「菖蒲湯」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「菖蒲湯」について
【表記】菖蒲湯
【読み方】しょうぶゆ
【ローマ字読み】shobuyu
子季語・関連季語・傍題・類語など
・菖蒲風呂(しょうぶぶろ:shobuburo)
・蘭湯(らんとう:ranto)
–
季節による分類
・「し」で始まる夏の季語
・「夏の行事」を表す季語
・「仲夏」に分類される季語
月ごとの分類
菖蒲湯を含む俳句例
菖蒲湯に裸一貫の男見よ/尾崎紅葉
菖蒲湯も小さ盥ですましけり/一茶
菖蒲湯の菖蒲片寄り沸き居たり/篠原
菖蒲湯の底まで夕陽子と沈む/飴山實
菖蒲湯に永浸る妻何足るや/石田波郷
颯々と菖蒲湯こぼす女多し/萩原麦草
菖蒲湯や命めでたき老の者/若尾潤水
菖蒲湯に兄弟父を流し合ふ/高橋悦男
菖蒲湯の香の染みし手の厨ごと/及川貞
菖蒲湯に浸つてゐたる健吉忌/佐川広治
浸りつつたゆたふ齢菖蒲風呂/皆吉爽雨
少年のとび込む音す菖蒲風呂/中山純子
菖蒲湯の熱きに後頭まで漬る/川崎展宏
菖蒲湯へ来る少年の女下駄/小野冬虹子
わが肌に老斑いまだ菖蒲風呂/亀井糸游
菖蒲湯へ妻子がゆきぬ眉月が/古沢太穂
胸乳にも触る菖蒲湯の葉刀は/品川鈴子
菖蒲湯にあをきさざ波健吉忌/佐川広冶
菖蒲湯を纏いて眠れ眠れかな/二村典子
菖蒲湯を出て公達の目鼻だち/小澤克己
俳句例:21句目~
菖蒲湯にざっと浸りて若返る/高澤良一
廊下まで匂ふ楽屋の菖蒲風呂/片岡我当
菖蒲湯や病夫の腕のいくさ傷/斉藤富美
菖蒲湯の昼の窓から顔を出す/菅原鬨也
菖蒲湯の一夜経たるは禍々し/大石悦子
父ありし日の熱すぎし菖蒲風呂/廣瀬直人
研修を終へて来し子や菖蒲風呂/八巻絹子
蘇生してよりの長寿や菖蒲風呂/富田潮児
世に隠れ菖蒲湯をひた溢れしめ/小林康治
さうぶ湯やさうぶ寄くる乳のあたり/白雄
幸さながら青年の尻菖蒲湯に/秋元不死男
息ふかく菖蒲湯に肩しづめたり/渡辺立男
罪深き女よな菖蒲湯や出でし/芥川龍之介
菖蒲湯にひらきし五指の裏おもて/長田等
菖蒲湯に共につかりて母癒えよ/岡本庚子
菖蒲湯に四肢をいたはる呟きよ/河野南畦
菖蒲湯に妻より先の死を願ひ/冨田みのる
菖蒲湯に子のなき乳房沈めけり/高橋秀夫
菖蒲湯に端然と胸乳ふくまする/細見綾子
菖蒲湯に雨ききながら浸りゐる/田中冬二
俳句例:41句目~
菖蒲湯の形ばかりの葉を浮かべ/高浜年尾
さうぶ湯や濡手に受る雨三粒/大須賀乙字
菖蒲湯の菖蒲に寄せぬ術後の身/高澤良一
菖蒲湯の雀斑に匂ひなかりけり/高澤良一
菖蒲湯の香のしみし手の厨ごと/中村汀女
菖蒲湯の窓開けてをり灯さずに/横井博行
菖蒲湯や眉落したく思ひもす/高橋淡路女
菖蒲湯をざんぶりと出づ赤仁王/高澤良一
菖蒲湯を出てかんばしき女かな/日野草城
菖蒲湯を出て来て父も子も胡座/稲田眸子
頭からかぶり菖蒲湯香りけり/深見けん二
菖蒲湯へ旦の下駄のあとしるく/大橋櫻坡子
はやばやと入りて菖蒲湯匂はすか/高澤良一
菖蒲湯にかろき恙を入りにけり/大橋櫻坡子
児の臀のまろきを洗ひ菖蒲湯に/小松崎爽青
菖蒲湯に乳房冷えゆく死の報せ/加藤知世子
永浸る子が焚きくれし菖蒲湯に/石田あき子
菖蒲湯や男の子ばかりを育てたる/野一広美
菖蒲湯にとつぷり月のものあがり/品川鈴子
菖蒲湯の子の体積をあふれさす/黒坂紫陽子
俳句例:61句目~
菖蒲湯や立身のことおろそかに/鈴木しげを
我入れば暫し菖蒲湯あふれやまず/高浜虚子
旅の日の二日おくれの菖蒲風呂/平山/愛子
菖蒲湯にしたしく老躯しづめあふ/石原舟月
菖蒲湯に逢ひて世相を歎きけり/成瀬桜桃子
菖蒲湯を出てより守宮ぬられけり/松瀬青々
菖蒲湯の子の肩へ吾が掌より波/大岳水一路
菖蒲湯をたのしみ行きぬ町住ひ/高橋淡路女
ひき汐へ遠くなる菖蒲湯の我/飛鳥田れい無公
菖蒲湯や男の子はつひに生まざりし/飯田希々
菖蒲湯をかけ合ふ吾子にまじり浴ぶ/近藤一鴻
泣きながら子は育つもの菖蒲風呂/小浦登利子
子らばかりゐて菖蒲湯をぬるくしぬ/田村了咲
菖蒲湯に今日はじめての灯が浮ける/宮津昭彦
さうぶ湯につぶし島田の浮かみけり/加藤郁乎
さうぶ湯に老いたる獅子に似て沈む/伊藤白潮
ある露地に菖蒲湯あふれ来たりけり/石橋秀野
菖蒲湯にけふ染めし彩の掌をひろぐ/中戸川朝人
菖蒲湯にうめる水白く落ちにけり/阿部みどり女
子のをらぬ日の菖蒲湯をたてにけり/ふけとしこ
俳句例:81句目~
菖蒲湯や乳房ありけり童女のような/長谷川かな女
菖蒲湯へ月のからかさ傾きて/『定本石橋秀野句文集』
菖蒲湯へ罷りし留守のかどの錠/『定本石橋秀野句文集』
菖蒲湯へうちつけの言措きていづ/『定本石橋秀野句文集』