「四月馬鹿」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「四月馬鹿」について
【表記】四月馬鹿
【読み方】しがつばか
【ローマ字読み】shigatsubaka
子季語・関連季語・傍題・類語など
・エイプリルフール(えいぷりるふーる:eipurirufuru)
・万愚節(ばんぐせつ:bangusetsu)
–
季節による分類
・「し」で始まる春の季語
・「春の行事」を表す季語
・「晩春」に分類される季語
月ごとの分類
四月馬鹿を含む俳句例
白隠に妊り申す万愚節/萩原麦草
船酔の缺食五回四月馬鹿/大橋敦子
黒靴を黒に磨いて万愚節/梅本豹太
児の髪に乾く飯粒万愚節/大橋敦子
郵便受終日空に万愚節/古賀まり子
噂にも立派な尾鰭万愚節/西川五郎
健康色得しは靴下万愚節/香西照雄
万愚節五十音順よくならぶ/松澤昭
献立を猫に問ひもし万愚節/神澤信子
父亡き後通す真顔や万愚節/大石悦子
老村医逝きし噂も四月馬鹿/浅井意外
舌を出す夢の三鬼や四月馬鹿/桂信子
万愚節矮鶏抱卵の雉子孵り/小西藤満
四月馬鹿歳月誰か幸あらむ/石原八束
万愚節汽船で流人の島へ旅/北野民夫
累累との目わびし四月馬鹿/小池文子
上官を殴打する夢四月馬鹿/沢木欣一
丸の内界隈四月馬鹿の日や/村山古郷
子に願ふ文武両道四月馬鹿/寺岡捷子
万愚節山上に在り航を待つ/中島斌雄
俳句例:21句目~
盤石のこゑ胸にあり万愚節/石原八束
映写機のコマ早送り万愚節/吉村裕一
空饐えしを梢にながす万愚節/松澤昭
晩年のわが常臥しや四月馬鹿/森澄雄
唇のうすき女や四月馬鹿/入船亭扇橋
万愚節すぐや凍土の零番地/巌谷小波
万愚節半日あまし三鬼逝く/石田波郷
緋蕪一つ育つ子の畑万愚節/大橋敦子
御仏の切手舐めけり万愚節/衣川砂生
育て来て嫁にゆづるや万愚節/杉本寛
腰かけて岩重たしや万愚節/三橋敏雄
口づけを髪に許さる万愚節/高橋悦男
貝焼けば小蟹出てくる万愚節/中西暸
食器には皆蓋のあり万愚節/高澤良一
四月馬鹿傘さして買いに行く/有働薫
人にもある耐用年数万愚節/倉迫順子
酔生と夢死の境の四月馬鹿/石原八束
四月馬鹿弟ほしと思ひけり/望月一美
万愚節亡者の毒にあてられし/石原八束
浦島を乗せし亀待つ万愚節/岡本まち子
俳句例:41句目~
浅草に人がぎつしり万愚節/和田耕三郎
水呑んで身内めざむる万愚節/山中不艸
毎日を万愚節なる者らかな/竹本仁王山
木馬ほか天地の廻る四月馬鹿/石原八束
乱筆と刻むワープロ四月馬鹿/指澤紀子
人が生き返る映画や四月馬鹿/松尾隆信
戯れむ年ならなくに万愚節/相生垣瓜人
万愚節おろそかならず入院す/相馬遷子
四月馬鹿の女の中や勤めそむ/細川加賀
糶られゐるの真顔や万愚節/片山由美子
切つ先一つに黄昏けぶる万愚節/松澤昭
四月馬鹿一空洞をいかにせむ/巌谷小波
墓残し土地売り尽す四月馬鹿/大熊輝一
笑ひたるあとの涙や四月馬鹿/下村梅子
四月馬鹿玉葱刻みつつ泣けり/米田一穂
女学生まろび笑へり四月馬鹿/岸風三楼
万愚節法然にこそ賺されめ/相生垣瓜人
義理で喰ふ食堂の飯四月馬鹿/皆川白陀
屑本をめくるは四月馬鹿の風/平畑静塔
四月馬鹿常の話も嘘多く/石川/かほる
俳句例:61句目~
一脚つめて三脚据うる万愚節/石川桂郎
万愚節妻の詐術のつたなしや/日野草城
持ち時間知らぬ幸せ四月馬鹿/中井恭子
白湯に噎せ涙こぼすも万愚節/富田潮児
四月馬鹿巫女身籠りし話など/丸山嵐人
病院の帰りカツ買ふ四月馬鹿/沢木欣一
空にまで嘘をつかれて万愚節/菅生一文
四月馬鹿転がしてある自尊心/丸山嵐人
三鬼忌は万愚節なり空港に/秋山巳之流
四月馬鹿転勤なきは恥に似て/川村紫陽
万愚節恋うちあけしあはれさよ/安住敦
離婚すと本音も少し四月馬鹿/奥田真弓
万愚節岩がするりと波脱いで/茨木和生
貧しさを笑ひにかくす万愚節/石原八束
賑やかに見舞客来る万愚節/古賀まり子
四月馬鹿俳諧ばかり残りけり/里見宜愁
パソコンの中にごみ箱万愚節/原田紫野
箱に箱すつぽりと入る万愚節/能村研三
寝ちがへし首の回らず四月馬鹿/添野光子
建替へに二度の引越し四月馬鹿/毛塚静枝
俳句例:81句目~
掌につつむ心臓模型四月馬鹿/山田みづえ
炊飯器噴き鳴りやむも四月馬鹿/石川桂郎
生命線上に並べし持薬四月馬鹿/原田孵子
目の前の風を見ている四月馬鹿/大西泰世
薬味皿の紙帯にメモ四月馬鹿/平井さち子
親馬鹿のひとりで忙し四月馬鹿/影島智子
四月馬鹿母より愚かなるはなし/岡本圭岳
食堂のサンプルの照り四月馬鹿/今村恵子
黒船に乗りて来るかや四月馬鹿/大谷句佛
ひつ込まぬびつくり箱や万愚節/北野平八
カステラの裏のざら目や万愚節/中尾杏子
万愚節に恋うちあけしあはれさよ/安住敦
万愚節夜逃げのごとき旅仕度/築城百々平
万愚節親のみたてのあたりけり/水原春郎
万愚節踊る埴輪は口ひらく/鍵和田ゆう子
万愚節雲にのりたき日なりけり/澤井我来
勝ち癖のあるスーツかな万愚節/櫂未知子
好きなタオルで顔をふき万愚節/金田咲子
手術後の目の見え過ぎよ万愚節/毛塚静枝
炯々とたんぽぽ黄なり万愚節/百合山羽公