俳句例:101句目～
山川に人の入りゆく施餓鬼かな/田中裕明
霜雫施餓鬼の飯に暾のあふれ/上野さち子
川施餓鬼木のカスタネットめく/北村和子
施餓鬼棚やあるは泪の古位牌/橋水-性桂
流されし経木に夕陽施餓鬼川/藤本安騎生
施餓鬼舟向ふの岸はなかりけり/正岡子規
海原に幡ひらひらと施餓鬼舟/橋本美代子
施餓鬼會のくふ僧もまじるべし/筑紫磐井
石のかげ木のかげ青し川施餓鬼/山本洋子
雲しざる能登北端の船施餓鬼/竹中碧水史
施餓鬼舟静かに下しはじめけり/小杉余子
町中にかつと日当る施餓鬼寺/山田みづえ
施餓鬼旛五彩涼しき梨葉の忌/文挟夫佐恵
旅人も手向けて居るや施餓鬼棚/野村泊月
おんおんと山つづきけり施餓鬼寺/兒玉南草
あしびきの山の霧降る湖施餓鬼/加倉井秋を
施餓鬼舟黒煙を吐く船に曳かれ/橋本多佳子
波がしらみな日うけをり施餓鬼船/宮武寒々
さびさびと海の風来る施餓鬼寺/町田しげき
施餓鬼の灯一つ消ゆれば一つ点く/野澤節子
俳句例:121句目～
施餓鬼船すすめるごとく止りゐる/宮武寒々
ぴつちりと池に藻のはり施餓鬼かな/龍岡晋
一村の施餓鬼はじまる鐘を打つ/久垣/冬来
一燈に映ゆるものなし施餓鬼堂/岩淵喜代子
風立ちぬうしろ淋しき川施餓鬼/千代田葛彦
他がためにいづれ己れに施餓鬼かな/林昌華
僧を乗せて高く揺れ居り施餓鬼船/久坂花囚
卒塔婆抱き人散りゆけり施餓鬼寺/井上洋子
四五人は野良着のままや施餓鬼寺/藤原香雲
施餓鬼棚打ちそこねたる釘見えて/岩城久治
川施餓鬼夜空焦がして終りたる/吉村ひさ志
大施餓鬼果てて無住となりにけり/山田閏子
色紙のいろのはなるる川施餓鬼/猪俣千代子
川へ火の出たがる施餓鬼太鼓かな/関戸靖子
川下や施餓鬼のものゝ流れ来る/御手洗不迷
施餓鬼棚たたまれし跡かるく掃く/中嶋秀子
濤間なる施餓鬼のものの西瓜かな/湯浅桃邑
水まきしホース打ち捨て施餓鬼寺/田中裕明
燭の穂の起きるひまなし川施餓鬼/橋口白汀
杉の穂に月のぼりたる施餓鬼寺/福田甲子雄
俳句例:141句目～
施餓鬼棚風にころがるもののあり/宮津昭彦
お施餓鬼や浮世の餓鬼は梨かじり/波多野晋平
からたちに露を置きたる施餓鬼かな/斉藤夏風
さうめんの束のほどけし施餓鬼かな/岸本尚毅
ひぐらしや山の施餓鬼の日ざかりに/北原白秋
ざりがにの流されてゆく施餓鬼かな/岸本尚毅
墨うすき塔婆ながるゝ施餓鬼かな/大橋櫻坡子
夕日まだたかきにありぬ川施餓鬼/藤田あけ烏
小流れに日のしんかんと施餓鬼かな/橋本義憲
湖施餓鬼火山灰に喰入る夫婦の座/殿村菟絲子
火のにほひ草のにほひに舟施餓鬼/戸塚時不知
なにもかもここにあつめて施餓鬼かな/岸本尚毅
施餓鬼会の経読めば喉うごめくや/長谷川久々子
日の下にまつりてさみし施餓鬼棚/五十崎古郷句集
施餓鬼幡ゆらめき流れ夕づける里道の人ら面輪ほのけき/井上光三郎
