「新酒」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「新酒」について
【表記】新酒
【読み方】しんしゅ
【ローマ字読み】shinshu__
子季語・関連季語・傍題・類語など
・新走り(あらばしり:arabashiri)
・今年酒(ことしざけ:kotoshizake)
・早稲酒(わせざけ:wasezake)
・利酒(ききざけ:kikizake)
・聞酒(もんしゅ:monshu)
・新酒糟(しんしゅかす:shinshukasu)
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季節による分類
・「し」で始まる秋の季語
・「秋の生活」を表す季語
・「晩秋」に分類される季語
月ごとの分類
新酒を含む俳句例
瓢成て入り七合や今年酒/純
迸る音の確や新走/富田のぼる
征く君に熱き新酒とおぼえけり
新走長広舌を揮ひけり/仲岡楽南
鬼貫や新酒の中の貧に處ス/蕪村
新走り越後に命養へと/長谷川櫂
新走その一掬の一引を/稲畑汀子
新酒や秋風渡る蔵の隅/浜田酒堂
宵々の二合のきめや今年酒/抱琴
利酒に酔ふてもどるや秋の市/臥央
遠山は雨か飲み干す新走/服部一彦
美しき猿臂のばせり新走り/的野雄
笑ひ皺ふかめし翁新走/長谷川和子
決断は二つに一つ新走り/水原春郎
新走り身の影をおく畳かな/桂信子
聟入に樽提て来る新酒哉/高井几董
大厄を残して夫の新走/中村真由美
松風に新酒を澄ます山路かな/支考
四十五年我に妻無し新走/岡本圭岳
馬方に價問ひけり今年酒/寺田寅彦
俳句例:21句目~
枯萩を折焚く宿や今年酒/松瀬青々
斧置いて框に杣や今年酒/野村泊月
霊前の榊にそゝぐ新酒哉/寺田寅彦
蔵明けて旅人入るゝ新酒かな/月居
よく飲まば価はとらじ今年酒/太祇
利酒や北信五岳背にし/北見さとる
晩年の序の口にして新走り/高澤良一
新酒や天窓叩きてまいる人/黒柳召波
槽上げの玉ほとばしる新走/慶徳健吾
新酒を醸す祈りの杜氏の唄/石塚友二
病床に届けてくれし新走/田畑美穂女
百姓の顔してつぶれ新走り/河野南畦
利酒や胡桃を割つて宴なす/笠原古畦
新酒酌む口中の傷大にして/櫂未知子
杉玉にみどりの残る新酒蔵/佐藤信子
燗もせぬ新酒の味や唐辛子/寺田寅彦
父が酔ひ家の新酒のうれしさに/召波
甕の罅新酒に熊を祭りけり/会津八一
盗みたる新酒の味や唐辛子/寺田寅彦
直会といふは新酒と鯣なり/猿渡青雨
俳句例:41句目~
一滴もあまさぬ新酒貧清し/栗生純夫
秋田より新酒と髭の男来る/都筑智子
芒さす樽や新酒の贈り物/古屋幾句拙
二三子の携へ来る新酒かな/高浜虚子
菊咲いて自ら醸す新酒かな/高浜虚子
憂あり新酒の酔に托すべく/夏目漱石
八九分に新酒盛べし菴の月/高井几董
升呑の價はとらぬ新酒かな/蕪村遺稿
落慶の寺に新酒の樽とゞく/小野秀子
薄給に妻を愛する新酒かな/会津八一
衣更へて新酒樽に屋號かく/内田百間
父に供へ妻が相手や今年酒/今泉貞鳳
唐辛子は赤し新酒は酒倉に/田中冬二
孫六の切あじ談る新酒かな/井上井月
猪口の波そのまま口へ今年酒/角光雄
馥郁と流人の島の今年酒/鳥居おさむ
新走舐めて西鶴忌なりけり/柴田孤岩
山の聟七晩とまる新酒かな/北村春畦
山ン神祀りて杣の新酒酌む/青柳照葉
ひんがしに校舎二つの新走/平橋昌子
俳句例:61句目~
忽然と山河ありけり新走り/永末恵子
拭きこみし酒蔵の階新走/深見けん二
恋にせし新酒呑けりかづら結/炭太祇
恙なく帰国の夫に新酒酌む/野畑節子
新走りほてりし顔のひとりなる/原裕
新走り赤子は二日泊りにて/中村祐子
新走樽絵師も来て機嫌かな/中川四明
早稲酒や難波長者の笑ひ聲/井上井月
ひしこを得て厨に捜る新酒哉/寺田寅彦
伊丹風の一句作らばや今年酒/岡野知十
浮世いかに貧乏徳利の新酒哉/寺田寅彦
早稲酒に垂打ぱかり酔にけり/加舎白雄
母衣かけて新酒に酔る祭かな/黒柳召波
筋書のなき世は楽し新酒どき/西川五郎
南国の猪口はおほぶり新走/高橋ツトミ
樽の香の少し残りし新酒かな/高濱年尾
神饌に産地さまざま今年酒/佐々木久子
老いて会ふ寮友三五今年酒/下村ひろし
舟盛はいまだ崩さず今年酒/上林レイ子
登り窯新酒を小さく祀りたり/辻田克巳
俳句例:81句目~
山神に新酒を供へ石を切る/児玉菊比呂
一本は彼女の為の新酒かな/稲畑廣太郎
九十九の鼻かけ猿に新酒かな/立花北枝
口福といふ字ありせば新走り/大野崇文
柿むいて新酒の酔を醒すべく/寺田寅彦
家に蔵すひとますかめや新走/中川四明
杉玉の新酒のころを山の雨/文挾夫佐恵
詩僧棲む此庫裡新酒熟すべし/渋川玄耳
新走り出雲の闇を密にして/加藤三七子
客観のコーヒ-主観の新酒哉/寺田寅彦
明き灯に新酒の酔の発しけり/日野草城
貧農の足よろよろと新酒かな/飯田蛇笏
買ほどは尽さぬ旅の新酒かな/黒柳召波
岳下り来て安曇野に新酒酌む/岡田貞峰
長老と諸君とありて新酒酌む/富田巨鹿
伊良胡崎新酒の杯を洗ひけり/松瀬青々
次の間に玉兎はこびぬ新走り/水内慶太
我もらじ新酒は人の醒やすき/服部嵐雪
新酒くまん四十九年の秋は何/加舎白雄
新酒酌むは中山寺の僧どもか/子規句集