「新蕎麦」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「新蕎麦」について
【表記】新蕎麦
【読み方】しんそば/あらそば
【ローマ字読み】shinsoba
子季語・関連季語・傍題・類語など
・秋蕎麦(あきそば:akisoba)
・走り蕎麦(はしりそば:hashirisoba)
・初蕎麦(はつそば:hatsusoba)
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季節による分類
・「し」で始まる秋の季語
・「秋の生活」を表す季語
・「晩秋」に分類される季語
月ごとの分類
新蕎麦を含む俳句例
新蕎麦や座敷で悟る棒の音/蓼太
新蕎麦に猿聞く山の夕かな/也有
秋に先仕たり新蕎麦新豆腐/抱一
新蕎麦や伊吹颪に真帆片帆/昇角
山国や新蕎麦を切る音迅し/井上雪
新蕎麦や熊野へつづく吉野山/許六
新蕎麦も敬老会も奥会津/山口青邨
新蕎麦や月日の回る水車/小川一路
新蕎麦やむぐらの宿の根来椀/蕪村
新蕎麦や金が大事といふ話/龍岡晋
新蕎麦や私に日の丸ひたす雨/竹中宏
大円に新蕎麦をのす力かな/川村五子
新蕎麦や忍野八海水に暮れ/細井紫幸
新蕎麦や改築をして古暖簾/高橋悦男
新蕎麦や胸に腕組む寒がりて/中拓夫
走り蕎麦老舗奥行深きかな/水原春郎
新蕎麦や月下に叩く俳諧寺/小川牛里
六十里越の一里の走り蕎麦/橋本榮治
鵯騒ぎ新蕎麦笊にあたゝかし/秋櫻子
野外能新蕎麦啜り身を温め/関森勝夫
俳句例:21句目~
新蕎麦や蔵壁厚き店に食べ/大高時子
新蕎麦や蓑虫庵を目のあたり/飴山實
新蕎麦を打つてもてなす髪鄙び/久女
桜焚いて新蕎麦の玉を炊く哉/尾崎紅葉
たそがれの光よ旅の新蕎麦よ/武田伸一
門前にひさぐ新蕎麦新胡桃/有川/淳子
佛なる父に一椀走り蕎麦/山崎/喜八郎
真四角の信玄箸や走り蕎麦/塩畑たき子
新蕎麦のせいろ高々運ばるる/田中幸雪
新蕎麦の手打届くが便りにて/山田弘子
新蕎麦の雨となりたる軽井沢/田中冬二
新蕎麦に酒酌むほとの月細し/尾崎紅葉
新蕎麦や僧堂衆のこぞり来て/中川四明
新蕎麦や床几のはしに泉鳴り/井沢正江
新蕎麦や昔ながらの立場茶屋/道山昭爾
新蕎麦や杉冷えしるき坊の月/吉田冬葉
新蕎麦や泊り合せし京のひと/小林広子
新蕎麦や暖簾のそとの山の雨/吉田冬葉
新蕎麦や花と見し日もきのふけふ/青蘿
新蕎麦や雨後の日輪のれん透く/菅裸馬
俳句例:41句目~
新蕎麦を打ちて見舞に上京す/勝俣泰享
新蕎麦を打つとて老師襷せり/高橋安子
新蕎麦を打つ昼酒のうまき頃/角川春樹
新蕎麦打つ一節往き来母の歌/川村紫陽
客を得て打つ新蕎麦や妻籠宿/松本二三女
新蕎麦を打つや波郷の墓近く/深見けん二
新蕎麦食ふ鏡中の顔見飽きたり/江口千樹
新蕎麦の軒行燈に灯が入りぬ/大橋越央子
新蕎麦の袋を縫ひぬ赤き糸/長谷川かな女
新蕎麦の氏素性あるうまさかな/福原貴子
五箇山の水に晒せる走り蕎麦/佐藤美恵子
新蕎麦を待つに御岳の雨となる/宇咲冬男
新蕎麦の暖簾をあふれ青海波/佐々木六戈
戸隠や社家なる宿の走り蕎麦/加藤多眠王
新蕎麦や朱塗の膳は剥げしまま/田中冬二
新蕎麦の太々としてぶつきら棒/川崎展宏
走り蕎麦銚子ふたつの長居なる/橋本榮治
雪渓を来し水走り蕎麦咲ける/石橋辰之助
おおまかに新蕎麦きつて山ぐらし/鈴木保彦
新蕎麦に満月近くなりしかな/長谷川かな女
俳句例:61句目~
新蕎麦や宿出でてすぐくさはらに/田中裕明
新蕎麦を打つやむかしの雨聞きつ/羽田岳水
新蕎麦を打つや棚田の風入れて/佐藤いね子
能書きは要らぬ新蕎麦打たれけり/石田郷子
ふるさとの味かくれなし走り蕎麦/細江大寒
住み馴れし峡に贅あり走り蕎麦/外山智恵子
引く水のひとつは土間に走り蕎麦/甲賀山村
笊干して日が当りだす走り蕎麦/松本千鶴子
新蕎麦や夕照りのダムまなかひに/星野麦丘人
新蕎麦や雨あがることあきらかに/中戸川朝人
新蕎麦や着馴れしものをひとつ着て/石川桂郎
新蕎麦を嗅ぎてもの憂し猫の目は/殿村莵絲子
新蕎麦を待ちて湯滝にうたれをり/水原秋桜子
待たさるる間合ひよろしき走り蕎麦/八染藍子
新蕎麦に月を延べたる子規忌かな/菅原師竹句集