「五月富士」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「五月富士」について
【表記】五月富士
【読み方】さつきふじ
【ローマ字読み】satsukifuji
子季語・関連季語・傍題・類語など
・皐月富士(さつきふじ:satsukifuji_)
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季節による分類
・「さ」で始まる夏の季語
・「夏の地理」を表す季語
・「仲夏」に分類される季語
月ごとの分類
五月富士を含む俳句例
五月富士全し母の髪白し/桂信子
夏富士の裾に勾玉ほどの湖/杉良介
城廃れ一天に置く五月富士/的野雄
一人来て二人三人雪解富士/玉澤淑子
赤彦の夕陽の歌や雪解富士/角川照子
筍が伸びる雪解富士黄いろ/萩原麦草
五月富士々湖のいろかはる/加藤楸邨
牧牛の群る高原や皐月富士/吉井竹志
五月富士出窓の多き子の新居/南俊郎
一条の煤煙のもと皐月富士/中村汀女
五月富士屡々湖の色かはる/加藤楸邨
五月富士水車は高き水玉を/内田暮情
雪解富士清水港も昏れてきし/星野椿
夏富士や臓潔らかに鱒育つ/中村明子
あたらしき眼鏡にかなふ五月富士/角和
お召車を待つ打水や五月富士/永井龍男
機街の一と筋さきに雪解富士/飯田蛇笏
雪解富士全し泉湧きつゞき/小沢満佐子
皐月富士のぞむ庵の炉塞がず/木村蕪城
みづうみの底の胎動雪解富士/保住敬子
俳句例:21句目~
墨の香や夜空の中の雪解富士/宇佐美目
眉の間に五月富士おき歩きけり/上野泰
磔像は潮風に錆び雪解富士/福田甲子雄
雪解富士国原青さみちにけり/渡邊水巴
雪解富士晴れて喜び榧飴売/加倉井秋を
羽衣の天女舞ひ来よ五月富士/小倉英男
雪解富士盥にあまる鯉跳ねし/渡邊水巴
信州に一茶も見たる夏富士を/河野静雲
正面に五月富士ある庭に立つ/鈴木芦洲
苗代の規矩の正しき五月富士/遠藤梧逸
夏富士を肝胆として仰ぎけり/松山足羽
天の原夏富士藍を流しやまず/中島月笠
雪解富士仰いでくゞる鳥居かな/野村泊月
雪解富士口紅卯つ木名に愛づる/渡邊水巴
をだまきに露微塵なる五月富士/富安風生
雪解富士幽かに凍みる月夜かな/渡邊水巴
雪解富士戸々の賤機こだませり/飯田蛇笏
雪解富士日々の日覆の吊り外し/清原枴童
五月富士へ真直ぐよぎる牧草地/羽部洞然
雪解富士月夜を雲の湧きつ照る/渡邊水巴
俳句例:41句目~
雪解富士木天蓼の葉に白さ見ゆ/渡邊水巴
雪解富士樹海は雲をあらしめず/飯田蛇笏
五月富士甍の空にかくれなし/大橋越央子
授かりしもの全容の五月富士/嶋田摩耶子
雪解富士蓮華躑躅に濡れにけり/渡邊水巴
鷹翔ける影ほのかにて雪解富士/飯田蛇笏
湧く雲の流れて澄めり五月富士/竹石一夫
鳶の輪のかたむき移る五月富士/加藤晴子
山椒の棘やはらかし雪解富士/福田甲子雄
火山湖にとほく小さき皐月富士/飯田蛇笏
織娘らの筬やむまなく雪解富士/飯田蛇笏
五月富士四方より雲の来て留る/殿村莵絲子
夏富士のひえびえとして夜を流す/飯田龍太
夏富士の旅思ひ立つ何を捨てに/長谷川秋子
描きかけてありし画板の皐月富士/渋谷松月
目にかかる時やことさら五月富士/松尾芭蕉
雪解富士夜も影なすに湯浴みをり/野澤節子
軍隊なき夏富士を見てありがたし/橋本夢道
立つ鷺にあらはれてをり五月富士/深川正一郎
豪華な愚かさ夏富士のいただきまで/飯田龍太
俳句例:61句目~
砲きく夏富士雪痕匕首のごとくにとめ/古沢太穂