「扇」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「扇」について
【表記】扇
【読み方】おうぎ
【ローマ字読み】ougi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・扇子(せんす:sensu)
・白扇(はくせん:hakusen)
・絵扇(えおうぎ:eogi)
・絹扇(きぬおうぎ:kinuogi)
・小扇(こおうぎ:kougi)
・古扇(ふるおうぎ:furuogi)
・扇売(おうぎうり:ogiuri)
・扇使い(おうぎつかい:ogitsukai)
・扇店(おうぎてん:ogiten)
・末広(すえひろ:suehiro)
・扇の要(おうぎのかなめ:oginokaname)
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季節による分類
・「お」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
扇を含む俳句例
満場の一人の扇夜の波/林翔
新玉の扇一つを命とも/はん
女絵の扇やたたむ竹簾/栄政
狂ふべく開けば白し冬扇/原裕
翁金扇拡ろげ初神楽/石原栄子
唐扇西ふく秋に帰りけり/調和
町礼や袴のひもに扇さす/曲翠
金扇よき光ぞとあふぐなり/在
渡し呼草のあなたの扇哉/蕪村
投扇に興ずる東男吾/井桁蒼水
扇屋が軒や安宅の松の声/調泉
扇にて酒汲む影や散る桜/芭蕉
文台に扇ひらくや花の下/素牛
平生も言葉寡く秋扇/後藤夜半
八朔や扇さしたる小百姓/蓼太
寝所へ扇にすへし蛍かな/園女
扇から扇にとるやはつ茄子/一茶
弄ぶ夢と一字の秋扇/町田しげき
唐扇や當年を語る鬚男/会津八一
花の門豊太閤の紋扇/阿波野青畝
俳句例:21句目~
船に忘れし扇憶へば波模様/林翔
父の忌の祭扇を使ひけり/福島勲
金扇に紅き日輪武者飾/山口誓子
頬杖の鉄扇いたし時鳥/正岡子規
軍扇の裏の白泥蟻地獄/吉田紫乃
開き見る忘扇の花や月/山口青邨
鎌倉は舟虫を打つ秋扇/久米正雄
銀泥に撫子薄き扇かな/野村喜舟
舞初の扇の要返しかな/菅原末野
扇閉づ橘夫人厨子の前/山岸治子
紙雛笏も扇も紙を持つ/村井桂子
唐扇も三月の風に渡りけり/調試
竹林の薄暮に遊ぶ白扇/鈴木鷹夫
投扇の扇かさねし膝の前/下村福
空蝉をのせて銀扇くもりけり/目
初扇白何遍も白きかな/後藤立夫
塵塚や扇の骨に秋の蝶/正岡子規
秋鴎岬に白扇の胸ひらく/中拓夫
春風や扇流しの裾模様/正岡子規
春雨や投扇興の鈴の音/羅蘇山人
俳句例:41句目~
秋扇身近に心遠くあり/松田淳子
秋扇記憶に残る日々ならず/林翔
夕立や扇にうけし下り蜘/炭太祇
秋扇男の心はかりゐる/行方克巳
夕顔の花の主よ扇折/岡本癖三酔
秋扇海の中なる能舞台/角川春樹
帯封を解きて扇の藍匂ふ/芝由紀
檜扇に娘浴衣の雫かな/松藤夏山
三重上げて扇の隙や秋の声/立詠
秋扇や障子の外の縁畳/野村泊月
暮まつや白地扇の風あたり/良品
又或日扇つかひゆく枯野哉/暁台
双棲の年火難あり秋扇/久米正雄
欄や髪の扇に年行く日/上島鬼貫
太柱のもとの畳や秋扇/野村泊月
奈良扇男扇の好もしき/後藤夜半
檜扇の葉に漏る顔や燕子花/嵐山
女郎花打てば扇の匂ひかな/言水
石段に忘れ扇や鳳来寺/岡田耿陽
真向の芦の枯れざま舞扇/桂信子
俳句例:61句目~
使はざる扇鞄に嶋泊り/角川春樹
初露に風さへしめる扇かな/秋色
直面の白皙にして秋扇/西村和子
宝扇の真言梵字梵網会/橋本鶏二
初扇安鉱泉に遊びけり/鈴木花蓑
公金課一隅くらく秋扇/宮武寒々
冨士は礒扇流の夕かな/井原西鶴
目に嬉し恋君の扇真白なる/蕪村
扇屋の女中頭の年賀かな/岸田稚
袖長き投扇興の女かな/細川加賀
末枯や襟かき合す扇折/井上井月
牛若の扇は赤きとんほ哉/正岡子規
父の扇要はづれて抽斗に/田中英子
胸高に童のさせし扇かな/篠崎霞山
とかくして笠になしつる扇哉/蕪村
胸像の陰なる女医が初扇/宮武寒々
なか~に月明き夜や扇置/石井露月
葛の葉の裏返すとや捨扇/野村喜舟
男われ投扇興に負けつゞけ/森田峠
従軍を熱望す吏や秋扇/楠目橙黄子
俳句例:81句目~
置ざまと書なぐりたる扇かな/望翠
はや~と扇使ひぬ法然忌/岡井省二
烈日に開きて固き扇かな/中村汀女
甲信の旅の腰なる秋扇/鈴鹿野風呂
扇取るわらべ可愛し謠初/正岡子規
月山の見え隠れして扇置く/小島健
山霧を払ふ扇の寒かりき/尾崎紅葉
紅扇十三にして舞をなす/正岡子規
紅孔雀母の扇を逃れけり/藤原月彦
簿水子祭の扇かざしけり/後藤夜半
笏あてし檜扇あてし裸雛/後藤夜半
扇白く登山の客の逗留す/石井露月
目にうれし恋君の扇真白なる/蕪村
窓外に黒ずむ山や扇置く/巌谷小波
嵐峡の舟に旅いま扇措く/皆吉爽雨
御僧の手籠にのぞき秋扇/河野静雲
扇にて酒くむ陰や散る桜/松尾芭蕉
的玉の落ちる鈴音投扇興/岡本幸枝
窓前に大伊吹あり扇置く/今村泗水
扇売る昼なほ暗き店の中/長谷川櫂