「新松子」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「新松子」について
【表記】新松子
【読み方】しんちぢり
【ローマ字読み】shinchijiri
子季語・関連季語・傍題・類語など
・青松笠(あおまつかさ:aomatsukasa)
・松ぼくり(まつぼくり:matsubokuri)
・松ふぐり(まつふぐり:matsufuguri)
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季節による分類
・「し」で始まる秋の季語
・「秋の植物」を表す季語
・「晩秋」に分類される季語
月ごとの分類
新松子を含む俳句例
新松子南に海見て育つ/小澤實
朝の浜少年走る青松笠/中川志帆
秋の日の始めを明き松ふぐり/玄
冬麗や汐に漂ふ松ぼくり/真砂女
千畳閣海の風入れ新松子/館岡沙緻
老松の裾の小松の新松子/草間時彦
潮騒に勝る松風新松子/伊丹三樹彦
竹生島つねに正面新松子/井沢正江
鮮しきバタ香る桶新松子/小池文子
夜の雨の昼雫なす新松子/青木重行
音淋し芭蕉に落ちて松ふぐり/言水
将門の首を洗ふや新松子/角川春樹
酒代へて亦酒すすむ新松子/小澤實
松ぼくり大年の日を懐しみ/高澤良一
潮騒の追つて来る道新松子/島村茂雄
猫も主も家に不在や新松子/巌谷小波
のどみせて女の仰ぐ新松子/福原十王
白妙の佐渡を遠目に新松子/佐川広治
よき宿の波はとゞろに新松子/菅裸馬
砂山の砂走りけり新松子/鈴木しげを
俳句例:21句目~
良寛の疑団大きく松ぼくり/高澤良一
色鳥に乾きてかろし松ふぐり/原石鼎
冬の日や仏の花の松ぼくり/野村喜舟
若き日と同じ波おと新松子/川崎俊子
初秋や松葉の土の松ぼくり/小川軽舟
四角の天の一角緊まる新松子/松本旭
虫干や庵に久しき松ふぐり/加舎白雄
一湾のひかりに育つ新松子/福川悠子
緑の肉詰まる松笠子の遺骨/香西照雄
松笠の青さよ蝶の光り去る/北原白秋
手枕や日は落ちなむと新松子/齋藤玄
抱く子の鸚鵡返しや新松子/北住京子
新松子この単線を小諸まで/大井雅人
新松子その奥の空深きかな/小泉良子
新松子野点の釜を煙らしぬ/青木月斗
新松子夫の手鋏鳴りやまず/小林弘子
新松子山脈に雲邃かなり/星野麦丘人
新松子海流底もとよみつつ/下村槐太
新松子阿修羅の勁き瞳かな/岡野美代子
リス走りゆれる小枝や新松子/常原公子
俳句例:41句目~
七草や雨にくろずむ松ぼくり/小川軽舟
妻と訪ふ先師の墓所や新松子/伊東宏晃
橋立に絵筆はしらす新松子/長野美恵子
松ふぐりひとつは蒼き冬天に/河合凱夫
新松子濡れて狐の嫁入りぞ/佐々木六戈
新松子悔みつづけて寄り目の神/竹中宏
掃初や熊手にかかる松ふぐり/渡辺水巴
松ぼくりかぞへて歩く秋燕忌/吉田鴻司
松ぼくり以て両の眼雪だるま/高澤良一
松ぼくり前に後ろに一茶句碑/高澤良一
足音の響きやすさよ新松子/小野恵美子
新松子わが恋ごとは青くさし/高桑弘夫
山水の一気に暮るる新松子/大澤ひろし
霞より猫の持て来し松ぼくり/村越化石
霧いつか雨音となる新松子/古賀まり子
松亭々青松かさをちりばめり/高木晴子
すがすがとおのれもゐたれ新松子/森澄雄
春待つや鈴ともならず松ぼくり/小川軽舟
新松子父を恋ふ日としたりけり/石田波郷
眉あげて見ることもなし新松子/村沢夏風
俳句例:61句目~
初東風や波にあそべる松ふぐり/田村木国
夏潮にぽっかり泛きて松ぼくり/高澤良一
夜は夜の波のとよもす新松子/三田きえ子
松ぼくり踏めばふんわり春の山/関戸靖子
松ふぐり見えてかゝりぬ春の月/鈴木花蓑
行く年や焚火に蹴こむ松ぼくり/石塚友二
雨しよぼに掬ひあげよか新松子/加藤郁乎
寒空やみなあきらかに松ふぐり/渡辺水巴
松ぼくり燃えしぶりをり春の暮/小川軽舟
ポケットの闇あたたかく松ぼくり/桜井博道
芙美子碑や熔岩より生ひて新松子/中村明子
沙に触れて千鳥ゆくあり新松子/佐藤惣之助
道ここに尽くてふ碑あり新松子/高林アヤ子
新松子掠めて飛べるヘリコプター/高澤良一
すこやかに青松笠に父母のゐて/瀧澤伊代次
ひとの嬰をふはりと抱きぬ新松子/嶋田麻紀
きやうだいの会はぬ月日や新松子/大須賀令子
学徒征かしめし日月消えずよ青松笠/磯貝碧蹄館