「虹」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「虹」について
【表記】虹
【読み方】にじ
【ローマ字読み】niji
子季語・関連季語・傍題・類語など
・二重虹(ふたえにじ:futaeniji)
・朝虹(あさにじ:asaniji)
・夕虹(ゆうにじ:yuniji)
・虹の輪(にじのわ:nijinowa)
・虹の橋(にじのはし:nijinohashi)
・虹の帯(にじのおび:nijinobi)
・虹の梁(にじのはり:nijinohari)
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季節による分類
・「に」で始まる夏の季語
・「夏の天文」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
虹を含む俳句例
野の虹を帰る/橋本夢道
沢の鳥虹の柱を羽摶ち舞ふ/鶏二
身をそらす虹の絶巓処刑台/重信
剛直に北国の虹刈田より/森澄雄
行水や虹消え残る東山/石井露月
一時雨一時雨虹はなやかに/篠原
命終の岩壁飾る虹二重/福田蓼汀
羊群の息かも虹の月寒/石塚友二
鍋洗ふ前虹鱒の列通る/野村泊月
さつと一雨/鎌倉の虹/筑紫磐井
黒島の藷の畑に時雨虹/松藤夏山
水平線の虹が捧ぐる朝の空/欣一
虹の下猫の死骸と滑走路/三谷昭
遠里や七夕竹に虹かゝる/泉鏡花
虹立てり荒き雫は樅の直/高澤良一
虹懸けて男盛りの雲の峰/沢木欣一
仙骨を発する虹や天翔る/五島高資
天の虹田に映る虹誕生日/津田清子
虹高し野を押しのぼる日の緑/林翔
虹口に果てし大伯母敗荷/塚本邦雄
俳句例:21句目~
絶滅の目高は虹に紅遺し/高澤良一
虹鱒のその水底に旅の影/斉藤夏風
夜の虹身の傷痕を遍照す/石原八束
銀婚の旅雪山の虹に入り/影島智子
一片の虹残す森の家灯る/内藤吐天
甘茶仏虹は海棠より淡く/西島麦南
お遍路が一列に行く虹の中/渥美清
お降の虹も神慮と詣でけり/城萍花
七種や全き虹を称へつつ/田代朝子
闘鶏の驚破虹霓を放ちけり/龍岡晋
青棗雫しとゞに喜雨の虹/西島麦南
音信のときには虹といふ形/仲寒蝉
乳燕に白機あがる虹明り/西島麦南
魚くさい街に氷塊虹を噴く/三谷昭
鯛.鮃昇れや虹の太鼓橋/高澤良一
京時雨虹滋賀時雨虹湖畔/稲畑汀子
切崖に雪解虹立つ最上峡/岩瀬木蘭
大空は虹してすてし蜆殻/松瀬青々
寂しくて虹の糸曳く山繭は/武政郁
天に跳ぶ金銀の鯉虹の下/山口青邨
俳句例:41句目~
山の虹へ電線送り葱坊主/村越化石
山は虹いまだに湖水は野分哉/一茶
虹鱒を釣る腹背に滝の音/宮下翠舟
山景色荒涼として虹の下/飯田蛇笏
虹たちて導尿管を尿走る/品川鈴子
我生の美しき虹皆消えぬ/高浜虚子
竹細工屑も弓反り虹の後/香西照雄
純色の緑の山に虹かかる/相馬遷子
天落つる夢虹渡る夢涼し/藤井彰二
朝虹や高野六十坊つつむ/大橋敦子
木々の雪渡すや虹の橋柱/水田正秀
枯蓮の水中も虹懸るらし/宮坂静生
白虹のごとくよぎりし雪礫/柴田果
北風や涙がつくる燭の虹/高柳重信
桜鯛揚げて虹生む船生簀/松本幹雄
少年の潜水眼鏡虹を見る/松本悦子
十二色全部重ねて虹いびつ/山崎篤
蒼穹に虹熟睡のダリの髭/仙田洋子
葛城にかかる虹あり初詣/南光翠峰
白虹の貫く天や畑打つ/五十嵐播水
俳句例:61句目~
虹の根や暮行くまゝの荻の声/士朗
白虹日を貫いて蟷螂起つ/石井露月
夏めくや合せ鏡に走る虹/久米正雄
検温の腋下虹いろ雪遠し/寺田京子
沈金の一条を足し刈田虹/吉田紫乃
虹探す古事類苑の天文部/高澤良一
虹映り綺羅星映る岳の池/福田蓼汀
虹消えて石の仏の大き耳/中嶋秀子
虹立ちし鎌倉丸の朝かな/京極杞陽
虹立つや麦藁帽の庇より/中村汀女
各虹や川上にわが母の郷/石原舟月
眉しろく虹の裏ゆく旅人よ/橋石和栲
洗ひたる硯を磨れば墨の虹/三星山彦
全円の虹胸中に立ちにけり/平井照敏
円虹に立ち向ひたる巌かな/野村泊月
虹二重神も恋愛したまへり/津田清子
虹二重涙のやうな長女次女/栗林千津
図中に黒い虹立ち窓に旱り星/飴山實
円虹の中登り来る列のあり/勝俣泰享
土の露ときに虹なす女の歩/野澤節子
俳句例:81句目~
かやごしに虹見る朝の涼かな/千雀妻
円虹や眼下に峯の影のびて/本多勝彦
円虹や離島への旅弾みたる/桑田青虎
虹を追ふままに境涯認むる/辻口静夫
濃く低き虹を冠りぬ幾工場/石田波郷
煤の沖寒の太虹弧をなさず/小林康治
虹の中籠負ひ戻る罪ある如/岩田昌寿
苜蓿の雨虹となり還るなり/宮津昭彦
真珠なす虹なす島過ぎ日本過ぐ/林翔
剛直にみちのくの虹刈田より/森澄雄
睡蓮に虹いつまでも池静か/鈴木花蓑
虹まとふ月岳を越え傾きぬ/福田蓼汀
石小法師顔犇めきて虹あかり/岸田稚
剥落し虹は湖底に沈みたり/柴田奈美
濡れもせず全き虹の前をとぶ/渋谷道
虹はえて税関の窗夏たちぬ/飯田蛇笏
ふき颪す虹の雫に顔打たる/野澤節子
石山に時雨るゝ虹の短けれ/松藤夏山
ふり仰ぐ滝奔騰の虹かけて/小林康治
虹はいま片足あげよ日本海/夏石番矢