俳句例:101句目～
新米のひかり纏いて炊きあがる/青木規子
どの家も新米積みて炉火燃えて/高野素十
新米を詰められ袋立ちあがる/江川千代八
俵結ひし手足新米に埋め冷やす/大熊輝一
嫁ぐ日の新米ことにかゞやける/山岸治子
花嫁のヴェールに撒けり今年米/堀口星眠
新米に月満ちてゐる大和かな/大峯あきら
新米のおひねりほぐれほうそ神/太田土男
新米と古米とあらず飢ゑしむな/石塚友二
新米や櫃の箍にはあかがねを/鳥居おさむ
新米をもて帰国の夜ねぎらはれ/稲畑汀子
新米を食べて胸中あかるくなる/梶原美邦
新米十キロ枕のやうに届きたる/須川洋子
新米炊く火も新藁よかぐはしく/大熊輝一
早立ちの子に新米を握りけり/藤本/とき
新米に鼻づら出しぬ若狭牛/長谷川かな女
今年米やさしく研いで朝支度/秋川ハルミ
新米や愛しむ髪膚父母在らず/河野多希女
癒えよ癒えよ夫に新米噴き上る/松村多美
新米のかがやき満ちて母は亡し/老川敏彦
俳句例:121句目～
すくい見る粒々うれし今年米/細木芒角星
無農薬のラベル大きく今年米/矢口由起枝
新米のかほり鉋のよく研げて/高村光太郎
新米を洗へばこぼす夜のしじま/赤尾恵以
み吉野入りの馬拵へや今年米/阿波野青畝
新米を入れし盥を囲み寝る/長谷川かな女
一握の新米のぬくみ掌のぬくみ/吉田北舟子
新米にふくふく炊かれ瀬田しじみ/野澤節子
新米の盗み出すかに積まれゆく/佐々木六戈
ありそめしこぼれ新米貨車ホーム/亀井糸游
灯の土間に積む新米のほてりかな/西村梛子
新米を以って米寿の父見舞ふ/小山/登喜子
かく粗くかつ軽けれど今年米/竹下しづの女
今年米うまかり今日に明日に処す/高澤良一
しやもじざわり上々新米炊き上る/野村親二
死者へ語りつ新米で炊くまくら飯/平井さち子
銀シャリてふ眩しき死語や今年米/岡田飛鳥子
見本市の新米産地ごとに触れて母ら/古沢太穂
