「長閑」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「長閑」について
【表記】長閑
【読み方】のどか
【ローマ字読み】nodoka
子季語・関連季語・傍題・類語など
・のどけさ(のどけさ:nodokesa)
・のどけし(のどけし:nodokeshi)
・のどやか(のどやか:nodoyaka)
・のどらか(のどらか:nodoraka)
・のどろか(のどろか:nodoroka)
・駘蕩(たいとう:taito)
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季節による分類
・「の」で始まる春の季語
・「春の時候」を表す季語
・「三春」に分類される季語
月ごとの分類
長閑を含む俳句例
のどけしや港の昼の生肴/荷兮
久方の光長閑し鏡研/幸田露伴
長閑さや鼠のなめる角田川/一茶
久方の光のどけし鏡研/幸田露伴
のどかさよ鶴の齢を六七羽/越人
長閑さや出支度すれば女客/素丸
春風をあふぎ駘蕩象の耳/山口青邨
山蛙聞き駘蕩として長湯/高澤良一
長閑さや柳の下の洗ひ臼/井上井月
長閑さや浅間のけぶり昼の月/一茶
闇かりに長閑けき春や城の六/几圭
漕ぎつれて語る小船や海長閑/抱魚
長閑なる雲見て居るや丘の上/至青
入海の藍に長閑な霞かな/鈴木余生
蝶長閑馬に蹄鉄打つ門を/中川四明
のどかさの風鐸空に壊れをり/爽雨
駘蕩と纜たるまざるはなし/檜紀代
のどかさや早き月日を忘れたる/太祗
長閑さや雲の上なる雲動き/川瀬一貫
蝸牛の角がなければ長閑哉/寺田寅彦
俳句例:21句目~
蝸牛は角があつても長閑哉/寺田寅彦
長閑さや男は遊ぶ島の風/石島雉子郎
のどかさや白帆過ぎ行く垣の外/子規
のどけさや机の前の太柱/大橋櫻坡子
襖絵の酒呑童子のどけしや/角川源義
亀は歩み兎は眠る長閑かな/尾崎紅葉
長閑さに無沙汰の神社廻りけり/太祇
長閑さや日向の独活に蟻上下/原月舟
長閑さの餘りを水の埃かな/井上井月
大佛のうしろ姿も長閑なり/正岡子規
長閑さは障子のそなたこなた哉/月居
長閑さや垣の外行く薬売り/夏目漱石
のどかさや鞄寄せある岩畳/森田公司
長閑さや早き月日を忘れたる/炭太祇
鳥影に吠えたつ小犬畑長閑/西山泊雲
挨拶を訛り長閑なガイド嬢/高澤良一
いわし雲忽ちうすれ春駘蕩/松村蒼石
四間道に駘蕩花の風わたる/伊藤敬子
室の花駘蕩として患者あり/久米正雄
琴の音に鶴の歩の長閑さよ/田村西男
俳句例:41句目~
駘蕩と伸びちぢみして虫柱/井沢正江
古寺の古文書もなく長閑なり/高浜虚子
長閑さの牛従へてまだ娶らず/太田土男
のどけさや雛子の中の馬の顔/中川宋淵
長閑さの人に読ましむ鐘の銘/石井露月
長閑さや雉子が鳴けば鶏も/大場白水郎
のどかさや艇吊りたる艦の空/飯田蛇笏
人形も馬もうごかぬ長閑さよ/夏目漱石
勧めよる人力車など奈良長閑/野村泊月
長閑さや鯛を見込みの昼旅籠/井上井月
駘蕩や木偶の坊にはまだ遠し/平吹史子
尿噴く赤子も長閑か潮噴く貝/香西照雄
届きたる柴に花咲く長閑かな/下村槐太
山寺の古文書も無く長閑なり/高浜虚子
のどかさに風を忘れし風見鶏/菅谷文代
明天子上にある野の長閑なる/夏目漱石
長閑さを語る石屋と大工かな/中村楽天
駘蕩と流木寄らず去らずかな/北川英子
長閑さや鶴の踏み破る田の氷/井上井月
駘蕩として鹿の目の長まつげ/八染藍子
俳句例:61句目~
のどかさや内海川の如くなり/正岡子規
長閑さに気の草臥る眼鏡かな/井上井月
のどけしや石ころ残す一夜城/石川桂郎
長閑さや障子の穴に海見えて/正岡子規
枝道としらずのどけし歩一歩/加藤郁乎
弾ひとつ壁刺ししのみ長閑なる/片山桃史
長閑さや白馬寺みちにでく芝居/荒井正隆
耳遠き夫婦いよいよ長閑なり/山口いさを
口笛吹けば蜂居ずなりぬ塀長閑/西山泊雲
谷なりに落込む松の長閑かな/大場白水郎
長閑さやハイドロゾアを御机/松根東洋城
長閑さや暮れて枯草ふくらめる/渡辺水巴
長閑さや干潟の沖の波がしら/大場白水郎
食拝む蝦夷にも長閑はつざくら/浜田酒堂
長閑さや脹れた腹をもてあます/尾崎紅葉
長閑さの果は曇つて仕舞ひけり/星野麦人
のどかさは泥の中行く清水かな/藤野古白
のどかさや杖ついて庭を徘徊す/正岡子規
長閑さのはては曇りぬ離れ礁/豊長みのる
長閑さに落もさだめぬおち葉哉/高井几董
俳句例:81句目~
のどけしや忿怒消えたる磨崖仏/大橋敦子
ついて来る人を感じて長閑なり/高濱虚子
ものの影波ははこばず長閑なり/伊丹丈蘭
いつまでも手を振る島の人長閑/椎野房子
子規筆記幾何学の本のどけしや/高澤良一
朝の間の予定なき旅のどけしや/稲畑汀子
嫁長閑か犬に牽かれて義母見舞/香西照雄
長閑なる日和と顔に画いてあり/高澤良一
鯛網の辺を過ぎたれば長閑なり/佐野まもる
長閑すぎて虚雷きくなり山の湖/大須賀乙字
一銭貰うて湯銭五厘の昔長閑けし/高澤良一
長閑さの日帰り湯治したりけり/石島雉子郎
長閑にもあしたの見ゆれ万華鏡/千代田葛彦
長閑なるものに又なき命かな/久保田万太郎
ほ句も好き洗濯も好き主婦長閑/高田つや女
のどけしや平たく生きて平たき句/高澤良一
のどけさは五家宝噛みしあとの皃/高澤良一
鼻欠けて長閑に広し壬生の面/菅原師竹句集
長閑さにひとりうそふく音は鶴か/尾崎紅葉
牛の歩み春駘蕩のそのあゆみ/久保田万太郎