俳句例:101句目~
二百十日心底辛きカレー食ふ/山下百合子
犬病んで二百十日のくすりとり/白岩三郎
眉に飛ぶ天龍しぶき厄日過ぐ/秋元不死男
眠れざる一事のほかは厄日無事/井沢正江
厄日過ぐ親子の傘の干されゐて/館岡沙緻
手紙には書かねど二百十日かな/黒田杏子
二百十日の鬼子母神森の夕星や/久米正雄
無事に過ぐ二百十日もわが旅も/浜井那美
空気まず濡れてきたるや厄日前/能村研三
男らは厄日の酒を呑みまはし/佐々木六戈
二百二十日眼鏡が飛んで恐しや/高浜虚子
厄日過ぐ街路樹に縄ぶらさがり/池田秀水
異界にて二百二十日の声洩らす/栗林千津
鰭に朱の走れる二百十日かな/夏井いつき
二百二十日の喝采のやうな雨/片桐富美子
終へぬ稿もてあましつつ厄日来る/角川源義
二百十日木曾に寝覚といふところ/田中裕明
いつのまに降つて止みゐし厄日かな/岸田稚
二百十日家具のごとくに二人ゐて/櫂未知子
二百十日二百二十日の案山子かな/増田龍雨
俳句例:121句目~
河口湖打ちゐる二百二十日かな/八木林之介
二百十日の月よさ林檎園ありく/金尾梅の門
部屋ぬちに厄日の蝿のとびふゆる/井沢正江
降り出して厄日の雨の荒れやうに/稲畑汀子
靴脱ぎし二百二十日を火で埋める/伊東達夫
たらちねと湯にゐる二百十日かな/中川宋淵
雲の色厄日しづかに動き出す/阿部みどり女
巨船ドックにあり海は二百二十日/福田蓼汀
静かなる二百十日の萩を剪る/長谷川かな女
遠嶺みな雲にかしづく厄日かな/上田五千石
たゞ鰡の釣れに釣れたる厄日かな/河原白朝
むづかしう二百十日の日がさすよ/小栗風葉
オアシスに厄日ともなき風を見し/山田弘子
ジーンズのごはと乾きし厄日かな/大原教恵
厄日の街はるかに銀河けぶりをり/角川源義
てのひらに二百二十日の茶碗かな/今井杏太郎
二百十日のむし~として過ぎにけり/内田百間
ふつくらとご飯の炊けて厄日かな/片山由美子
空ら柩車スピードを上げ厄日なり/田川飛旅子
このまどゐしづかに二百二十日かな/富安風生
俳句例:141句目~
厄日なり護符の真神の尾がふさふさ/飯名陽子
木々の間のあかるくなりし厄日かな/金谷信夫
二百二十日扇を路に落とし来し/長谷川かな女
厄日くる人のうしろをすりぬけて/小島千架子
きりぎりす二百十日の草の中/柿腸/近藤浩一路
二百十日のそよそよ風の中の茄子/冬の土宮林菫哉
降り隠し吹き晴れて厄日めく暑さ/飛鳥田れい無公