「春眠」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「春眠」について
【表記】春眠
【読み方】しゅんみん
【ローマ字読み】shummin
子季語・関連季語・傍題・類語など
・春睡(しゅんすい:shunsui_)
・春の眠(はるのねむり:harunonemuri)
・春眠し(はるねむし:harunemushi)
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季節による分類
・「し」で始まる春の季語
・「春の生活」を表す季語
・「三春」に分類される季語
月ごとの分類
春眠を含む俳句例
春眠の身の閂を皆外し/泰
春眠や窓の湖たひらかに/蕪城
春眠や瞼のうらの雨の彩/美恵
春眠に大和魂なき電車/安田直子
春眠や覚むれば夜着の濃紫/松浜
春眠や迦陵頻伽の聲絡ひ/上村占
嘴に似し春眠の子らの口/上野泰
春眠の女菩薩の相いだき/上村占
春眠の底へ海鳴轟けり/寺岡情雨
春眠の虚空に体置き忘れ/上野泰
春眠やそば殻こぼれゐる枕/一杉
春眠の三人の子の髪真黒/上野泰
春眠の中にまことの鳥の声/素秋
春眠の低き枕と思ひつゝ/星野椿
春眠や舞妓に固き箱枕/史あかり
螢光燈槽に浴女春眠す/宮武寒々
春眠の覚めて十年失へり/桶谷信吾
春眠に屈し春愁にも屈し/石田勝彦
春眠といふ晩年の玉手箱/岡田京花
春眠や旅の枕に水ながる/原田豊子
俳句例:21句目~
春眠や女人にかへる尼の顔/素風郎
春眠の浅瀬に妻の笑ひ声/辻田克巳
春眠の出口に獏が屯する/武田和郎
春眠や失せ物戻る旅の宿/川上治子
春眠し昭和一桁ことに眠し/大牧広
春眠の船の寝台梯子垂れ/大橋敦子
春眠のオランダ船が入港す/皆吉司
春眠に意識過剰の肩を貸す/磯崎清
春眠の枕大きく婚期過ぐ/菖蒲あや
春眠をうつ春霰春あらし/前田普羅
春眠の今仏像にとりまかれ/上野泰
やゝ快方夫春眠も近からむ/及川貞
春眠や鵯も椿も雨に濡れ/内藤吐天
水音は耳に障らず春眠す/茨木和生
玉のせるかに春眠の童の手/上野泰
筍一刀両断春眠ふっきる/大串司子
全身の隙を晒して春眠す/石上/晋
足許に春眠の子の面輪かな/上野泰
春眠や藤関白の棲みし地の/橋本榮治
春眠に春眠の子を起こす声/清水基吉
俳句例:41句目~
春眠や舟遠出して着けぬ岸/吉本和子
春眠に遠きラジオの唄ひをり/近藤君
春眠暁を覚えずまでゆかず/高澤良一
春眠や自飯器すでに保温中/桑谷友峰
春眠を我れに恵みし枕かな/高木晴子
これやこの春眠羅漢傘預け/桂樟蹊子
春眠や枕ほとりの落し櫛/高橋淡路女
春眠の枕にならぬ電子辞書/藤井/豊
春眠や抽斗一つ櫛ばかり/波多野爽波
加はりぬ始発列車の春眠に/山田弘子
春眠や靉靆として白きもの/高浜虚子
春眠の底の底より電話鳴る/三村純也
春眠や鍵穴つぶす鍵さして/日野草城
春眠や金の柩に四肢氷らせ/三橋鷹女
鬢かくや春眠さめし眉重く/杉田久女
春眠のふためき覚めて何かある/鷹女
春眠や夢とうつつの間に声/荒木幸子
学校の音春眠を妨げず/竹下しづの女
春眠の夢のつづきの雨なりし/関俊子
春眠やよろけて凭る床柱/木内美恵子
俳句例:61句目~
春眠の一ゑまひして美しき/高浜虚子
春眠の海豹を見に町の犬/平井さち子
春眠しかはたれどきの鳥のこゑ/月草
春眠は一枚石のごと足りぬ/京極杜藻
春眠の大き国よりかへりきし/森澄雄
春眠の中にも海のあふれをり/林誠司
春眠の睫毛曙光を感じつゝ/西島麥南
春眠の齢を飾るなにもなし/黒田咲子
春眠し妻と異なる声のして/幅/隆明
春眠し握りし切符黒くなる/志村宗明
春眠の児に人形も眠りをり/後藤二木
春眠の目鼻もあらぬ人のごと/上村占
春眠の淵の浅さにゆらぐもの/有働亨
春眠の汀を誰か踏み行くよ/鷹羽狩行
春眠といふうす暗くほの紅く/岡本眸
濃紫なる春眠の世界かな/成瀬正とし
春眠の奥に船歌旅恋ほし/平井さち子
春眠の活字の中へ沈みゆく/三村純也
老懶の春眠昼に如かずけり/亀井糸游
膝折つて又春眠に入りにけり/岸田稚
俳句例:81句目~
春眠の妹が瞼や吸うて見ん/中野三允
春眠の覚めぎはの夢荒々し/白石明男
遠洋船やすらぐ河口春眠し/桂樟蹊子
春眠といふ一刻の父に欲し/深見けん二
春眠といふ深海にただよへり/鷹羽狩行
春眠にけつまづきつつ入りけり/上野泰
春眠に人は老い行く落花かな/岡本松浜
春眠のさめ暗幕に手をかくる/京極杞陽
春眠のそのまま逝きし百二歳/三村紘司
春眠のつむりを載せし羽根枕/佐藤和枝
春眠のはるかに白き馬跳て/金尾梅の門
春眠のわが身をくゞる浪の音/山口誓子
春眠の中に入り来て鯉うごく/廣瀬直人
春眠の児のふくよかな乳ふくみ/東京子
春眠の出口で人にはぐれけり/大畑真喜
春眠の刻をきざめる腕時計/成瀬正とし
春眠の夢の巻物くりひろげ/成瀬正とし
春眠の夢をついばむ鵜かな/金尾梅の門
春眠の奈落といふは明るくて/長山あや
春眠の如くに涅槃したまへる/行方克巳