「落し文」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「落し文」について
【表記】落し文
【読み方】おとしぶみ
【ローマ字読み】otoshibumi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・時鳥の落し文(ほととぎすのおとしぶみ:hototogisunotoshibumi)
・鶯の落し文(うぐいすのおとしぶみ:uguisunotoshibumi)
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季節による分類
・「お」で始まる夏の季語
・「夏の動物」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
落し文を含む俳句例
林中に青き風生れ落し文/神緑郎
落し文夥しきを懼れけり/西村琢
檄文も艶文もあり落し文/島村正
落し文卵一粒封じあり/堀口星眠
中堂に道は下りや落し文/高浜虚子
藤村の墓へ散歩の落し文/伊澤織江
一の糸二の糸雨の落し文/長谷川双
落し文死の適齢期囁かれ/宮原双馨
落し文にも朝の巻夕の巻/岡田順子
丈山が竹の門べや落し文/松瀬青々
落し文瀬戸内寂聴尼は不在/長田等
峠より風音かはる落し文/立木節子
恋愛と全く無縁落し文/阿波野青畝
落し文大病懸想相似たり/斉藤夏風
落し文業平塚へつづく径/高野千代
落し文拾ひて渡る思川/松尾ふみを
緑ゆえ開かずにおく落し文/高橋将夫
先の人拾ひ居りしは落し文/高濱年尾
公園の奥が淋しい落し文/永井二三江
落し文殺し文句を二度使ふ/小出秋光
俳句例:21句目~
回廊の風に逃げゆく落し文/杉村昌信
翁越えし径と伝へて落し文/手島靖一
山々の灼け美しき落し文/大岳水一路
山伏の呪文に解けて落し文/馬場修子
山僧のわれに拾へと落し文/渡辺大円
山猫の賢治に宛てし落し文/太田土男
この森に恋の想ひ出落し文/阿部夕礁
良寛の母の碑にして落し文/西本一都
落し文開く一人をうち囲み/京極昭子
落し文寺苑の朝の湿りもつ/永井光代
落し文近くて遠きものに妻/原田青児
落し文開きて捨てる夢一つ/安斉君子
稚くて解けさうなる落し文/原田青児
落し文蕪村は小さき足なりし/上村占
落し文端のみどりを残しけり/森田峠
一切沈黙安土城址の落し文/橋本榮治
母の忌の近き夕べの落し文/伊藤京子
落し文拾ひ金刀比羅詣かな/棚山波朗
落し文ふと裏径にそれし時/高浜年尾
相聞の歌巻き入れよ落し文/青木重行
俳句例:41句目~
真青な山の空より落し文/市村究一郎
落し文見過したるは薄情か/細谷鳩舎
落し文拾ひて入る貴船茶屋/西居/浩
落し文まさかの人と人の仲/辻田克巳
西行の道みな細し落し文/鷲谷七菜子
閑々と孤り棲むなり落し文/羽部洞然
風あれば速達とせよ落し文/高尾峯人
佐渡よりの風の存問落し文/伊藤三十四
天衣にも縫目ありしや落し文/有馬朗人
巻きかけて心かはりし落し文/原田青児
手にしたる女人高野の落し文/清崎敏郎
捲き煎餅欲しがりし頃落し文/香西照雄
横笛庵落し文手に訪はむかな/山岸治子
照手姫いづこと拾ふ落し文/加藤三七子
磐打つて響く一山落し文/野見山ひふみ
筆塚のもぬけのからの落し文/原与志樹
繭了へて山蚕ののこす落し文/澤田緑生
風韻を巻き込みてゐし落し文/稲畑汀子
落し文匿名といふ洒落たもの/原田青児
落し文安宅の白砂巻きにけり/小原啄葉
俳句例:61句目~
落し文拾うてかけし牀几かな/稲田都穂
落し文拾ひし誰もあけて見ず/吉田ひで
落し文拾ひ開けずにをれぬ人/山辺浩子
落し文拾ひ離宮に遊びけり/北見さとる
落し文端やゝ解けて拾へとや/皆吉爽雨
落し文経巻めけば手につつむ/皆吉爽雨
落し文雪のかたまりくだきけり/上村占
ひとつ手に一つを妻に落し文/白岩三郎
解きかけし逡巡見ゆる落し文/岡田順子
万葉の世は仮名づくし落し文/堀米秋良
隣る世へ道がありさう落し文/手塚美佐
音立てゝ落ちてみどりや落し文/原石鼎
亡き叔父の学びの庭の落し文/田中英子
落し文ゆるく巻きたるもの悲し/山口青邨
落し文谷戸や常陰をなせるあり/石川桂郎
落し文身ほとりの闇やはらかし/西矢籟史
眼に読めぬ哀しみとなり落し文/松山足羽
火の色の端にあふるる落し文/菅原多つを
ひそやかに拾ひて解かず落し文/藪内柴火
落し文懸想は白をつくしけり/河野多希女
俳句例:81句目~
落し文拾ふ覗き見ごころにて/服部たか子
落し文拾ふ配達するでなく/桔梗きちかう
落し文掌にころがして渡さるる/村上杏史
しらをきることもありけり落し文/原好郎
落し文森のポストに入れて来し/宮脇白夜
横文字の落し文とてありぬべし/山田弘子
朝すでに誰が開きしか落し文/岡本まち子
芭蕉より曽良よりならん落し文/高橋秋郊
名もて妻呼びしことなし落し文/北野民夫
わが句碑にささやく湖と落し文/西本一都
落し文おかしはごろ寝貧とかな/石川桂郎
遊ぶ子のなぞなぞ解けぬ落し文/成田郁子
門掃いてより読むつもり落し文/水野柿葉
落し文舞へる静の絵馬かかり/大岳水一路
落し文樹下の二人に拾はるる/加藤三七子
落し文拾ひてこころ落ちつかず/田中こずゑ
磁場が起きさうポケットの落し文/滝沢/環
地に落ちて落し文とはなりにけり/高木晴子
落し文くはへて跳べよ荼根尼天/阿波野青畝
落し文いちいちひらくこと勿れ/佐々木六戈