「晩稲」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「晩稲」について
【表記】晩稲
【読み方】おくて
【ローマ字読み】okute
子季語・関連季語・傍題・類語など
・おく(おく:oku)
・おしね(おしね:oshine)
・室のおしね(むろのおしね:muronoshine)
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季節による分類
・「お」で始まる秋の季語
・「秋の植物」を表す季語
・「晩秋」に分類される季語
月ごとの分類
晩稲を含む俳句例
狼のこの比はやる晩稲かな/支考
晩稲刈雲の端々夕焼けて/橋本榮治
山川の淋しき国や晩稲刈/村山古郷
電燈を一人が持ちて晩稲刈/堤京子
晩稲かぜ蝕月の雨頬に落つ/宮武寒々
巌あれば巌に手をつき晩稲刈/上村占
夕空に身を倒し刈る晩稲かな/零余子
大屋根を風の楯とし晩稲刈/橋本榮治
晩稲田に垂れて信濃の鉛空/草間時彦
枯山の影の来てゐる晩稲刈/草間時彦
晩稲刈る颪のつのる田一枚/石原舟月
一ところ照る曇り日や晩稲刈/及川貞
下校子も加へ一家の晩稲刈/羽吹利夫
大山の雪も間なけむ晩稲刈/石塚友二
水底を風吹いてゐる晩稲刈/岡本高明
湿田の晩稲未だに青かりし/河野伸子
牙立ちて暗き沖見ゆ晩稲刈/皆川白陀
百姓に停年はなし晩稲刈る/中川正太
蒼き喰ひ晩稲を刈りにゆく/本宮哲郎
陰暦八月虹うち仰ぐ晩稲守/飯田蛇笏
俳句例:21句目~
山よりの風の硬さや晩稲刈る/飯村周子
晩稲刈り急ぐ宵々の星あまた/山名菅村
峠ゆく雲が晩稲の黄に馴染む/田中青濤
晩稲扱く心胆あつき老ならん/成田千空
念仏にはげまされつゝ晩稲刈る/林正之
晩稲刈るかたへを河の急ぎをり/長谷岳
憩ふなる鎌稲架に刺し晩稲刈/皆吉爽雨
晩稲刈るひとりを峡の雨景色/草間時彦
月照らす勤め了へての晩稲刈/沼澤石次
山に火の見えて晩稲の孕む闇/西村公鳳
榛の木に晩稲掛けたり道の端/正岡子規
晩稲田の色濃き雨に故郷あり/宮津昭彦
泥と血で結ばる晩稲田の兄弟/齋藤愼爾
浪白き日や晩稲刈はかどれる/宮津昭彦
晩稲刈る誰も齢に追はれゐて/本多静江
さっぱりと晩稲も刈られ残る畦/及川貞
晩稲刈かたへに雀あそばせつ/加藤楸邨
刈る程に山風のたつ晩稲かな/飯田蛇笏
夕されば馬帰り来る晩稲かな/角川春樹
藁傷の皸となりつゝ晩稲刈る/立川史朗
俳句例:41句目~
蝗飛んで日に~稔る晩稲かな/高浜虚子
姨捨に晩稲を刈りて畳みおく/古舘曹人
雨吸ひし築地にそヘる晩稲刈/下村槐太
山の空夕澄む晩稲刈り急ぐ/金子伊昔紅
霧卍木曾の谷間の晩稲刈り/加藤知世子
風の音ばかり峡田の晩稲刈/柴崎久太郎
鵙鳴くや晩稲掛けたる大師道/子規句集
愛鷹の裾ひき映ゆれ晩稲刈/長谷川かな女
早稲は黄に晩稲は青し能登に入る/森澄雄
晩稲刈る一人が低き日に泛ぶ/千代田葛彦
晩稲刈る一隅つよき火を焚けり/成田千空
晩稲刈る思ひがけなき日和かな/山本洋子
田の端の芦も晩稲も刈られけり/水谷晴光
晩稲刈る新婦の頭上あたたかし/飯田龍太
細りつつ日ぐれ晩稲田薬師みち/古沢太穂
耶馬渓の岩に干しある晩稲かな/杉田久女
脛に立つ水田の晩稲刈る日かな/子規句集
晩稲刈る日は雲上に在りとのみ/木下夕爾
晩稲苅るこつくりとした日影中/久米正雄
晩稲田や畦間の水の澄みきりて/飯田蛇笏
俳句例:61句目~
暴風雨くる夜の人ごゑは晩稲刈/加藤楸邨
月いでて早稲も晩稲もなくなりぬ/彷徨子
あらしくる夜の人ごゑは晩稲刈/加藤楸邨
こゝよりや備中にして晩稲刈る/青戸暁天
刈るほどに山風のたつ晩稲かな/飯田蛇笏
山風にゆられゆらるゝ晩稲かな/飯田蛇笏
ひとつ家を出でしが晩稲刈となる/皆吉爽雨
横降りの木曾の晩稲は人も来ず/大峯あきら
鶴来ると早稲も晩稲も熟れいそぐ/邊見京子
ルオーの王のごとき農夫や晩稲刈/草間時彦
片頬なる日のやはらかに晩稲刈/軽部烏帽子
晩稲刈真赤なものを置きにけり/大峯あきら
晩稲架けて風雨の秋をつくしけり/石原舟月
橋に架け木にかけ晩稲刈りいそぐ/篠田悌二郎
晩稲田に音のかそけき夜の雨/五十崎古郷句集
くわんのんを裏より拝み晩稲刈る/中村風信子
晩稲の黄と瀬音見おろす朝日とわれ/古沢太穂
みちのくや何処も晩稲のまだ青し/細木芒角星
ひと夜さに鴨のつきたる晩稲刈る/西川柚黄翁
草の戸に晩稲の日波よするなり/吉武月二郎句集