俳句例:101句目~
拾ひたる落穂のしべをおとしけり/後藤夜半
暮るるまで田ごとの落穂ひろはばや/諸九尼
裏比叡も落穂拾ひも昏れてゆく/大橋越央子
落穂ひろひ殉教の島いまも貧し/成瀬櫻桃子
言の葉の落穂ひらふもたのみかな/上島鬼貫
落穂をも踏みかためつゝ道となる/高浜虚子
落穂拾ふ顔を地に伏せ手を垂れて/西東三鬼
泣きやめば落穂拾ひを見てゐる子/斉藤秋声
落穂田のいつも濡れゐる町の裏/榎本冬一郎
風の中落穂ひろひのよろめきし/吉岡禅寺洞
拾ひもつ落穂の垂れてありにけり/後藤夜半
今日よりや落穂拾ひのかげを見ず/吉岡禅寺洞
落穂拾ひ見しより汽車は暮れにけり/皆吉爽雨
落穂拾ふ径のいつしか昏れてゐし/加倉井秋を
雨さぶく落穂ひろひのいくさ思ふ/金尾梅の門
雨足のゆるくなりたる落穂かな/七田谷まりうす
落穂さながら辞書に拾ふ語暮色まみれ/宮津昭彦