俳句例:101句目～
十日前をおもふてゐれば星流る/龍岡晋
夜這星峡にをろちの深ねむり/角川源義
夜這星飛騨の平湯の真夜中を/田中冬二
弓手あげ星流れしと橇の馭者/成瀬正俊
旅かなし銀河の裏と星流れ/野見山朱鳥
旅果てのたましひは風夜這星/丸山海道
星流る天にも亡ぶものがあり/谷端秀治
星流る疑ふこともなく生きて/山口青邨
星流る身後のわれの何ならむ/山口誓子
星流れ人のこころに灯りけり/河野美奇
星飛びしあとに黄の星紅の星/相馬遷子
星飛ぶと鞦韆の子の叫ぶなり/岡本松浜
星飛ぶはゆめにゆめみる牛蒡畑/斎藤玄
星飛ぶや鹿の眼ひかる原始林/渡会昌広
星飛ぶ野思はず掴む己が袖/長谷川秋子
星飛んで和紙に短き僧の文/殿村菟絲子
星飛んで星座の琴を鳴らしけり/河合清
流星の尾の消ゆるさま目に残る/高浜年尾
さいはての流星見つゝゆく旅ぞ/松本圭二
たまゆらの獅子座流星冷まじや/藤浦昭代
俳句例:121句目～
ふるさとももの傾きて流れ星/中村草田男
流れ星この木も肩のある如し/河原枇杷男
本を積み重ね星飛び窓を閉め/池内友次郎
死がちかし星をくぐりて星流る/山口誓子
流星の降る夜となりぬ氷頭膾/八牧美喜子
流星の尾をつかみしは鬼子かな/丸山海道
流星に咲く桔梗とすれちがう/増田まさみ
来てくれし子と並みかへる流れ星/及川貞
流星のきらめき落つる地獄谷/水原秋櫻子
流星や誰も乗らざる電車過ぐ/小泉八重子
待宵や使者のごとくに星飛びし/工藤信子
聞き役に飽きて流星欲るピエロ/仙田洋子
父恋ひの灘へ来にけり流れ星/松本千鶴子
流星に秘めごとならぬ願ひごと/稲畑汀子
さそり座を憶えし吾子に星流れ/稲畑汀子
恋人は見ざりしといふ流れ星/遠藤若狭男
たらたらと星流れたる網戸かな/高野素十
流れ星蚊帳を刺すかに流れけり/金子兜太
地軸めぐる大いなる闇星飛べり/福田蓼汀
夜を脱ぐ無言のドラマ星飛んで/齊藤素女
俳句例:141句目～
流れ星眉間濡れしとおもひけり/小川軽舟
流れ星消ゆるに行方なかりけり/嶋田一歩
天網をいくたびもぬけ流れ星/佐藤礼以子
夜目にさへ焦土の広さ星流る/下村ひろし
芦間より星飛ぶ沢の見ゆるなり/松藤夏山
流れ星夫という人持つ間なく/本田惠美子
流星や火の山裾に灯の撒かれ/渡邊千枝子
星飛びしあと大いなる牧の闇/大森三保子
星飛びしことを言はずに子守唄/千原草之
流星を見しより私だけの部屋/山田みづえ
地の力充つ流星を容れしより/柴田白葉女
コツプもち離れへゆくに星流れ/田中裕明
星飛ぶやうちならべたる海の幸/岩田由美
流星の針のこぼるるごとくにも/山口青邨
流れ星われのみが見しまさしくも/及川貞
星飛ぶや掌の中の手のやはらかく/不破博
流星や庶民の屋根はかさなりて/椎橋清翠
星飛べり信濃の山にはやふた夜/福田蓼汀
星飛んで一すぢの闇濡らしけり/武藤和子
生きて恋して流星の曳く微光年/原子公平
俳句例:161句目～
流れ星こぼれ蜆の子とつぶやく/加藤楸邨
尾を引きし大流星でありしかな/松藤夏山
星飛んで船の灯ひとつ残りけり/柴田陽子
星飛んで蓴菜池を蓋したり/長谷川かな女
むらさきの流星垂れて消えにけり/佐藤念腹
わが胸に果てとなりたる流れ星/水田むつみ
流星のそこからそこへ楽しきかな/永田耕衣
星流れたるとき棕櫚の樹がそばに/下村槐太
わが信濃触れんばかりに星飛びて/村松紅花
流れ星我れのみに見え消えにけり/高木晴子
星流れ痴のマンホール踏めば鳴る/宮武寒々
星飛びて幼きままの吾子とゐる/岡本ひろ子
流星や恋恋として喰むいちじく/鈴木しづ子
星飛んでピラミッドなほ未来へと/山本歩禅
流れ星われより飛びしごとくなり/平井照敏
昨日より生甲斐なくし星飛ばす/田川飛旅子
肺のわがくらやみを星流れけり/千代田葛彦
凍らんとするしづけさを星流れ/野見山朱鳥
星飛んで星消ゆる闇の静寂かな/稲畑廣太郎
男ゆえキャラバンサライに星流る/高澤晶子
俳句例:181句目～
わがにぎりこぶしは流星にはあらず/阿部青鞋
この世あの世つないで切れて流れ星/堀切千代
ひゆんひゆんと鞭の音して星飛べり/小林貴子
星飛んで記憶なくせし悲しさよ/長谷川かな女
星飛んで飛べぬカクタス双手上ぐ/殿村莵絲子
ボジヨレヌーボー星飛ぶ冬の木曜日/三嶋隆英
豊かな流星衣食ならざる飢ゑ求む/磯貝碧蹄館
ドレスごと抱かれた/流星の音きいた/松本恭子
碧きまま昏れて流星椰子の上///タイ、インドネシア/高澤良一
光りつつたちまち消えし流れ星あかつきの海はいまだ暗しも/小泉千樫
