俳句例:101句目～
老の手のきほひ傾け新茶くむ/皆吉爽雨
俳諧の虚実を見たり古茶新茶/正岡子規
便りより先きに厚意の新茶着く/真弘衛
新茶入るゝ袋に古茶の名残哉/正岡子規
新茶の香一針二葉より走る/百合山羽公
茶袋に新茶と書きて吊したり/正岡子規
今年又新茶まゐりぬ同じ壺/沢田はぎ女
藪北の新茶新茶と云ひ注げる/高澤良一
姫街道小旗を立てて新茶売る/飯森/茂
送られし小包解けば新茶の香/長田一男
山中の石気に冷ゆる新茶かな/高田蝶衣
人々と新茶ひとりの今を古茶/皆吉爽雨
銀婚はまだまだ若し古茶新茶/山田弘子
雨に入りて手製の新茶妹が鮓/会津八一
京へ出る新茶の荷あり十団子/正岡子規
餅飯殿通り新茶のかをりかな/橋本榮治
二滴一滴そして一滴新茶かな/鷹羽狩行
鰺鯖の干物と替る新茶の値/下村ひろし
新茶の買人ありとも見えぬなり/寺田寅彦
新茶よりはじまるけふの空腹か/加藤楸邨
俳句例:121句目～
新茶入れ幽かにありし亡父憶ふ/加藤楸邨
新茶古茶ときには白湯を独り居は/及川貞
新茶壺父祖なつかしき一日なる/河野南畦
新茶摘む糊のききたる赤だすき/青木治代
新茶買う宇治十帖をめぐり来て/谷本淳子
新茶汲みゐて忘らるる齢なり/古賀まり子
新茶汲むさしたる話なけれども/角川春樹
新茶汲む空の上澄み汲むごとく/平井照敏
新茶積む馬も来て居る汽車場哉/正岡子規
新茶買ふ笠間稲荷の門前に/鹿志村のぼる
明日は立つ里の新茶の香になごむ/上村占
杣の家の濃すぎて惜しき新茶かな/及川貞
次韻して謝する新茶の絶句かな/正岡子規
猟人の念仏を聞く新茶かな/麦水「葛箒」
珠洲焼きのまこと砂色新茶汲む/細見綾子
男手をよしとふ新茶わが淹るる/皆吉爽雨
さびしさは新茶のころの風の色/亀山公一
したゝかに新茶のみけり蛙の夜/正岡子規
そこここに新茶の幟宇治の町/田中としこ
ふるさとの新茶五封度到来す/左右木韋城
俳句例:141句目～
よと河や宇治の新茶の流れかす/正岡子規
絹撚りのごとき新茶を暁の刻/加藤知世子
サラ～と和尚がこぼす新茶かな/前田普羅
老いしこと互に言はず新茶汲む/山根仙花
事務室に二人残りて新茶汲む/早乙女成子
古茶新茶これより先も二人の居/村越化石
古茶新茶心のまゝに雨読かな/山口水士英
古茶新茶折り目正しき村に住み/山田紫水
花過ぎてゆふべ人恋ふ新茶かな/渡邊水巴
吹降りを来たりし友に新茶あり/白岩三郎
茶柱のたちて新茶のうすみどり/森田敏子
嘘言ひし口淋しくて新茶汲む/宍戸富美子
荷の札の翅の音して新茶着く/平井さち子
天竜の切りたつ岸の新茶どき/百合山羽公
蒟蒻屋六兵衛和尚新茶かな/久保田万太郎
天龍の濁りみなぎる新茶かな/百合山羽公
虔みて淹るる新茶や老師祝ぐ/石田あき子
妻とゐて語ることなし新茶かな/大平清康
学僧の捧げし新茶受けにけり/黒田櫻の園
送り来し新茶や一人占めにせむ/石川桂郎
俳句例:161句目～
遊民のわれに新茶のあさき鬱/小長井和子
過ぎし皆可とうべなはむ新茶汲む/及川貞
宿の古茶持参の新茶着きて汲む/皆吉爽雨
富士を前青きのれんに新茶買ふ/安田杜峰
小包を解けば新茶のこぼれけり/正岡子規
手織縞着て新茶汲む紙漉婆/長谷川かな女
新茶くむ宇治の朝けは窓に瀬々/皆吉爽雨
露といふ新茶の銘を愛しみぬ/後藤比奈夫
風鎮のことんことんと新茶汲む/森本節子
新茶くむ怒濤のひと日迎へんと/井沢正江
新茶くむ茶山と谷をへだつ居に/皆吉爽雨
新茶して樟の花明にすまひけり/石原舟月
わが碗にをさめししづく新茶くむ/皆吉爽雨
新茶汲み小夜中山に老いにけり/浅場美智子
樹々に見る明けの端然新茶点つ/加藤知世子
新茶青く古茶黒し我れ古茶飲まん/正岡子規
サラサラと和尚がこぼす新茶かな/前田普羅
水のごとき交りもよし古茶新茶/大橋櫻坡子
エムプレス新茶を摘んで灯しけり/前田普羅
注ぐ湯にみどりこきまぜ新茶かな/高澤良一
俳句例:181句目～
深蒸しの狭山新茶に加賀の菓子/藤本/とき
新茶汲む夜は松の木のたたずまひ/金田咲子
過ぎしみな可とうべなはむ新茶汝む/及川貞
湯ざましを満たして二つ新茶古茶/亀井糸游
点心はまづしけれども新茶かな/芥川龍之介
新茶飲み雨をはげしと見たりけり/今村俊三
夜をこめて作りし新茶賜ひけり/八木林之介
ひとり居は刻もゆるやか新茶古茶/井沢正江
新茶古茶几辺にありて病めりけり/奈良鹿郎
にんげんの途中の顔で新茶飲む/鳥居おさむ
古茶新茶茶筒すつぽり入れ替ふる/松木/元
雷おこしなつかし新茶澄みてあり/土方花酔
日焼せしことも言ひ添へ新茶かな/細見綾子
入れ方を問うて新茶でありしこと/稲畑汀子
新茶もむ手より香のあふれけり/鹿倉はるか
しぐるるや古茶に戻れる新茶の香/石川桂郎
ころがして舌よろこばす新茶かな/高橋雪江
くみこぼす新茶の玉の膝をつと/三浦恒礼子
くちびるに夏欲しければ新茶飲む/小迫倫子
かくて暮れむ日曜惜む新茶かな/大谷碧雲居
