俳句例:101句目~
七月の碧落にほふ日の出前/水原秋桜子
七月はガラスの力みなぎらせ/対馬康子
七月の海雲掻きをり出雲崎/白澤よし子
青田抜け水七月へまつしぐら/筑紫磐井
七月の曙光やあげし手にも影/野澤節子
七月や穂に出て青き猫じやらし/青木重行
七月のくらきところを鶏あゆむ/長谷川双
七月をまだらに雨の降りにけり/嶋田麻紀
七月二日夜に入り泪あふれけり/熊谷愛子
七月軍港帰還の唾を海へとばす/皆川白陀
ちちははの忌をみどり濃き七月に/岡本眸
庇合いの七月涼し人通わす/長谷川かな女
七月とおもひ慰むあつさかな/奈良-含粘
七月のうぐひす近し火山灰の道/藤田湘子
七月のすぐ嗄れ果つる現場声/米沢吾亦紅
七月のつばくらめわれを両断す/高橋睦郎
機帆船のごとし七月飯屋あり/小木ひろ子
七月のつめたきスウプ澄み透り/日野草城
生の終り見えざる七月杉が立つ/寺田京子
七月のなほ雨雲の船出でゆく/米澤吾亦紅
俳句例:121句目~
七月のばらとならんと散り急ぐ/高木晴子
七月やひとつの影と巌を攀づ/岡本まち子
七月やギリシャの酒を水に割り/有馬朗人
七月のぴあにっしもの沙こぼれ/加藤郁乎
七月のセル着せられて踊り見に/石川桂郎
七月の喧嘩で落ちしかぶりもの/筑紫磐井
七月の海がさみしきはずはなし/長谷川双
七月の河馬へ行く人寄つといで/坪内稔典
七月や彼方のビルを真帆と見て/岡田貞峰
七月や真清水の音葉がくれに/神尾久美子
ドンキホーテの槍七月の空を刺す/嶋田麻紀
精霊とんぼ群れ飛ぶ世紀末七月/八木原祐計
七月やシヨーウインドを渚とし/松室美千代
七月の生きるよろこび気力湧く/片岡片々子
七月号としてルノアールの口絵/加倉井秋を
虫喰いし木の葉や七月の粗利益/松本光太郎
七月の夜更けてよりもの見えだす/野澤節子
七月の足袋白く穿き夜毎の雨/長谷川かな女
古き夫婦蚤の七月をいたわりあう/細谷源二
七月、町は波のよう死児立ちあがり/西川徹郎
俳句例:141句目~
夜間飛行機子と七月の湯屋を出て/磯貝碧蹄館
子と描きし七月の尾根遂に昏れぬ/石橋辰之助
七月の冷えあららぎの実を食す/長谷川かな女
この七月を生きた者のかなしみはただに蒼きよ/水の調律/筑紫磐井
しんかんと七月いたり母がため茄子もてつくるむらさきの馬/塚本邦雄
「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日/俵万智
七月十三日わが師秀雄はさかんなる暑さを叱り飛ばして逝けり/山崎方代