目~
卒業の日の下駄箱を閉める音/長島富郎
茶髪の子髪かきあげて卒業式/大谷美入
卒業証書まるめて覗く青き天/山畑禄郎
卒業の子の持つている夢袋/石井紀美子
卒業の子が拾ひ集めし言葉/太郎良昌子
軒を垂るる巣藁幾すぢ卒業す/木下夕爾
転居荷に卒業証書間に合はず/山田弘子
遠き日の共に泣きたる卒業歌/原田和子
卒業の娘らに春秋いかならむ/西村和子
卒業證書の平は巻きて失ひし/津田清子
卒業の制服を脱ぐホックの音/木田千女
卒業の健啖に飯かしがなん/赤松ケイ子
原爆に焦げし頬も癒え卒業す/宮武寒々
頬燃えて自画像出来ぬ卒業す/皆吉爽雨
馬の目を念入りに拭き卒業す/折井眞琴
卒業をうたひ終りて喉もゆる/赤松けい子
帆のごとく胸かがやかせ卒業す/大熊輝一
恋を得しテニスラケット卒業す/山田弘子
卒業や海に合はむと海に来て/遠藤若狭男
「体ごと彼を卒業して来た」と/櫂未知子
俳句例:241句目~
木綿着し祖母をうしろに卒業す/長谷川双
卒業式待つまの草を藉きをりぬ/木下夕爾
卒業や尻こそばゆきバスに乗り/西東三鬼
卒業歌終はりし浪のきこえけり/細川加賀
母に添ふこころ淡しも卒業す/赤松けい子
卒業歌遠嶺のみ見ること止めむ/寺山修司
卒業の花抱く吾子と並みゆけり/村上光子
うなゐ髪あぐべくのびぬ卒業す/富安風生
病み耐へてあす卒業の寝押し服/石川桂郎
病む父の職継ぐてふ子卒業す/斎藤志津子
卒業の答辞ベトナム戦にも触れ/福田蓼汀
たはやすく教師忘らる卒業後/能村登四郎
つじつまの合ひし顔して卒業す/長谷川双
ゆく雲の遠きはひかり卒業歌/古賀まり子
りんりんと木の芽の箴言卒業期/齋藤愼爾
綿のごときひかり暮雪の卒業生/桜井博道
サヨナラと机に彫つて卒業す/石井とし夫
卒業の歌詞を市電の中にうたふ/岩崎照子
卒業証書いだき寂寞海のごとし/宮坂静生
ステインドグラスの余光卒業す/行方克巳
俳句例:261句目~
卒業の日の鐘さやにきこえけり/木下夕爾
ダイナモを駆りつつ若し卒業期/桂樟蹊子
花時計に粗き雨あし卒業期/鍵和田ゆう子
ポケットの底抜けしまま卒業す/津田清子
一人子の卒業めでたかりけるよ/高濱年尾
卒業の少女に日射す父母の墓/服部ますみ
卒業の子の行く道はあるがまゝ/稲畑汀子
下宿去る荷の中に寝て卒業子/黒坂紫陽子
卒業の子のむすびたるリボンかな/上村占
主婦の顔は家に置き来て卒業歌/花田春兆
卒業証書積まれぬこれは白き墓/藤岡筑邨
卒業す片恋のまま/ま、いいか/福地泡介
卒業のこの門出でていづくへか/福田蓼汀
卒業のその後の彼を誰も知らず/藤松遊子
卒業の娘ら泊む妻の夜具も混ぜ/羽部洞然
卒業のひとり横向く写真かな/大橋櫻坡子
卒業のをさなの答辞師に添はれ/皆吉爽雨
卒業の吾娘制服をまだ脱がず/五十嵐播水
卒業歌おくれ唄ふは泣き居らむ/田島秩父
夜空蒼しひとりごと言ひ卒業す/加藤秋邨
俳句例:281句目~
卒業歌をはりし浪のきこえけり/細川加賀
雲あふれ卒業の日の水たまり/片山由美子
雲を洩る日のひとすぢや卒業す/大野林火
卒業前ぶさ~歩りく藁田かな/廣江八重櫻
太陽ヘボールを蹴つて卒業す/片山由美子
卒業のアルバム未来見つむ瞳よ/山田弘子
枇杷萌えて掌合すごとし卒業期/古沢太穂
卒業歌泣かぬ子多したのもしかり/石川桂郎
樹影地に卒業の子ら散りぢりに/柴田白葉女
クレーンを見てたたずんで卒業子/行方克巳
待たれたる卒業なりし吾子よ嬉し/高濱年尾
卒業のめもとすゞしく泣く娘はも/西島麦南
水荒く使ふ卒業式より帰り来て/能村登四郎
医を継ぐと眉はれやかに卒業す/海老根美枝
二十あまり美男となりぬ卒業子/高橋淡路女
卒業間近か日々名曲をきかされて/宮坂静生
胸ならぶとき卒業歌たかぶれる/赤松ケイ子
卒業唱歌楢は水のよな葉をとどむ/佐野良太
乙女像の楠の香発てり卒業展/鍵和田ゆう子
卒業歌声つまづきてよりかなし/永松白葉子