俳句例:201句目～
すれ違ふ人にどんどの火の匂/佐々木須美子
ちりちりと月へ上りぬとんどの火/島谷征良
とんどの子戻りしばらく眠りけり/宮田正和
暮し向き小さくなりしよ飾焚き/殿村菟絲子
とんどの火達磨の尻をまづ舐めぬ/清水基吉
とんど火に劣らぬ雪となり来たる/三村純也
どんど火に雪吸はれゆく勢ひかな/山部栄子
とんど火のへろと上げたる大焔/八木林之介
大どんど身ぬちの五欲あぶり出す/西畑幸子
とんど火の爆ぜて肉声聴くごとし/高澤良一
どんどあと父ほどの闇うづくまり/熊谷愛子
大どんど雪ぶちこんで消されけり/大高千代
どんどの火やはり男の焚きたる火/後藤立夫
みちのくの星燦然とどんど焚く/三谷いちろ
蒼天に浪くだけゐるとんどかな/大峯あきら
どんどの火揚り伊吹嶺ゆらぎけり/永井光代
火柱のつらぬく闇やどんど燃ゆ/長谷川耕畝
どんどの火納まりつつも竹爆ぜる/佐藤脩一
どんど消え河童の沼の深ねむり/北見さとる
どんどの火願文古りし絵馬を焼く/伊沢健存
俳句例:221句目～
どんど照り道祖神手をとりあへる/西本一都
谷底に散らばる十戸どんど焼き/池田ちや子
どんどやの日輪たらりたらりとう/行方克己
太陽へ灰をとばしてどんどかな/大木あまり
富士昏れて母が跨ぎしどんどの火/鈴木只夫
谷水を撒きてしづむるどんどかな/芝不器男
山々の闇が組み伏すどんどの火/千代田葛彦
転び出る橙追えりどんど焚き/長谷川かな女
どんど焼き舞つて折れたる新聞紙/川崎展宏
弾けたる火の粉は星にどんど果つ/佐藤栄一
振舞酒ありてどんどのよく燃ゆる/山下年和
日の暈やどんどの煙の大流れ/久保田九品太
星辰のしづけさに燃ゆどんどかな/鈴木貞雄
村あげて太鼓合図のどんどかな/三宅/桧沢
酔うて踏むどんどの灰の寂しかり/新井声風
里の子の増えしがうれしどんど焼/太田光子
金太郎のやうな子ばかりどんど焼/太田土男
雨雲の垂れきたるよりとんどの火/石川桂郎
火のかをり藁のかをりのとんど餅/吉原文音
傘の柄にどんど明りと雪明り/阿部みどり女
俳句例:241句目～
青松葉きび～もゆるどんどかな/高橋淡路女
どんど火やジーンズに付く何の白/辻美奈子
風が出てどんどの幣を吹きながす/古舘曹人
どんど焼我に魔性のありにけり/須田奈津子
燃えさかるどんど妻への餅も焼く/神原栄二
火の中に鈴の見えたるとんどかな/岸本尚毅
喪の家の欠けて今年のとんど果つ/楢原清子
ひねりたる吉書揚がらず吉書揚げ/上島清子
どんど火の海に崩れて果てにけり/平野芳子
生簀にも及ぶどんどの火の粉かな/梶原宇良
どんど火の映れる酒の注がれをり/藺草慶子
田遊びに終のどんどの大火の粉/伊藤いと子
白山の消えてしまつてどんどの火/細川加賀
火ぼこりの消ゆる高さや吉書揚/堀前小木菟
石仏の首のぐらつくどんどの火/相川玖美子
神酒飲んでどんどの竹を伐りにゆく/安部粋
左義長の最後の花火か眠りけり/阿部みどり女
なべて火といふもの哀しどんど火も/酒井土子
とんどの火小雪まじりを猛りけり/平田マサ子
火の粉舞ふどんどのそばを身延線/百合山羽公
俳句例:261句目～
とんど火の最初パチパチやがてバン/高澤良一
どんどの火ほろびざる間に歩を返す/百瀬美津
どんどの火小さくなりたる空に富士/勝俣泰享
どんどの火崩れむとして立ちあがる/石川文子
どんどの火海へこぼるる母の郷/鍵和田ゆう子
どんどの火衰へ瀬音の高まり来/阿部みどり女
どんどの火蜑は舟焼く火となせり/下村ひろし
どんど焚く海明けくるを待ちきれず/岸風三樓
どんど火に顔ばかり灼け餅灼けず/町田しげき
大とんどオリオンゆるぎなかりけり/山田弘子
竹はぜしとんどの火の粉打ちかぶり/稲畑汀子
どんど焼きすだまは人の手のかたち/寺田京子
どんどの焔おんべ笑ひに妻の笑ひ/加倉井秋を
ひろびろと土の踏まるるどんどかな/石田勝彦
火の丈のすぐに追ひつき二のとんど/八染藍子
背負ふ子の足がよろこぶ大とんど/薄木千代子
父母を知る人も減りたるどんどかな/青木重行
萌ゆるものありて踏まるるどんどかな/岸田稚
金星の生まれたてなるとんどかな/大峯あきら
燃えさかるどんどに雪の霏々と降る/石川文子
俳句例:281句目～
鳥となり花びらとなりどんどの火/成田智世子
左義長の燃えあがるものなくなりぬ/加藤三七子
とんど火のあやふく立つてをりにけり/高澤良一
どんどの焔ときに児の貌けはしうす/竹谷しげる
ぶすぶすりとんどに火の手あがりけり/高澤良一
飾焚く歯朶火ちよろちよろちりちりと/川畑火川
どんど火に手が花びらの子どもたち/能村登四郎
のしかかる夜空ささへてどんどの火/片山由美子
