俳句例:101句目~
父の意に添はぬ学部に入学す/小堀弘恵
牧の子は藁のにほひや入学す/稲生正子
眠りをる入学の子に智飛び込め/上野泰
総歯金あをき入学児を連るる/宮武寒々
美しさ誇るキャンパス入学す/岩崎照子
聞かん坊入学前途多難なり/桑垣あづさ
道渡る手を真つ直ぐに入学児/栗山妙子
鉄棒の下まで火山灰や入学す/稲荷島人
門屹と入学の吾児立てりけり/久米正雄
電車待つ大人にまじる入学子/金子佳子
四五人の新入生と通夜にゆく/岸本尚毅
新入生肩組み合うて捩ぢ合うて/堀内薫
新入生靴むすぶ顔の充血する/山口誓子
入園児母の刺繍にうづめられ/福永耕二
入園児父が与へし名を胸に/船津りん一
入園料払ひ昼寝のパンダ見る/飯島正人
音立てて飛ぶ一蝶や吾子入園/中村明子
それぞれに入学を待つ三姉妹/八巻絹子
ただ並ぶばかりに難儀入学児/神山果泉
スニーカー店にあふれて入学期/樋笠文
俳句例:121句目~
ランドセル弾み弾みて入学す/今泉貞鳳
蝌蚪飼つて一年生も反抗期/穐好樹菟男
入学の今日の人の子我子かな/増田龍雨
入学の吾子の髪なり父が刈る/石川桂郎
鶏小屋の鶏の名覚え一年生/本庄登志彦
入学のおはじきに記すフルネーム/山崎篤
等間隔にボタンきらめき入学す/山田弘子
ことことと骨やわらかく入学す/永末恵子
手の甲のうつし絵消して入学す/鈴木栄子
掲示場にビラ溢れをり入学す/五十嵐哲也
お玉杓子曇るほど飼ひ一年生/猪俣千代子
肩胛を見せては着替へ入学す/八木林之介
退場はジャズに合はせて入学子/満田春日
一年生にかがみて話す花みずき/由利雪二
菜の花のひがし風なり入学す/大峯あきら
薮の小家より入学の児が出て来/村山古郷
一年生らしく加留多をとりにけり/上野泰
空つぽのランドセル負ひ入学す/水原春郎
入学の町どこからもマスト見ゆ/成田千空
徽章といふもの帽につけ入学す/嶋田一歩
俳句例:141句目~
入学写真いつも誰かがよそ見して/樋笠文
入学の出でゆくあとを祖父散歩/皆吉爽雨
入学児に鼻紙折りて持たせけり/杉田久女
入学の朝ありあまる時間あり/波多野爽波
入学の帽のひさしの光沢を拭く/原田種茅
入学のならぬおととに職をしふ/森川暁水
書きつづる仮名の大小入学せむ/原田種茅
雪歇まず入学の子の種痘日よ/千代田葛彦
入学を許されし子等相よれり/山口波津女
入学のかなはぬおとと父老いぬ/森川暁水
入学に目と目と合つて余りたる/伊東達夫
入学をしてあくる日の誕生日/大橋櫻坡子
廊下曲つて新入生きよとんとす/辻田克巳
新入生と母とが戻る畔の櫨子だ/北原白秋
入学や母として踏むあらき砂利/吉野義子
入学をよろこびて後声おとす/篠田悌二郎
まつさらな胸がドキドキ入学す/吉原文音
入学式窓から近所の子がのぞき/藤岡筑邨
水どっと噴き出す自閉児の入学/牧野桂一
入学の長身の吾子ふとまぶし/畠中じゆん
俳句例:161句目~
名札の字やうやく読めて入園す/西村和子
つなぎあふその手をふつて入学児/森田峠
入学難砥石動きて刃を研ぎつつ/香西照雄
入学児手つなぎはなしまたつなぐ/右城暮石
入学の子等の視線のまつすぐに/相沢真智子
見えずなるまで見送られ入学す/石井とし夫
入学の子ごころ名まへ書き慣れぬ/原田種茅
入学のカラーの白きいくさの世/加倉井秋を
掌に夏蚕透きとほり就職か進学か/宮坂静生
タイムリミットの入学金を収納す/鈴木栄子
入学式母音のやうに母附き添ふ/田川飛旅子
しかと言ふ師の名入学してきたり/皆吉爽雨
一年生「かはいい」といふ二年生/丸山/久
一年生あの子もこの子も家の子も/石塚友二
入学の子はチューリップの他画かず/吉野義子
入学の子の欲しきもの亡父のこゑ/福永みち子
入学の子をうしろよりはげまし行く/近藤一鴻
畝はしづかに集まり隆まり入学す/大槻紀奴夫
進学懇話会遠くでばさばさ白鳥はね/伊丹公子
入学の一つ時にさくら咲けるかな/長谷川かな女
俳句例:181句目~
愚母妻よ入社パスの吾娘の進学「二足のわらじ」/橋本夢道
卒業と入学の間にただよへる虹の時間が遠くありたり/内藤明