「朧月」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「朧月」について
【表記】朧月
【読み方】おぼろづき
【ローマ字読み】oborozuki
子季語・関連季語・傍題・類語など
・月朧(つきおぼろ:tsukioboro)
・淡月(たんげつ:tangetsu)
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季節による分類
・「お」で始まる春の季語
・「春の天文」を表す季語
・「三春」に分類される季語
月ごとの分類
朧月を含む俳句例
黒土の庚申塚や朧月/許六
川下に網うつ吾や朧月/太祇
貝塚の町へ入れば朧月/道之
力入て鐘つきにけり朧月/素由
朧夜に鼠やつたふ藤の棚/亀柳
猫の恋やむとき閨の朧月/芭蕉
裏側は緑色なり朧月/中田美子
花を見て帰る後ろや朧月/熊二
指貫を足でぬぐ夜や朧月/蕪村
町ありく鹿の背高し朧月/雷夫
猫逃げて梅動りけり朧月/言水
よき人を宿す小家や朧月/蕪村
朧月放下の親子戻りけり/維駒
大原や蝶の出てまふ朧月/丈草
波先や勢田の水行く朧月/猿雖
水騰げて青麦山の朧月/中拓夫
残世に打つ待針や朧月/秦夕美
藥盜む女やハ有おぼろ月/蕪村
朧月淀のわたりの水の音/徳野
黙礼の跡見かへるや朧月/柳之
俳句例:21句目~
朧月薫売がしめりかな/椎本才麿
朧月蛙に濁る水やそら/蕪村遺稿
穴の明く松風もなし朧月/千代尼
往診も冥利と思う月朧/中川岩魚
月朧灯明り朧観世音/小原菁々子
墨よしや千鳥こぼるゝ朧月/嵐山
猿を待つ猿のこしかけ朧月/鬼子
朧夜や水の音する壁の中/中田剛
朧夜は朧に高し筑波山/杉山花鳥
朧夜や氷離るる岸の音/吉川五明
行違ふ舞妓の顔や朧月/尾崎紅葉
朧夜の孕雀が山へ飛ぶ/飯田龍太
最上川船の難所も月朧/竹本青苑
梟にあはぬ目鏡や朧月/榎本其角
朧夜に引や網場のからす貝/乙州
村人と同じ師の墓朧月/岡本苔水
払ふ事松もかなはず朧月/千代尼
朧夜の花売車病廊に/石田あき子
朧夜の農学校を猫歩く/太田土男
家根舟の提灯多し朧月/正岡子規
俳句例:41句目~
野送りや膝がくつきて朧月/史邦
駱駝歩む先は浄土か朧月/松本旭
朧夜や吉次を泊し椀のおと/成美
灯心よあいたいの隈を朧月/一蜂
おぼろ月狐の檻に狐の尾/黒谷忠
手枕に身を愛す也おぼろ月/蕪村
過て勾ふ酢屋の門辺や朧月/春坡
博多人形裸になれず朧月/大石雄鬼
名画座の看板古き朧月/市ヶ谷祥子
晴天に暮てまもなし朧月/五車反古
朧月狐に魚を取られけり/子規句集
月朧たゞ漆黒の吉野なる/桑田青虎
朧夜のむんずと高む翌檜/飯田龍太
玄上は失せて牧場の朧月/寺田寅彦
月朧松の梢にちゝり見ゆ/中川四明
言ひさして見直す人や朧月/千代尼
大切の猫も留守なり朧月/井上井月
朧夜の鶏が夢見る白世界/能村研三
点滴の元気湧く彩朧夜へ/高澤良一
朧月露国遠しと思ふとき/飯田龍太
俳句例:61句目~
浮世絵の絹地ぬけくる朧月/泉鏡花
女体とは苦き米なり朧月/攝津幸彦
朧月放牧のごと人眠り/北原志満子
妻戸まで誰か音信て朧月/井上井月
さしぬきを足でぬぐ夜や朧月/蕪村
朧夜の南大門とや大いなる/辻桃子
朧夜の君鸛ににて怨じけり/中勘助
朧夜や河の向ひに丸い山/寺田寅彦
水に添ふて橋たづぬるや朧月/三峡
朧夜の妹が嵩張つてゐる/大石雄鬼
朧夜やおり居の御所の月の松/晋才
母と居るたゞ朧夜の古襖/小林康治
朧夜の底を行くなり雁の声/諸九尼
どちへゆく水ともさらに朧月/希因
朧月大学生となりしかな/高柳重信
朧夜や湯殿の窓の磨硝子/寺田寅彦
朧夜や狐嫁入なんどする/寺田寅彦
朧夜やお小夜狐は嫁入す/寺田寅彦
朧夜や鞍馬山中由岐神社/尾崎迷堂
朧夜の潮騒神の燈をゆりて/原柯城
俳句例:81句目~
朧月誰そ橋板の足拍子/青木薫風郎
種浸す朧夜の杉くろぐろと/中拓夫
朧夜の粂の平内拝みけり/野村喜舟
己が問ひ己が応へて朧月/角川照子
上げ汐の千住迄来て朧月/藤野古白
朧夜の袋小路の喧嘩かな/長谷川双
世の花を丸うつつむや朧月/千代尼
朧月はなれて星の数ふ程/高木晴子
諍いて席立つわれに朧月/大樫常人
両手で顔被う朧月去りぬ/金子兜太
送別の歌のもれくる朧月/有賀玲子
弔ひにゆく朧夜の待合せ/細川加賀
野の雪や空照り返す朧月/藤野古白
朧夜の白絹に置く一分金/井上康明
鍵穴に鍵差したまま朧月/塩見恵介
門付のしば~来けり朧月/寺田寅彦
雨ちかき温泉のけふりや朧月/召波
饂飩うつ跡や板戸の朧月/内藤丈草
待合の門を出づれば朧月/寺田寅彦
鶫旅立つ朧月夜の朧の躯/金子皆子