俳句例:101句目～
日高には能登の国迄やさし鯖売/井原西鶴
消えがての鯖火にこころ縋りをり/岸田稚
手花火は鯖街道を照らすなり/大峯あきら
鯖大盡柱の冷えを拭き込んで/佐々木六戈
鯖寄るや日ねもす見ゆる七ツ岩/前田普羅
夜の波を鯖舟の火のゑがくのみ/橋本鶏二
大灘に集はむとせるみな鯖火/小澤満佐子
鯖火消え暁紅海を染めにけり/鈴木真砂女
鯖ひらく手に妊りの不意に赤く/武藤暁美
父の忌や沖の鯖火を青しと見/鈴木真砂女
室戸の灯遠し鯖火の尚遠し/片岡/北窓子
雨一ト粒眼鏡に赫と鯖獲る火/中戸川朝人
鯖焚く火補陀落の火を現じけり/福永耕二
魂棚を灯せばともる鯖火かな/榎本冬一郎
鯖食すを貧窶とぞみること勿れ/杉山岳陽
鯖鮓に日ざかりの色寄せ返す/佐野青陽人
鮫揚ぐる人々鯖を踏みしだき/水原秋櫻子
鰺離鯖買う風のかたちの波の町/阿部完市
鯖うまくなりて九月や雨ばかり/草間時彦
新聞紙で巻く鯖夜の風下で/手代木唖々子
俳句例:121句目～
大灘の鯖火みだれず凪ぎわたる/水原秋櫻子
鯖火見ゆ天の夕焼とつゞきつゝ/水原秋櫻子
紀の鯖火土佐の鯖火と焚きそめぬ/橘景三郎
青ひかる鯖釣り獲たる掌にぬくゝ/山口草堂
漁衣替へて鯖漁夫小鳥網掛けに/小原菁々子
今年酒鯖もほどよくしまりけり/片山鶏頭子
網声越し見ゆる鯖火のかなしさよ/菖蒲あや
鯖と葉といのちはこんで葉月の地/阿部完市
漁父やさし提げて訪ひ来し鯖一尾/高木峡川
塩あてし鯖緊まりゆく四温の夜/伊藤いと子
蚊帳の寝の指ささるれば鯖火見ゆ/森川暁水
会うたびに無口になる父鯖を裂く/坪内稔典
松暮れてきらめきいづるみな鯖火/大島民郎
鯖寄るやあけくれ黄ばむ能登の麦/前田普羅
鯖火燃ゆねむりふかきは女かな/鈴木真砂女
去年に似たけふならばこそ鯖くはめ/上島鬼貫
時化あとのどつと殖えたる鯖火かな/矢野潮花
金曜日が好きで韮/鯖/浅蜊買ふ/正木ゆう子
鯖を焼く百姓のうだつあがらざる/廣江八重櫻
壱岐の燈を鯖火たちまち奪ひけり/米沢吾亦紅
俳句例:141句目～
アスフアルトかがやき鯖の旬が来る/岸本尚毅
鯖火焚くひとの子とゐて故郷なり/榎本冬一郎
鯖提げて博多路戻ることもあり/竹下しづの女
鯖鮓に歌舞伎うちはを貰ひけり/長谷川かな女
鯖食いたしあをあをと夜のとよもせば/上井正司
鯖はみな口閉じ思い通りに死んでいる/橋本夢道
戦争よあるな路地さみだれて鯖食う家/橋本夢道
