季語/四月馬鹿(しがつばか)を使った俳句

俳句例:101句目~

無精卵生みてかしまし万愚節/松倉ゆずる

こゝろよく欺かれ来し四月馬鹿/杉山岳陽

すでにして目が笑ひをり四月馬鹿/杉本零

七面鳥ひねもす怒り四月馬鹿/伊丹三樹彦

乗降者とて無き停車四月馬鹿/佐野まもる

僧の出すパソコン通信四月馬鹿/宇都宮靖

句も飴も舌にまろばせ四月馬鹿/矢崎硯水

四月馬鹿つい口癖は死後のこと/結城昌治

四月馬鹿には出来すぎてゐる話/山田弘子

胃カメラのするりと入り万愚節/守屋房子

四月馬鹿己あざむくすべ知らず/原コウ子

誤植禍のおのが句を見る万愚節/石原八束

四月馬鹿真顔さらして花のもと/臼田亞浪

四月馬鹿貝が口開け売られゐし/渡辺恭子

四月馬鹿達者と云へる褒め言葉/高澤良一

過ぎし日は肉重かりし万愚節/沼尻巳津子

地球上の海こぼれざる四月馬鹿/高野万里

障子より子の手飛び出す万愚節/藤野/力

大玻璃の瑞雲見惚れ四月馬鹿/榛谷美枝子

大雪となりしはまこと四月馬鹿/原田青児

俳句例:121句目~

四月馬鹿ローマにありて遊びけり/山口青邨

万愚節雲のかたちの受話器とる/上田日差子

四月馬鹿昨日のあひる今日も居て/伊藤俊二

四月馬鹿大嘘つきのひよこ売り/本庄登志彦

四月馬鹿公園を一と廻りして出る/原田種茅

わが立つ丘の下はトンネル万愚節/中村明子

四月馬鹿のんしやらんすの咄せり/下村槐太

パイプもてうちはらふ万愚節の雪/石原八束

四月馬鹿返事缺席ばかりかな/久保田万太郎

四月馬鹿わさびが鼻に抜けてけり/斎藤四郎

造花には散ることのなき万愚節/白神あきら

笑ひあふ家族がありて四月馬鹿/柴田白葉女

四月馬鹿ならず子に恋告げらるる/山田弘子

愚の骨頂とまでは行かねど万愚節/細谷定行

劇中のあくびうつされ四月馬鹿/平井さち子

異国よりとどくたよりも四月馬鹿/赤尾兜子

人も樹も雪を忘れて四月馬鹿/阿部みどり女

はみ出るはルーペの文字万愚節/阿波野青畝

万愚節跳べそうに水ひかりおり/高橋由紀夫

エープリルフールに非ず入院す/荒川あつし

俳句例:141句目~

うぐひすもきぎすも聞かず万愚節/青木重行

猫飼ふ気さらさらなくて四月馬鹿/大石悦子

犬に曳かれ犬税納めに四月馬鹿/平井さち子

おしろいのはげし女給の四月馬鹿/日野草城

エープリルフール傑作なかりしと/西本一都

万愚節ともいふ父の忌なりけり/山田ひろむ

鞄より五ドル出て来し四月馬鹿/山田みづえ

万愚節ひとりふたりとけぶりけり/柿本多映

万愚節をんなは先に逝かすまじ/鳥居おさむ

指切つて血がとまらぬよ四月馬鹿/石川桂郎

噴水のりちぎに噴けり万愚節/久保田万太郎

チヨコレートつめたし四月馬鹿の夜/宮坂静生

わが練りし辛子に泣きて四月馬鹿/中島八重女

わがメモをわれの読めざる四月馬鹿/児玉寛幸

地獄痣なく老いにけり四月馬鹿/阿部みどり女

せめてもの四月馬鹿にてねむり欲し/斎藤空華

聞き居ればうちの子だけがと万愚節/高澤良一

死ぬる馬鹿生きてゐる馬鹿四月馬鹿/斎藤空華

四月馬鹿朝から花火あがりけり/久保田万太郎

万愚節寝すぎた兎を身ぬちに飼ふ/磯貝碧蹄館

俳句例:161句目~

クサンチッペといふ妻ありき万愚節/長谷川双

エープリルフールなればと思ふこと/稲畑汀子

茹で玉子屋仕かけ湯気たて万愚節/平井さち子

エープリルフール木の影踏まれけり/村上高悦

エープリルフール移転の通知受く/稲畑廣太郎

四月馬鹿五右衛門風呂を空にして/長谷川かな女

四月馬鹿ラスコリニコフの眼もて食ふ/行方克巳

「ベアトリス」そは吾が孫か四月馬鹿/羽部洞然

四月馬鹿病めど喰はねど痩せられず/加藤知世子

押して開かずひいて開く扉や四月馬鹿/茂野六花

手かげんのなき子に打たれ四月馬鹿/黒坂紫陽子

四月馬鹿ものおもふことにつみありや/久保田万太郎

ナイフ/フオークやけに光らせ万愚節/鍵和田ゆう子