「二百十日」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「二百十日」について
【表記】二百十日
【読み方】にひゃくとおか
【ローマ字読み】nihyakutoka
子季語・関連季語・傍題・類語など
・二百二十日(にひゃくはつか:nihyakuhatsuka)
・厄日(やくび:yakubi)
・前七日(まえなぬか:maenanuka)
・風祭(かぜまつり:kazematsuri)
・風日待(かぜひまち:kazehimachi)
–
季節による分類
・「に」で始まる秋の季語
・「秋の時候」を表す季語
・「仲秋」に分類される季語
月ごとの分類
二百十日を含む俳句例
日照年二百十日の風を待つ/素堂
傾きて二百十日の学童よ/秋沢猛
乱れなき二百十日の滝仰ぐ/林糺苑
厄日果つ厨に水を荒使ひ/菖蒲あや
漆黒の雲急ぎすぐ厄日かな/樋笠文
雷も恋しき二百十日かな/水田正秀
赤坊の肌の冷たき厄日かな/岸田稚
萩芒二百十日の暑さかな/増田龍雨
菜大根に二百十日の残暑かな/李由
二百十日目も尋常の夕べかな/蕪村
彎曲し二百十日の爺婆よ/齋藤愼爾
空ふかく二百十日の鳥礫/青木泰夫
水汲んで畳をとほる厄日かな/角光雄
咳かなし二百十日の卵に血/片平天城
有明の海青すぎる厄日前/遠藤若狭男
水中の石に魚載る厄日かな/吉田汀史
山襞の折目の二百十日かな/木内彰志
島畑のかんかん照りや厄日前/岸田稚
川波も常の凪なる厄日かな/石塚友二
鶏小屋や二百十日の恙なく/野村喜舟
俳句例:21句目~
魚匂う俎板二百二十日過ぐ/青木千秋
音もなき二百十日の古本屋/斎藤夏風
二百十日額吹き流る蟲の聲/横光利一
白雲は二百十日を遊ぶかな/野村喜舟
軒下に二百十日の捨て寝椅子/辻桃子
厄日去る胡桃二房三房見え/飯田龍太
厄日過ぎし山国にゐて風の音/岸田稚
華やかに二百十日の綿の花/西山泊雲
月の秋や二百十日の二十日のと/無腸
厄日過ぐ父退院の手配して/高橋悦男
船絵馬の海青すぎて厄日前/能村研三
舟洗ふ二百十日の潮汲みて/前田白露
しなやかに鴎はとべり厄日前/有働亨
脱衣箱厄日過ぎたる海の塵/宮武寒々
畦歩く二百二十日の鴉かな/影島智子
月さして二百十日の羅針盤/工藤義夫
二百十日馬の鼻面吹かれけり/高田保
筆硯や二百十日を忘れ過ぎ/石川桂郎
濱村や二百二十日の旅急ぎ/会津八一
波立てゝ二百十日の出船かな/原月舟
俳句例:41句目~
半日にからぶ仏飯厄日過ぐ/鷹羽狩行
吹き白むことを欅も厄日空/皆吉爽雨
折鶴の内の白さよ厄日過ぐ/大石雄鬼
移り行く二百二十日の群鴉/高浜虚子
盗人潜む二百十日の縁の下/寺田寅彦
船上に二百十日の落暉浴ぶ/阿部喜恵子
おほぞらは桔梗色の厄日かな/糟谷青梢
芋虫や二百十日のころげもの/野村喜舟
芒の穂二百十日も過ぎにけり/正岡子規
蓮の葉の滅法ひかる厄日かな/細川加賀
蝉の穴二百十日の夕日射す/酒井みゆき
越中八尾二百十日の月上げし/渡辺恭子
黴の秀の靡きに二百十日来る/高橋睦郎
針山に針をひからす二百十日/中山純子
ひた凪の二百十日の灯を惜しむ/辰野隆
雨音に臥しをり二百十日かな/皆川白陀
雲いろいろ彩る二百十日かな/前田普羅
青空の雨おほつぶに厄日来る/木津柳芽
風吹かぬ二百十日の畦木かな/金山有紘
風少し鳴らして二百十日かな/尾崎紅葉
俳句例:61句目~
一湾の灯の弓なりに厄日くる/玉垣咲良
二百二十日金属音の昆虫いて/前川弘明
二百十日塀きれぎれに蔦の骨/横光利一
二百十日雲の往来に終りけり/椎名水村
乞食の二百十日も死なずして/藤野古白
八方に二百二十日の湖荒るる/稲荷島人
厄日とて暑さに頭脳磨かねば/畑伝一郎
吾を生めり二百十日の沢竃火/山本嵯迷
大厄日金魚逆立つことしきり/村上岱南
女紅場の二百十日の甍かな/波多野爽波
市に隠る二百十日はきのふ也/高井几董
我背戸に二百十日の茄子かな/子規句集
曇るまゝ二百十日を忘じけり/島田青峰
夕焼の長しや二百十日暮れ/白石天留翁
枝少し鳴らして二百十日かな/尾崎紅葉
水臭き水飲み二百十日なり/中尾寿美子
泥鰌屋に厄日の炭火熾んなり/鈴木鷹夫
瀧の辺の草美しき厄日かな/大木あまり
炒つて煮て二百十日の蝗かな/白岩三郎
無花果の実青き二百十日かな/高濱年尾
俳句例:81句目~
煮鮑に厄日の象牙箸重き/長谷川かな女
甕を飼う二百十日は口あけて/南村健治
田主畑主二百十日のあくる朝/小澤碧童
町中や厄日は影を濃く歩く/有山八洲彦
礁原の夜をほとぼれる厄日かな/岸田稚
突つ立つて壜流れくる厄日かな/下田稔
老人の深寝してゐる厄日かな/浅井一志
厄日のひとり歩きに浜ひろし/鈴鹿野風呂
浜鴉ポツリと啼いて厄日かな/鈴木真砂女
こけもせで二百十日の鶏頭かな/正岡子規
田を責める二百十日の雨の束/福田甲子雄
それぞれの二百十日をつなぐ空/松浦由佳
日が暮れて足洗ひゐる厄日かな/宮田正和
休暇尽きて二百十日の船出かな/子規句集
裸婦像の背のよごれや厄日過ぎ/高木杏子
ひら~と猫が乳呑む厄日かな/秋元不死男
日のいろの水流れゐる厄日かな/長谷川双
火の山の火の旺んなる厄日かな/角川春樹
火の国の厄日過ぎたる陸稲の香/大島民郎
二百十日米櫃干されゐたりけり/鈴木黎子