「桜桃忌」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「桜桃忌」について
【表記】桜桃忌
【読み方】おうとうき
【ローマ字読み】otoki
子季語・関連季語・傍題・類語など
・太宰忌(だざいき:dazaiki)
–
季節による分類
・「お」で始まる夏の季語
・「夏の行事」を表す季語
・「仲夏」に分類される季語
月ごとの分類
桜桃忌を含む俳句例
父なくて多読の生徒桜桃忌/林翔
文学に地獄極楽桜桃忌/山田弘子
女来て煙草供へぬ桜桃忌/小池宗彦
致死量に話及びぬ桜桃忌/湯橋喜美
水底に聡きゐる桜桃忌/ほんだゆき
桜桃忌首上げ泳ぐ増えて/栗林千津
透明な傘に街の灯桜桃忌/森本節子
枕まで海の来てゐる桜桃忌/岡節子
同じ本購ひゐしか桜桃忌/高澤良一
皿洗ひ終るに一語桜桃忌/斉藤夏風
黒板に人間と書く桜桃忌/井上行夫
人に酒すすめてばかり桜桃忌/林徹
生涯に水子一人や桜桃忌/黒木/胖
桜桃忌蝙蝠傘を持ち歩く/柿本多映
流水の渦みどりさし櫻桃忌/近本雪枝
しらじらと酔後の舗道桜桃忌/轡田進
夜に務め車中立ち読む桜桃忌/南部博
夜学生教へ桜桃忌に触れず/沢木欣一
螢一つ水に点りぬ桜桃忌/小松崎爽青
天金の一書重たき桜桃忌/伊藤喜太郎
俳句例:21句目~
雨脚の見えて明るき桜桃忌/藤田枕流
黒々とひとは雨具を桜桃忌/石川桂郎
一脚の椅子は木晩に桜桃忌/古舘曹人
人中に紛るるごとし桜桃忌/石川桂郎
人間も水洗ひせよ櫻桃忌/本庄登志彦
帰りには薬もろうて桜桃忌/阿波岐滋
新宿の女も老いぬ桜桃忌/木下ひでを
催して雨とならざり櫻桃忌/百瀬美津
上水に鯉の群れゐる桜桃忌/疋田華子
桜桃忌自分に宛てて表書き/内田美紗
水中にくもる白日桜桃忌/鷲谷七菜子
古びたる栞はらりと桜桃忌/深井/鈴
洒瓶のどれも半端に桜桃忌/近藤北郷
ペンだこも小さくなりぬ桜桃忌/福島胖
桜桃忌過ぎぬ三鷹の禅林寺/鈴木しげを
桜桃忌よりも富栄忌徳利置き/手塚美佐
蜜舐めて病み隠るるか桜桃忌/清水基吉
水音にをののく蓼や櫻桃忌/石田あき子
桜桃忌夕日とどめる浅野川/宮本千代子
書の稜の鋭きを愛せり桜桃忌/橋本鶏二
俳句例:41句目~
他郷にてのびし髭剃る桜桃忌/寺山修司
掌に受けし螢の匂ひ桜桃忌/長谷川史郊
白き椅子ひとつは倒れ桜桃忌/畑中博孝
加筆なほ気負ひの筆勢桜桃忌/奈良文夫
桜桃忌雨に赤子が泣き止まぬ/池之小町
涙ほど降りて晴れたる桜桃忌/小林康治
朝まだき田に水引いて桜桃忌/堀口星眠
林道を深くも来たり桜桃忌/波多野爽波
桜桃忌この湧水は飲めません/池田澄子
工事場の津軽訛りや桜桃忌/穂坂日出子
運河より雨の匂ひや桜桃忌/見永千恵子
桜桃忌わづか梅雨降る水の上/小林康治
ジヤガタラに白き雨降る桜桃忌/原田青児
友の手のみな温くあり桜桃忌/阿久津凍河
夕ベ来て二の腕冷ゆる桜桃忌/小倉栄太郎
夜遊びの靴べら反らし櫻桃忌/本庄登志彦
桜桃忌二度寝の夢も急かれゐて/五味真琴
木の椅子に一人はなれて櫻桃忌/古舘曹人
桜桃忌酒良しと云ひ悪しと云ひ/河野南畦
合歓の葉のねむれる花や櫻桃忌/石川桂郎
俳句例:61句目~
書棚の本入れ替えてみる桜桃忌/高澤良一
桜桃忌暮れじと暮るる波がしら/成田千空
斜陽族死語といふべし桜桃忌/小路智壽子
教科書は置きて説くなり桜桃忌/川口淀村
石乗せて熱きてのひら桜桃忌/五十嵐秀彦
津軽野へ紛れてしまふ桜桃忌/新谷ひろし
ただ今でございましたと桜桃忌/如月真菜
道連れはもう決めてある桜桃忌/小津由実
またひとつ別れのありて桜桃忌/今村綾子
晴れてゐて不意の木しづく桜桃忌/児玉輝代
桜桃忌胸元のまづ昏れはじむ/鍵和田ゆう子
光点なす白蝶ただよひ桜桃忌/鍵和田ゆう子
桜桃忌傷つきやすき男の子もつ/鳥羽とほる
ときめきは遠くより来る桜桃忌/白石みずき
桜桃忌かのころわれら若かりき/宗像夕野火
妊りて眠たき妻や桜桃忌/細谷喨々「桜桃」
いちにちをおろおろ生きて桜桃忌/橋本榮治
桜桃忌からりと晴れてしまひけり/片山由美子
若者が墓と肩組む桜桃忌/石河義介「縄文杉」
消しゴムを買いためている桜桃忌/たまきまき
俳句例:81句目~
降り出してぶなの明るさ桜桃忌/鍵和田ゆう子
桜桃忌わが身藻抜けの上衣つるす/加倉井秋を
ねむるだけ眠る奥そこ櫻桃忌/松澤雅世「萌芽」
灯の帯の果ての灯の海桜桃忌/廣瀬直人「朝の川」
傘のしずくで線ひく遊び桜桃忌/寺井谷子「以為」
拭けばまた鏡のくもる桜桃忌/あざ蓉子「ミロの鳥」